クレーンゲームやカプセルトイでバズり中 パチンコ景品ブーム到来!?

2025.08.17 / その他

クレーンゲームやカプセルトイの売上が好調を続けている。たしかにゲームセンターのクレーンゲームコーナーは若い男女であふれている。ゲームセンター自体の軒数は減少傾向にも関わらず、クレーンゲームやカプセルトイはなぜ好調なのか。また、昨今ではSANKYO製ネオステラ枠のレプリカレバーがバズったことも記憶に新しいが、パチンコ関連のグッズも盛り上がりつつあるという。今回はそんなプライズ景品やカプセルトイ、特にパチンコ関連グッズが好調の要因を探ってみた。


市場規模は合わせて4000億円超え!? 活況なプライズ・カプセルトイ景品市場

クレーンゲームやカプセルトイといった、いわゆる〝取りモノ〟系アミューズメントが活況だ。駅前や郊外のゲームセンターやショッピングモールに加え、近年では道の駅やコンビニエンスストア内にも設置される店舗が増加している。

市場全体でもその勢いは顕著で、JAIA(日本アミューズメント産業協会)の発表によれば、クレーンゲーム市場は2020年のコロナ禍で一時的に落ち込んだものの、2021年に3000億円を突破。以降も堅調に推移し、2023年には3350億円に達している(下図を参照)。

2014年には1800億円だったクレーンゲーム市場は、オンラインクレーンの普及や「推し活」需要の波に乗り、2023年には3,350億円へと拡大。コロナ禍による一時的な落ち込み(2020年)を除けば、約10年で1.8倍という安定した成長を遂げている。2025年時点の詳細な数値は発表されていないが、すでに4000億円近いという見込みもあり、成長は続いているようだ。Z世代や訪日外国人の関心を集めるクレーンゲームは、アミューズメント業界の中でも稀有な〝伸びしろ〟を持つ分野として注目されている。

また、昨年にはSANKYOのネオステラ枠に搭載されているレバーのギミックレプリカが大ヒットとなり、クレーンゲームコーナーに入荷されると瞬く間に品切れになる事態となったのは記憶に新しい。同製品はその後、メルカリなどのフリマアプリでも多数出品されるほどの人気ぶりだった。こうしたパチンコ系のグッズはこれまでもクレーンゲームやカプセルトイ景品として投入されてきたが、ここまでバズることはなかった。こうした現象も市場の好調に呼応する動きと捉えられるだろう。

市場の活況の背景、そしてパチンコ系のプライズ景品やカプセルトイ景品も人気なのかを探るべく、今回はプライズ景品、カプセルトイ景品の企画・制作・販売を手がける株式会社フクヤのA氏に話を聞いた。


景品メーカーに聞く プライズ市場活況の要因

近年、クレーンゲームを中心としたプライズ景品市場は右肩上がりの成長を続けているというが、株式会社フクヤのA氏は、現場の感覚と数字の両面からその実態を次のように語る。

「プライズ市場は現在、3000億円を超えていますが、すでに4000億円近いかもしれません。また、カプセルトイ市場も1000億円規模に達しており、巨大なマーケットになっていると思います」

この堅調な成長の背景には、アニメやゲームといった人気IPを活用した景品の充実に加え、SNSでの拡散を前提としたデザイン性や撮影映えを意識した設計の工夫があるという。

「クレーンゲームやカプセルトイは、今やZ世代の女性やカップル、小学生から親子連れ、さらにはインバウンド客までがターゲットになっています。クレーンゲームのメインは10代〜20代の男女、カプセルトイは20代〜30代の女性が圧倒的に多いと思います」

とくに目立つのが、SNSと親和性の高い10〜20代女性の動向だとA氏は続ける。

「推しキャラのグッズを取る・並べる・撮影するという一連の体験が日常に溶け込んでおり、〝取る瞬間の動画〟を撮ることも目的の一つになっています」

Z世代の間では、〝ただ欲しいから取る〟のではなく、〝共感や承認を得るために挑戦する〟消費行動へと進化しているようだ。

休日のクレーンゲーム専門店は10代〜20代の若者を中心に、友だち同士、カップル、ファミリー層などが多数来店している。(撮影協力:ME TOKYO池袋店)

