【経営者にこそ読んでほしい企業コンプライアンス】炎上するフリー演者とパチンコホールがそれを回避する方法

2022.05.11 / 連載

「目立ってなんぼ」のフリー演者を起用する想定外のリスク

 

悪ふざけで炎上する人たち
ネットスラングには要注意

 とかく発達したSNSでは炎上というものがつきものだ。古くは「バカッター」と言われるネットスラングがある。Twitterで投稿を通して自らの犯罪行為やモラル違反な行為などを世間にさらけ出す行為で、アルバイトスタッフによる〝ちょっとしたおふざけ〟に世間が反応し、企業として謝罪にまで追いやられる。

 本人の謝罪で済めばまだいいが、大ごとになった事件も数知れず。フランチャイズ店が契約打ち切りになったり、老舗のそば屋が閉店に追いやられた事例がある。バカッターを投稿する彼らは問題投稿がネット上に出回ることで、どのようなことが起こるのか想像力が足りていないのだ。

 炎上する対象はTwitterだけではない。最近も43万人の登録者数がいる人気YouTubeチャンネル「令和の虎CHANNEL」に登場していた経営者数名が賭けポーカーをしていたことが発覚した。賭けポーカーをしていたうちの1人である武田塾の塾長と運営会社の代表取締役である林尚弘氏はどちらの役職からも辞任することとなった。武田塾では、「新体制の下、コンプライアンス関係をしっかりと立て直しつつ、武田塾の生徒さんのためにできる努力をしていきたいと考えています」と発表している。

 また直近ではeスポーツ界隈でも、不適切発言でチームから契約を解除された事例がある。今年2月15日、プロeスポーツプレイヤーのたぬかな氏が自身のライブ配信中に、「(身長が)170ないと正直人権ないんで170ない方は『俺って人権ないんだ』って思いながら生きていってください」と暴言を吐いた。さらに反発してくるユーザーに対しては、「ちっちゃい男に人権あるわけないだろお前。調子のんな」とまで言って退けたのである。

 この発言の2日後に所属するCYCLOPS athlete gamingはホームページで契約解除を発表し、「当社は、いかなる差別的・侮辱的な行為や言動・SNS等での発言も許されるものではないと認識しており、すべての人にとっての多様性を大切にしております。今後、所属選手の教育、指導等管理体制を強化し、再発防止を徹底して参ります」と厳正な処分をくだした。

 ちなみに、たぬかな選手は1992年生まれの29歳だ。すでに分別のつく大人であるが、このようなことが起こってしまったところに個人の認識の甘さが垣間見れる。

 たしかにゲーム界隈のネットスラングでは、弱い装備やキャラクターに対し、「人権がない」などというようなラジカルなフレーズを使ってウケを狙うことがあり、その一点については擁護できなくはない。しかし、知り合い同士など狭いコミュニティーの中であればギリギリ許容されるような言葉を、ライブ配信という全世界に向けてそれを発信してしまったのだ。これはまさしくリテラシーの欠如が引き起こした残念な例だ。

 


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