変則スペックでも稼働好調
「うまい棒」が旨い理由
ホール関係者の意見に続いて、うまい棒を遊技しているファンの声を聞いた。
パチンコをメインに遊技する女性ユーザーのBさんは日常的にパチンコを遊技するヘビーユーザー。歴は15年ほどである。まずは自身の「うまい棒」愛について語ってもらった。
「『うまい棒』は玉の動きがめちゃくちゃ楽しいです。ヘソに行き着くまでの作り方がとても上手くて、『うまい棒アドベンチャークルーズ』や『うまみ号』の動きを眺めているだけでも楽しい。羽根物・役物機は昔から好きでよく打つのですが、打ってるだけでアトラクションで遊んでるような気分にさせてくれる機種はあんまり無いと思いました。とても良くできていると思います。演出に関しては最初は『うまい味』(※多彩な演出が展開されるモード)で遊んでいたのですが、デリシャスゾーンからの群予告を外したので別のモードにするようになりました。全体的に大好きな機種なのですが、このスペックで激アツを外すのはちょっと心が折れますね(笑)」
Bさん曰く「うまい棒」を打つのは出玉よりも「玉の動き」に魅せられたからだという。とはいえ一撃性能を無視しているわけではないそうだ。
「出玉で夢が見られるのもいいですね。待ち合わせまでの時間潰しや仕事帰り、空いた時間にサッと打って最大で10500発を狙えるかもしれないというのは最高です。先日は仕事の休憩中に打ちました(笑)」
うまい棒に対して要望などあるかどうかも合わせて聞いた。
「次回は『液晶はもうちょっと小さくてもいいです』と要望したいです。もうちょっとスペースを広げてギミックをひとつ増やしたほうが嬉しい人は私以外にもいるのではないでしょうか」
続いて普段はパチスロメインで稼働する男性のCさんに話を聞いてみた。パチスロ歴は20年ほど。パチンコは最近まであまり打つことがなかったそうだ。そんなCさんの「うまい棒」を打った時の感想を聞いた。
「基本的にわたしは遊タイム搭載機を当てるまで打つというスタイルで遊技してるのですが、通常時の遊技が消化試合のようになってしまうことが多く、例えばスマホで何かを調べたり読んだりしながら打つ、というのが日常化しています。『うまい棒』はそれがなく、玉の動きを目で追って常に一喜一憂しながら打てるのがすごいなと思いました」という。
パチスロと比べて、「うまい棒」の性能をどう感じるのか。
「正直、今のパチスロは『どれを打っても同じ』だと感じているので、よっぽど高設定を確信する台以外はあまり打ちたくありません。突き詰めるとパチンコも同じかもしれないのですが、単純に出玉性能で切り取ると明らかにパチンコに軍配があがります。その中にあって『うまい棒』はシステム以外にも『玉の動きがワクワクする』というアドオンがある分、わたしとしてはとても斬新に感じています。イメージとしてはパチスロのノーマル機で、リーチ目を見逃さないように打ってる感覚に近いですね」
最後に、次回作への要望を聞いてみた。
「実現可能かどうかわからないですが、どうにかして『おまけチャンス』にループ率をもたせることはできないでしょうか。素人考えですが、おまけがどこまで続くかわからないみたいな感じだと最高だと思います」と話してくれた。
まだヒットしたとは言えない!?開発者が語る「うまい棒」の話最後のひと勝負を担うメイン機種稼働後の受け皿
「うまい棒」の開発を行った株式会社平和開発本部・企画グループ・企画チーム・プロデューサーの塚原太郎氏に本機の開発コンセプトについて話を聞いた。 「パチンコの面白さはソフトで決まるのではなく、玉の動きも重要であると思います。なのでまずそこを生かそうと思いました。一方で演出の面白さであったり図柄ぞろいの気持ちよさなど液晶の楽しさも重要なので、その両方を合わせ持った台というのが基本的なコンセプトとしてあります。あとは『うまい棒』というコンテンツ自体が液晶演出主体のセブン機よりもシンプルな役物機にあっていると感じたことで生まれたのがこの機種です。また出玉面も開発初期からとても重視しており、ギミックと液晶、そして出玉のバランスでプレイヤーさんに楽しんでもらいたいと思いました」 現状、ユーザーやホールからは「玉の動き」について好意的な意見が多く聞かれるが、液晶サイズとギミックのサイズ比についてはかなりバランスをとることに苦労したと続ける。 「役物機の市場が縮小しているので、セブン機のプレイヤーに打ってもらうために液晶は可能な限り大きくしようとしました。ギミックサイズに対して7:3程度、今よりも大きいサイズにする案もあったのですが、役物機の強みである『盤面を見た時のギミックの動きの楽しさ』なども含めて調整した結果、現状のサイズに落ち着きました。役物を作った設計担当はもっとギミックを大きくしたかったようですが、そこは喧々諤々やり合いました(笑)。また演出ついては、開発当初から台のターゲットを『若年層』にする事が決まっており、液晶演出では『うまみちゃん』を押し出して可愛い絵柄を好むプレイヤーさんへのアピールにしています」と語る。 高玉粗利でも高稼働という現状について聞いた。 「『ヒットした』と言っていただけるのはありがたいことですが、導入台数も多くなく、ヒット機種とはまだ言えないと思っています。それでも支持をいただけているのは嬉しいことです。役物機には役物機の役割というのがあって、ボックスで入るメイン機種を打ち終わったプレイヤーさんが最後にもうひと勝負を狙うことで稼働に貢献し、あるいは稼働が落ちるまでの期間にしっかりと粗利面でも貢献することだと思います。これは『うまい棒』に限らず役物機の役割であり、メイン機種にはなれませんが、プレイヤーさんの選択肢を増やすという意味でも重要なのかなと思います。うまい棒開発に携わった人間としては、今後も適正な運用で使ってもらい長期間に渡って稼働、粗利に貢献しホールさん、プレイヤーさん双方から愛される機種になることを願っています」と語ってくれた。 |
好調のP機において新しい可能性を示した「Pうまい棒4500〜10500」。好調の要因に品薄も影響しているかもしれないが、いくら品薄だからといってすべての機種が注目されるわけではない。ましてリリースから1カ月が過ぎた後に3万稼働を維持するのは難しいだろう。好調の理由には「玉の動き」と「演出」そして「出玉性能」のバランスの良さがあった。今後、再販され導入店舗も増えていく事が予想されるが、役物機市場が冷え込む中で突如現れた変則スペック人気の萌芽を摘み取ってしまわぬよう、ホールにも単なる「貯金箱」ではない運用が求められる。これで変則スペック機が広く浸透すれば、第2、第3の『うまい棒』が現れ、ホールの強力な武器になっていくかもしれない。
©️やおきん