【経営者にこそ読んでほしい企業コンプライアンス】フォロワーが数千人いれば 演者として成立「それでいいのか?」

2022.08.12 / 連載

著名なパチンコ系メディア所属や国民的人気を誇る芸能人など「来店者」に求められるものがブランド力から、目新しさになってきた。それに乗じてホール来店者は増加をたどっている。

 

広告宣伝規制で活発化「来店」という手法

パチンコ業界における集客のための広告宣伝は、2002年より警察庁から通達された「広告及び宣伝などに関する規制」から徐々に厳しくなっていった。それまで店内で行われていた「設定6確定」という札刺し、折込チラシや会員向けメールでオススメ台をアピールしたりするような手法が「著しく射幸心をそそる行為」として規制されていくことになった。それから約10年後、さらに踏み込んだいわゆる「イベント規制」(2011年)によって店舗独自の仕掛けは全国的に禁止となった。
その間隙を縫うように、「取材」を軸としたメディアによる第三者情報発信が始まり、そこに著名人を起用したのが現在でいう「来店」の起源となった。
この「来店」は当初、大手ファンメディアの著名ライターなどが起用されることがセオリーで、店舗が推したい日付を来店という形で取材してもらうことで、集客のきっかけ作りとして活用されていた。自店からの情報発信が難しくなった状況において、第三者を呼び、それを集客の足がかりにする手法はすぐに普及し、現在でも多くの店舗が活用しているのは周知の通りだ。

どんなトラブルがあろうとも、業界が下火だと言われようとも来店者(特に女性)は増え続けているのが現状だ。

 

SNSの発達とともに
変容する「来店」の現状

自店からの情報発信に取って代わった「来店」や「取材」は全国で利用されるようになってから20年近くの時が経ち、SNS(主にツイッター)の利用が拡大することに併せて、バリエーションは増えてきた。アイドル店員が独立して来店するようになったり、セクシー女優が来店するようになったり。今ではSNSのプロフィール欄に「パチンコ好き」と書いているだけの一般女性でも、数千人のフォロワーがいれば来店者になれる時代だ。
最近の来店者動向を見てみると、実に女性演者が増えている。セクシー女優としてある程度の認知度を獲得した人が来店するのが当たり前と思われていた中で、自ら新人セクシー女優を名乗り、AVとパチンコ来店を同時デビューのような切り口で登場した「もりみゆ」も、その美貌と直接的な官能表現で、「おじさんライターがツイート文をつくっているのでは?」と注目を集めている。このほかにも晒し屋から演者になると広言するものもいれば、我が子を演者としてデビューさせるという代理店も登場。

また、演者ではないが、「パチプロあぃり」なるアカウントでは、パチプロになりたい女子という触れ込みで、セクシーな女性のアイコンなどを使ってフォロワーを獲得。ある程度パチンコ・パチスロ関連のフォロワーが増えてきたところで突如としてオンラインカジノへの誘導を図るなどする行為には、「ついに正体を現した」などと揶揄される結果に。 

フォロワー数3200ほどのパチプロ女子を目指すという体裁のアカウント。最近岸田総理「違法」と発言したオンラインカジノへ、自身が獲得したフォロワーを送客しようとする悪質な行為を行っている。演者でないため、ホールと直接関係を持っていないのが不幸中の幸いだ。

 

状況はもはやなんでもありといったところまで差し掛かっている。Twitter上で胸の谷間を出し、「パチンコ好き」といったような言葉を紹介文に並べ立て、その色気に寄せられた男子諸君がフォロワーとなり、そのフォロワー数を担保として演者業を始める。これが、今や「量産型エロ系女演者」などとネットで揶揄されている要因の1つだ。本来パチンコ・パチスロの専門家が取材に行くから成立する「来店」を、乳見せで誤魔化すという行為に加担することは、パチンコ業界が自らの手で価値を貶めているといっても過言ではない。

 

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