ついに行政が名指しで言及した「晒し屋」改めて起用のリスクが問われる!

2022.12.14 / 連載

量定D(20日の営業停止)よりも

重い処分が下される可能性

2022年10月19日、都遊協が開催した遊技場経営者研修会の中で警視庁保安課風俗営業係の担当官による「広告宣伝」に対しての話があった。その中で担当官は、「サイト運営会社や晒し屋ではなく、店舗側に行政処分が下される可能性がある」と発言。公の場で行政が「晒し屋」という単語が使ったこと自体が初めてのことであり、ホールは改めて彼らを起用することに対するリスクを考慮し、警戒レベルを高めていかなくてはならなくなったのである。


ついに名指しで言及された

「晒し屋」起用のリスク

 当連載において、再三にわたり出処不明な「晒し屋」の起用は「情報漏洩」など、店舗にとって不利益になる可能性があると、そのリスクをお伝えしてきた。「店舗側の不利益」は、抽象的な表現ではなく、もはや明確に説明することができるようになってしまった。

 今回、10月19日に行われた警視庁保安課風俗営業係の担当官による行政講話は、さらに踏み込んだリスクを説いたものといえるのではないだろうか。改めて、講話の中身を一部抜粋・引用する。

 「……あたかも第三者によるネットへの書き込みのように見せかけて、パチンコ関連のサイト運営会社や広告会社に依頼して、ホールとしては告知できない情報などをインターネット上で配信させている店舗もあるようだ」

 SNSなどを使った広告宣伝手法について言及しつつ、続けて次のように注意を促している。

 「これは当然、営業者の行為とみなされる。サイト運営会社やいわゆる晒し屋と言われる者ではなく、店舗側に行政処分が下される可能性があることを理解してもらいたい。このような晒し屋は裏では暴力団等が関与している可能性もあり、いったん依頼してしまうとホール側が違法行為をさせたとして、相手に弱みを握られることになる。健全な経営者であれば、これらのサイト関係者とは一切関係を持つべきではない」

 晒し屋を使ったことがホール側であると判断された場合には、行政処分が下されるとはっきりと言及された。そこで今回の連載では、晒し屋の起用に対して、「具体的にどのような処分が下されるのか」、また「反社とつながりがある可能性がある」と話した根拠について、警視庁に質問状を送った。その回答を共有したい。


Q 晒し屋を使ったホールにはどの程度の行政処分が下るのか。量定基準Dの広告宣伝違反/基準期間は20日の営業停止命令に該当するのか、または指示処分か。

A 風俗営業等の規制および業務の適正化法等に関する法律や風営適正化法の施行条例等に抵触する違反する行為があれば法令に従って処分を行うことになります。

 具体的な量定基準は明記されないまでも、法令に従って処分は執行されるとのこと。ページの上部表に量定の区分を記載しているので改めて処分の内容を把握しておいていただきたい。 

A:構造・設備の無承認変更、遊技機の無承認変更、

名義貸し禁止違反、営業停止命令違反

A 風俗営業及び特定遊興飲食店営業にあっては取消し。飲食店営業、興行場営業、特定性風俗物品販売等営業及び接客業務受託営業にあっては、180日の営業停止命令。

B:不正手段による認定の取得、遊技機規制違反、客引き禁止違反、客引き準備行為禁止違反、年少者立ち入らせ禁止違反、未成年者に対する酒類・たばこ提供禁止違反、広告・宣伝規制違反に対する指示処分違反、現金等提供禁止違反、賞品買取り禁止違反

B 40日以上180日以下の営業停止命令。基準期間は、90日。

C:営業時間制限違反、許可の条件違反、賞品提供禁止違反、広告宣伝規制違反以外の指示処分違反

C 20日以上180日以下の営業停止命令。基準期間は、40日。

D:構造・設備維持義務違反、騒音・振動規制違反、広告・宣伝規制違反、遊技機変更届出義務違反、遊技機料金等規制違反、従業員名簿付け記載義務違反、接客従事者の生年月日等の確認義務違反、接客従業者に対する拘束的行為の規制違反、報告・資料提出義務違反、接客従業者の生年月日等の各区人記録の作成保存義務違反、立ち入りの拒否、妨害、忌避

