業界で重宝されるSNSに危機到来!?Twitterを取り巻く環境の変化

2023.02.17 / 連載

激変した「Twitter」の環境 それでもやっぱり使い続けますか?

国内では4500万人のアクティブユーザーを抱えるTwitter。昨年イーロン・マスクによって買収され話題になったと思ったらいつの間にかインプレッションが公開になっていた。


イーロン・マスクの暴挙で
アクティブユーザーは減少?

2006年7月に誕生したウェブサービスの「Twitter」。当初のツイート数は1日あたり5000件ほどだったが、およそ4年間で1万倍、1日あたり5000万件のツイートが投稿される人気ウェブサービスへと急成長をした。

日本国内においては2008年に日本語版がリリース開始され、国内の著名人や政治家が利用することで広まっていった。「●●なう」のようなツイートが流行ったことを覚えている人もいるだろう。

パチンコ業界においても利用者が増加。当初はレアな演出自慢や出玉自慢を一般ユーザーが投稿することが目立っていた。まさにそこが時代の、広告宣伝の転換点であった。

「注目が集まる=広告塔になれる」という発想でインフルエンサーが世の中に浸透し始めると、次第にパチンコ業界にも進出。テレビ、新聞、雑誌に変わる新メディアとして、1人の個人がそのままメディアそのものになったのだ。徐々にホール関係者や企業の利用が増えていき、立派な宣伝ツールとして確立。ステマアカウントである。パチンコ業界で言う「晒し屋」の必須ツールとしても有名である。

そんなTwitterに激震が走ったのは昨年の10月のこと。アメリカの電気自動車メーカー「テスラ」のCEOであるイーロン・マスクがTwitter社を買収したのだ。その影響は非常に大きく、買収直後はおよそ87万7000アカウントが停止になり、約49万7000アカウントが凍結されたという。また、同年11月には全従業員の半数にあたる3700人が突然解雇された。 

世界的に話題となったイーロン・マスクのTwitter買収劇。まだ日本ではそこまで大きな影響は見られないが、仕様変更なども起こる可能性は高い。

新体制ではじまったサブスクと
インプレッション表示

大量リストラやアカウントの停止騒動は国内でも大きなニュースとなったが、Twitterを運用していく者として注目すべきことがいくつかある。サブスクサービス「Twitter Blue」の導入などもその1つと言えるが、何より注目すべきは「インプレッション」(閲覧数)の表示機能の導入だ。

インプレッションとは、1つのツイートがどれだけのユーザーのタイムライン上に表示されたかを表す数値であるとされている。

インプレッションは、これまで自身のアカウント管理画面でしか閲覧できなかったものだが、突如として、「コメント数」「いいね数」「リツイート数」とともに表示されるようになっていた。

本来自分だけしか閲覧することができない機能を誰でも閲覧できるようになると困る人たちがいる。それがインフルエンサーたちだ。インフルエンサーはそのツイートの魅力もあって数万、数十万のフォロワー(ファン)を獲得してきた。例えば、そのアカウントが「最近お気に入りのジュース」としてツイートすることで、全国的にそのジュースが売れるようになったりすることもある。この現象はTikTokなどで顕著であり、ちまたでは「TikTok売れ」などと呼ばれている。

話をTwitterに戻そう。インプレッションは非表示にしておく設定も可能だが、なぜこれが困るのかというと、広告主が費用対効果を求めるからである。その効果をどこで測るかというと、今まではインフルエンサーから提出されるインプレッションという数値だったからだ。しかし、そのインプレッションは公開されていないため報告された数値が真実かどうかは分からない。誰の目にも見える形となったことで、今までよりも信頼のできる判断材料となるだろう。

とはいえ、SNSのあらゆる数値(フォロワー数、いいね数、YouTubeの再生回数など)は購入することができてしまうのも問題だ。中身のない実態のないアカウントを大量製造し、報酬と引き換えに規定回数のいいね数やフォロワー数増加を約束するなど、SNS上にはさまざまなサービスがある。これは極秘の情報というものではなく、Googleで検索すれば出てくる話だ。

お金の力でインプレッションなどの効果を水増しするような悪徳なインフルエンサーなどいないと思うが、もしまっとうに商売をしていない人たちがいたとしたら大変な仕様変更となっただろう。 

世界的に話題となったイーロン・マスクのTwitter買収劇。まだ日本ではそこまで大きな影響は見られないが、仕様変更なども起こる可能性は高い。

インプレッション表示でも
晒し屋ツイートへの影響なし?

パチンコ業界において、Twitter原理主義者は多く、最重要宣伝ツールと捉えている人が多い。Twitterのインプレッション公開は大きな変化であったが、今のところ業界内での利用者数など、大きな変化はないように感じる。

例えば、著名なパチンコ演者のツイートに表示されているインプレッション数はツイートの内容にもよるが、3万から10万くらいは表示されている(バズれば数十万を超えることもある)。

一方で晒し屋と思しきアカウントのインプレッション数を眺めてみると、数百から数千くらいに収まっている傾向が強い。ほとんどの晒し屋アカウントは毎日似たようなツイートを垂れ流しているため変化が少なくバズるようなことはないと思うが、この数値をどうとらえるべきだろうか。

これまで、情報の漏洩や炎上などのリスクがあるために得体の知れない晒し屋の利用は控えるべきだとお伝えしてきたが、インプレッション数をみれば「効果があるのか」という観点でも再検討する必要があるといえるはずだ。ただ、実際のところ、晒し屋の利用にはインプレッション以外の効果があるようなので、必ずしもインプレッションがすべてというような世界ではないとも言える。 

万単位のフォロワーを抱えている著名な晒し屋アカウントだが、インプレッション数はそこまで多くない。Twitterのインプレッション平均は、一般的にフォロワー数の2〜3倍と言われているが……。

 

次へ>

企業コンプラ, 経営者にこそ読んでほしい企業コンプライアンス