無知なフリー演者や晒し屋の起用は 「インボイス」制度の導入で危険度アップー経営者にこそ読んでほしい企業コンプライアンス

2022.10.06 / 連載

無知な演者や晒し屋の「税金」をホールが支払うことになる!?

インボイス制度の開始が迫ってきている。フリー演者や晒し屋には、「炎上」「情報漏洩」「脅迫」など副作用があるが、彼らとの取引がさらに新しいトラブルを引き起こすであろうことは間違いない。

この記事はPiDEA193号の流用記事です。


パチンコ業界は甘い蜜増える
フリー演者や晒し屋

これまで当連載では「取り巻きに優秀台を占拠させる」「ホールから依頼を受けて情報を晒していると暴露」など、フリー演者や晒し屋によるトラブル、リスクをお伝えしてきた。しかし、残念ながらパチンコ業界は「甘い蜜を吸わせてくれる」と認識されているのか、演者や晒し屋が何かをやらかし、いなくなったとしても、次々に新しいフリー演者や晒し屋がSNS上に現れている。

最近も「サクラ(打ち子)を使っているホールを知っているけど自分も使ってくれないと晒しちゃうぞ」と脅迫まがいのツイートをする自称晒し屋のツイートがまとめサイトで記事になり話題となった。また、某エリアでは「●●ホールに呼ばれて遊びにきました」と、堂々と店舗から依頼を受けて来店告知をする演者もいた。

これまで厳しい広告宣伝規制の中で、ホールがどのような告知ならアウトで、どのような告知ならばセーフかという試行錯誤を繰り返してきたことで、今日の宣伝告知の手法が確立されてきた。ホールは、そんな状況や経緯を無視するかのごとく奔放に振る舞うフリー演者や晒し屋のある意味での被害者となり続けてきた。彼らに責任はなく、いつだってホールがその責任を負ってきたのである。 

トラブルが続いてもフリー演者や晒し屋は続々と登場し、相変わらず炎上やトラブルも起こっている。パチンコ業界は美味しい業界だと思われている⁉︎

 

起用リスクが倍増!?
インボイス制度の開始迫る

広告宣伝ルールも知らず無知を曝け出しているフリー演者や晒し屋だが、起用するホールにとってさらにリスクになりそうな事案が迫っている。それが来年の10月より開始される「インボイス制度」だ。

「インボイス制度」の詳細は本誌24ページからの特別企画を掲載しているため、ここでは詳しい制度の中身は割愛するが、端的に言うと、請求書に記載された商品に課される「消費税率」と「消費税額」を明確化するために採用された「適格請求書(インボイス)」を商取引で使用する新しい制度だ。

消費税は基本的に10%だが、年間の課税売上が1000万円以下の個人事業主は消費税の申告が免除されてきた。例えるならば、とある業者が5万円+消費税10%の請求書を発行した場合、発注した側は5万5000円を振り込む。一方で5万5000円を受け取った業者は年間売上が1000万円以下の場合はそれを売上として計上することができた(=5000円を消費税として申告しなくて良いということ。いわゆる益税)。一方で、これまでは支払った側はその請求書を元に5000円を消費税として業者に支払ったことを申告すれば控除が認められてきた。しかし、インボイス制度が始まると、「適格請求書」という政府が指定するフォーマットの請求書でやりとりをしないと、ホール側が消費税を支払ったとは認められず、控除が受けられなくなるのである。 噛み砕くと「適格請求書」ではない請求書に記載された消費税は消費税として認められないため、支払う側が損をするということになる。

支払い先の人たちが「適格請求書」を出してくれれば良いだけと思うかもしれないが、これがなかなかに複雑な問題を孕んでいるのである。

無知なフリー演者や晒し屋はインボイスを理解しているのか

どこの企業にも属していないフリー演者や晒し屋は「インボイス制度」がいつから開始になるかもその中身も理解していない可能性が高い。そんな輩と取引することはホール側にも大きなリスクをもたらす。

 

次へ>

経営者にこそ読んでほしい企業コンプライアンス, 企業コンプラ, インボイス