D 10日以上80日以下の営業停止命令。基準期間は、20日(別表の処分事由1(30)遊技機変更届出義務違反にあっては基準期間30日)。

E:遊技球等持ち出し禁止違反、遊技球等保管書面発行禁止違反、管理者選任義務違反、照度規制違反、特例風俗営業者の営業所の構造設備変更届出義務違反、特例風俗営業者認定申請書等虚偽記載

E 5日以上40日以下の営業停止命令。基準期間は、14日。

F:変更届出義務違反(遊技機以外)、認定証返納義務違反

F 5日以上20日以下の営業停止命令。基準期間は、7日。

G:料金表示義務違反、年少者立入禁止表示義務違反、許可証等掲示義務違反、許可証亡失、滅失届出義務違反、相続承認時許可証書換え義務違反、許可証返納義務違反、管理者講習受講義務違反

G 営業停止命令を行わないもの(指示処分に限り、当該指示処分に違反した場合に当該指示処分違反を処分事由として営業停止命令を行う。)。

H:条例の遵守事項違反(基準期間は各都道府県において定める)

H 5日以上180日以下の営業停止命令(別表の処分事由1(31)及び6(26)条例の遵守事項違反についての基準期間は、BからGの基準に準じて定めるところによる。)。

Q 広告・宣伝に関する違反は量定基準でいうとDに該当するが、それよりも厳しい処分が下される可能性はあるのか。

A Dよりも厳しい処分はあり得ます。違反対応により異なります。 単なる広告・宣伝規制違反に止まらない可能性も示唆しており、「軽い処分だろう」と安易に考えてしまうのは危険だ。

 また、最大の懸案事項である「どうやって晒し屋であると判断(立証)するのか」という点については、「個別具体的な状況を勘案し、判断します」との回答。


これを立証するにはホールが明確な意思を持って晒し屋または広告代理店に依頼し、晒し屋が明らかに射幸性をあおっていると証明しなければならないが、画一的なルールや解釈の判断材料に対する回答は得られなかった。

 また、今回の行政講話で見過ごせないのが、「晒し屋と暴力団の関わり」に関する部分だ。晒し屋という業態がこの世に浸透してからこれまで、具体的にそのような関係性を指摘されるような事例はなかった。今回の質問でも聞いてみたが、「個別事案については回答を控える」と、明確な根拠は提示されていない。しかし、多くのホール関係者が集う場において「裏で暴力団などが関与している可能性がある」というからには、何かしらの根拠があっての発言である可能性は非常に高いのではないだろうか。

 であるならば、これまで「晒し屋」との取引が広告宣伝規制の範囲の中での話であったことに対し、暴対法の範囲にまで広がっているのは、社会からも厳しい視線が注がれてくる可能性が高い。改めて、自社の広告・宣伝に対する運用方針を見直すべきではないだろうか。

「晒し屋」などの起用に対する処分の可能性や起用のリスクに対して言及された。

改めて、広告・宣伝に対する手法ややり方を検討すべき時が来たのではないだろうか。

ホールとの関係を露見する

誤爆ツイートが炎上

 SNSに対する厳しさが増してくると思われる中、11月下旬に某晒し屋を名乗るアカウントが、店舗の状況をツイートした画像の中に、店舗との取引、関係をうかがわせるようなメール画像を誤って貼り付けてツイート。なんともマヌケな事例が発生した。当該アカウントは削除済みとなっているが、本件は多くのユーザーの目に留まることとなり、まとめサイトにも取り上げられて、さらに拡散する事態となった。これまで、「晒し屋が勝手に行っていること」と申し開きができてきたかもしれないが、件のような誤爆ツイートによって、依頼しているホールにも被害は波及していく。行政講話の中でも「個別の状況を勘案して判断する」と話しているだけあり、このような事例が露見することは店舗にとっても指示処分や営業停止のリスクがともなうだろう。

「晒屋」のツイートに厳しい目が注がれる

TwitterなどのSNSは、スマホ利用者が9割を超えている現状において、ユーザーに情報を伝える最善の策かもしれないが、今後は監視の目も強くなっていくだろう。

 

 

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