また、コロナ禍以降は外国人旅行客による需要も急増。都心の大型施設では「観光客が並ぶカプセルトイコーナー」が珍しくないという。

「今、海外でもカプセルトイやクレーンゲームのニーズは非常に高まっていて、特に東南アジアやアメリカでは〝日本の景品が取れる〟という点で、旅行で来日してクレーンゲームを遊ぶ方も増えています。まだ、外国のクレーンゲームは『景品を取ること』がメインで、景品のクオリティがそこまで高くないようですので、日本で遊びたいという需要があるのだと思います」

また、日本のアニメ作品の人気もプライズ景品やカプセルトイ景品の後押しになっているとA氏はいう。

「先ほどお伝えした通り、今の若い世代の方たちが〝推し活〟にハマっているため、プライズ景品やカプセルトイ景品では人気のアニメや漫画作品の缶バッジやアクリルスタンド、リアルなフィギュアなどが人気になっています」

この推し活ブームがプライズ景品やカプセルトイ景品の活況を後押ししているのは間違いないところだろう。


クレーンゲームやカプセルトイで パチンコ系グッズも人気に!?

続いて、パチンコ関連景品の状況について聞いてみた。

昨年「ネオステラ筐体」のレプリカレバーが大ヒットしていたが、その他のグッズはどのような状況なのだろうか。

「パチンコ関連のグッズも非常に好調ですね。個人的な感想ですが、やはり〝レプリカレバー〟がきっかけとなって、パチンコ関連グッズの注目は一段と高くなってきたように感じています」

パチンコ関連景品を好む客層も通常の一般景品同様に若年層が多い印象だというA氏。「パチンコ系のグッズを集められているのは、パチンコを遊技しているプレイヤーの方が多いと思います。特に特定の機種が好きなど、コアなユーザーが多いのではないでしょうか」とA氏は語る。

こうしたパチンコ系のグッズはどのような施設(場所)に入荷されるのか。

「特に入荷されるお店の傾向があるわけではなくて、都心の繁華街、郊外の路面店となっているような大きなゲームセンター、ショッピングモール内のクレーンゲームコーナーなど、幅広く入荷されてますね。都心でも人気ですが、郊外の路面店の方がよく売れている印象です」

これまでもパチンコ関連グッズはプライズ景品やカプセルトイ景品として制作、販売されてきていた。実際に「レバー」をきっかけとして、注目度が高くなったというが、その理由について、A氏は次のように語ってくれた。

「パチンコ関連の景品がここまで支持を得るようになった背景には、レバーをみていただければとお分かりかと思うのですが、グッズそのものの〝作り込み〟の進化があると思います。過去にもパチンコ系グッズは作られていましたが、正直なところ、〝おまけ〟感が強かったかと思います。でもいまは実機に近い造形や塗装、LEDやサウンドの再現など、パチンコファンが『これ欲しかった!』と思える完成度の高さがあるんです」

たしかに、パチンコ系グッズの象徴のようになった「ネオステラ筐体」のレプリカレバーは、ユーザーならば誰もが触れたことのある「引くレバー」そのものを再現という着眼点も含めて、販売後すぐにSNSで話題となり、大きな反響を集めた。

「レバーがこんなにヒットするのかと驚かれた方も多かったと思いますが、あれがターニングポイントでパチンコグッズの売上は向上していると思います」とA氏。

同社においても、ギミック再現景品としてSANKYOのパチスロ筐体についているPUSHボタンを再現した「飛び出る!震える!光る!音が鳴る!PUSHボタン」(※詳細は下部参照)を8月からリリースされ、すでに多くのアミューズメント系施設への入荷が決まっているという。

パチンコ系プライズのヒット商品は 「音」「光」「振動」を備えるクオリティー

「飛び出る!震える!光る!音が鳴る!PUSHボタン」

(株)フクヤ ©️SANKYO
(2025年8月入荷)

株式会社フクヤのA氏が紹介してくれたギミック製品が「飛び出る!震える!光る!音が鳴る!PUSHボタン」だ。こちらは製品の赤い丸ボタンを押すと「PUSH」ボタンが飛び出し、七色に発光。そのボタンを押すと振動するというSANKYO製パチスロ機の脳汁が出る瞬間を切り取ったギミックとなっている。A氏いわく「今後もパチンコのハンドルやボタンなど多数の製品が登場すると聞いています。やはり、どれだけ緻密に再現されているかが重要で、ヒットするかどうかの要素となってくるでしょう」と語ってくれた。

パチンコ系グッズの人気は ホールの一般景品にも波及するか!?

