バズりと炎上の境界線、見極めたいSNS運用の効果

2023.03.13

株価急落168億円の損失?
回転寿司で発生した炎上

今から約10年くらい前、アルバイト従業員が食洗機に入ってみたり、ゴミ箱に捨てた食材を調理してみたり、コンビニ従業員が冷凍庫に入ってふざけたりするようなツイートが世間を賑わせた。

「バカッター」などと呼ばれていた悪ふざけ投稿が頻発していたが、実際にそのアルバイトが勤めていた店舗の中には閉店を余儀なくされてしまうほどの甚大な被害を被った。いつしか「バイトテロ」なる言葉も生まれて、社会問題となり、当時の新聞やテレビのニュースでも大きく扱われていたことは覚えている人もいるだろう。

最近ではTwitterを開けば「スシローペロペロ事件」だの、「誰かと誰かのストリートファイトの動画」だの「電車内でエア手マンする輩」だの、一般人の異様な行為であふれている。

特に被害が多かったのが大手回転寿司チェーン店。スシローをはじめ、くら寿司やはま寿司などでも迷惑行為の動画が拡散された。このイタズラが拡散されると、スシローの株価が急落して168億円の損失が出たという話もある。

こうした迷惑行為はいつまでも立ってもなくならないが炎上した代償はとても大きい。スシローでイタズラを行った少年は、両親を伴って謝罪に出向いたものの、スシロー側は毅然と被害届を出し、刑事・民事で争う姿勢を見せている。また、素顔や本名、少年はすでに退学しているそうだが、通っている学校などがネットで晒されている。

若気の至りなのか、承認欲求モンスターが世の中にはこれほど多かったのかと驚きを隠せないが、先日もとある晒し屋がホールでパチスロの高設定台を仲間内で占拠するという〝事件〟が発生した。

晒し屋のメインアカウントでは、狙い目の店や台をツイートしておきながら、個人の鍵付き裏アカウントで「鬼武者5台埋めて優勝」とツイートしたのである。それを別のユーザーが「ホールとつながっているのではないか」と指摘。某晒し屋はツイートで「つながっていない」という弁明をしていたが、それがまとめサイトの記事になって炎上。結果、その晒し屋はアカウントを消去するハメになった。

いい大人なら「そんなことツイートしなければよかったのに」と思うところだが、まさにそうなのだ。脇が甘すぎるのだ。「鍵付きの裏アカなら問題ないっしょ」とでも言わんばかりに、自慢とも取れるツイートをぶち込んでしまう。承認欲求を爆発させているとしか思えない。と同時に思うのは、その承認欲求ツイートを我慢できないことで起こりうるリスクを想像できないのだろう。

聡明な読者の皆さまは、これを見てどう思うだろうか意見を聞いてみたい。こういう人と取引をするのって怖くないですか?

「スシローペロペロ事件」の映像は多くのワイドショーやニュースに取り上げられてバズった。軽いイタズラ心だったかもしれないが、少年や家族の人生が激変するほどの事件となってしまった。

 たしかにバズったパチスロ副業大学

炎上をきっかけにネットが非常に攻撃的になってしまう瞬間ばかりが「オススメ」としてクローズアップされること自体いかがなものかと思うが、しかし、SNSのバズりは炎上と紙一重。人の不幸は蜜の味。悪い話や問題発言の方がどちらかというと拡散されやすい性質はたしかに存在する。パチンコ業界内でもバズりを狙って情報を投稿しようとしてもなかなか拡散されないというジレンマに陥っている人も多いだろう。

パチンコ業界はコンプライアンス意識を高めるべきだと主張する当企画としては、まずはバズりを狙って炎上するようなことがないように気をつけていただきたいと願うばかりだ。

スシロー事件のように全国で話題になる炎上騒動によって、SNSの運用方法に慎重になる人もいる一方で、「目立ってナンボ」という考えに至る人も少なくない。

これまで「即レスのソラ」という名前で活動していた演者が、急きょ自身と雇用関係にあるという社長と結婚したとTwitterで発表。これまで運用していたTwitterのアカウントはその社長であるアカホリヒデアキ氏が受け継ぎ、「パチスロ副業大学」(※後に改名すると発表)なるサービスを展開していくと投稿した。

この「パチスロ副業大学」はTwitterでトレンド入りして業界人、ユーザーの間でも話題となった。しかも、「パチプロ時代、月300万稼ぎ続けたパチプロ軍団ノウハウ」や「スマホ1つで誰でも簡単に打たずして月30万円〜稼ぐ」「今年来る! TikTokバブルとパチンコバブルに乗る方法」をプレゼントするという。

どんなビジネスを展開するのも、どんなプロモーションをやるのも自由だが、どうもパチンコ業界を食い物にしようとしているように見えてしまうのは気のせいだろうか。

先日、学長(?)のアカホリ氏自らが開いたTwitterのスペースを拝聴してみたところ、これがなかなかの阿鼻叫喚だったので少し紹介したい。まず、「パチスロ副業大学でどんなことをやっていくのか」をはじめとする質疑応答の時間を設けたが、参加者からは懐疑的な質問が相次いだ。特に「打たずして30万円稼ぐ」という件に関しては、「つまり晒し屋をやれってことか」「情報商材の類を販売するつもりか」という批判的意見が目立っていた。中には「大学というのは許可を受けた機関しか使えないはずだ」といった正論をカマしてくる参加者もいるなど、とにかく副業大学を叩く雰囲気が充満していた。

これははたしてアカホリ氏の狙い通りの盛り上がりが作れているのだろうか。そうであれば良いが、「今日も負けたし、そろそろパチスロ副業大学の入学を真剣に検討しようかな」などとネタ的に使われている状況を望んでいたのかといえば答えはNOだろう。

なんとなく感じてしまう情報商材屋的な胡散臭さが多くの人に伝わってしまっているのかもしれない。しかし、繰り返しになるがどんな事業をするかは自由。だから事業を営むことは否定しない。ただ、いかにも「自分がパチスロの副業で皆さんを稼がせます」的な触れ込みは、いかに拡散力があるインフルエンサーであろうと、パチンコ業界で働いている人たちからは総スカンを食らっても仕方のないことであろう。

パチスロ副業大学などというワードがTwitterでトレンド入り。目立つという点では大いに成功したかもしれないが、面白おかしく取り上げられることが多く、まともなビジネスになるとは考えにくい。

 

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