ギミックを再現した商品が人気となっているということで、他にもコインを入れると「ガコッ」と音がなるジャグラー貯金箱なども人気だというA氏。

実際に編集部でもゲームセンターに足を運んでみると、Sammyのエイリやんレバーをモチーフにした「クレイジーギアデバイスギミック」などがプライズ景品として入荷されており、こうしたギミックをモチーフにした景品は今後も登場する可能性が高いとA氏は予想している。

こうしたパチンコ系のグッズ景品はホールの一般景品として入荷されるケースもあるようだが、売れ行きはどうなのだろうか。

「基本的にはプライズ専用として制作しておりますが、一部は一般景品として入荷させていただいております。過去を振り返るとそこまでグッズがヒットしたことはあまりありませんでしたが、レプリカレバー景品をきっかけに、パチンコホールさんからの問い合わせも増えており、今後はギミック系のグッズが入荷されることも増えるかもしれません。クレーンゲームで取れなかったからホールで遊技して取りに行くという可能性も考えられると思います」

大人気SANKYO「PUSH」ボタンシリーズ 多彩な景品が次々と導入開始

パチンコ関連の自社商品としてフクヤのA氏が紹介してくれたSANKYO「PUSH」ボタンシリーズ。精巧なギミックを再現した製品だけでなく、キーホルダーやクッションなどのグッズも人気が高まっているということで、7月からは「PUSHボタン」をカバーにした歯ブラシも入荷が開始された。ハンドル(手で持つ部分)はフルーツ柄や水玉柄、ハニカム柄など、SANKYO系機種の大チャンス柄が採用されており、マニアの心をくすぐる一品となっている。

これまでパチンコホールの一般景品は端玉を交換する程度で、一般景品を求めてくる事例はほとんどなかった。しかし、クオリティーが飛躍的にアップしているギミック系の景品の人気をみると、音や光、ボタンが押せるなどのアクションを搭載した製品はパチンコファンのマニア心を存分に刺激して、端玉ではなくとも獲得を目指す人が増える可能性もあるのではないかとA氏はいう。


「推し活」と「ファン心」をつなぐ鍵に 一般景品の可能性

プライズ景品やカプセルトイ市場がZ世代を中心に「推し活」の一環として浸透している一方で、パチンコ系グッズの支持層は主にパチンコファンに限られているという現実だ。ベクトルが異なる両者は、今のところ重なり合う場面が少ないかもしれない。

しかし今後、アニメや漫画、芸能人などZ世代に支持される「推し」がパチンコとタイアップし、その関連グッズが一般景品として流通すれば、ノンユーザー層の関心を引き込む起点になる可能性は十分にある。また、パチンコファンが熱狂するような精巧なギミックを再現した景品がさらに増えていけば、ゲームセンターでは満足できずホールへと足を運ぶ動機づけにもなり得る。

こうしたグッズの動向を的確に把握し、ファン層ごとの接点を見出すことが、新たな遊技人口の拡大につながるヒントになるかもしれない。


TikTokの 「ジャンバリダンス」をきっかけに

徐々に人気が高まっているジャグラー景品

パチンコ系グッズの売れ行きやヒット要因について、株式会社サンプラザのN氏も回答をくれたので紹介しよう。同社は「ジャグラー」シリーズのグッズを制作しており、音や光のギミックでファン心理をくすぐる「ジャグラーボタンシリーズ」が人気になっているとのこと。やはり実機を想起させる音や光、ボタンを押せるというアクション性能が人気の理由のようだ。また、最近では、長年のジャグラーファンだけでなく、TikTokで話題の〝ジャンバリダンス〟の影響で若年層からバッグに付けられるキーホルダーなど、小型グッズも人気を伸ばしてきているという。
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