変則スペックでも稼働好調 「うまい棒」が旨い理由

2021.12.11 / その他情報

導入店から圧倒的な評価を得ている「Pうまい棒4500〜10500」。変則スペックながら全国で高稼働の報告が相次ぎ、客滞率・玉粗利ともに優秀な数値を示していることから、中古相場も一時は100万円を超える価格となっていた。再販が決まり、今後導入するホールも多い。ここでは「うまい棒」が人気になっている理由を探っていく。


すでに償却完了した店舗も! 圧倒的人気の「うまい棒」

意外な伏兵が現れた。アムテックスより10月4日にリリースされた「うまい棒4500〜10500」のことである。独特な玉の動きでパチンコ機本来の楽しさを味わえるタイプの役物機でありつつ、機種名の通り、最大で1万発を超える出玉獲得に期待も持てる変則スペック。導入前はさほど注目されていなかったものの、ふたを開けてみればホール・ユーザー双方からの支持を一気に集め、がぜん話題の注目株になっている。

直近のホールデータでは導入から1カ月を経た11月時点で、いまだアウト3万前後の稼働をキープ。玉粗利はなんと40銭を超えている。データ上では現在ホールの花形として活躍する「Pフィーバー 機動戦士ガンダムユニコーン」などハイミドル機の平均玉粗利をはるかに超える「高粗利運用」ながらも、それらと遜色のない稼働を叩き出しているということであり、導入店のなかにはすでに償却を達成した店舗もあるという。

ユーザーの層が限定的であるがゆえに、一部の人気・定番機種を除いては鳴かず飛ばずになりがちな役物機の中において、望外の活躍となっている。

この結果から、導入を求める店舗の声も徐々に増えているが、当初の販売台数が2000台ほどだったこともあり、中古相場は高騰。一時は100万円を超える状況になっていた。この度、メーカーから再販のアナウンスがされた事により、ようやく本格的に導入できるホールも増えてくるだろう。

ここではそんな「うまい棒」について、導入ホールとユーザー、そしてメーカーを取材。なぜ高粗利運用にも関わらず高稼働を維持しているのか、あるいは導入から1ヶ月経過したのち3万稼働を維持しているのか。また、なぜユーザーの支持を集めているのかを調査してみた。


パチンコ本来の面白さと出玉性能が噛み合っている

「うまい棒4500〜10500」をリリース時に導入することができた関東近郊の中規模ホールA店の店長に、店舗での稼働状況を聞いた。

「当店の稼働状況は非常に良いです。状況的には一人のお客さまがずっと回すというよりも低額で遊技するお客さまが次々と座られており、遊技サイクルが非常に早い。見た感じ明らかに投資金額を決めて遊技されている方が多く、一人頭のアウトは2000〜2500個くらいになっています。玉粗利に関しては全国平均データ通り、当店も〝高すぎる〟ほどになっていますが、その影響もありアウト自体は導入当初よりやや低下しつつあります。ただ、それでも玉粗利に対して稼働低下率は比較的穏やかで、現状下げ止まっている状態で運用できています。またそれは、導入済みの別の店舗も似たような状況だと聞いています」

全国平均に近い高粗利運用でも稼働がキープできていると語るA店長。該当機を打つユーザーに年齢・嗜好などの特徴はあるのかを聞いた。また、某データによると、パチスロユーザーの回遊が目立つという結果も出ているので、合わせて聞いてみた。

「商圏にもよると思いますが、当店では30代から40代のお客さまが好んで遊技されています。普段からパチンコを打たれるコアユーザー層からの支持が特に高く、仕事が終わってから来店されるサラリーマンのお客さまも多いです。一方でスペックのわかりづらさがネックになっているのか、ご高齢のお客さまはあまり打たれていません。玉粗利の高さを考えると、今打ってくださっているお客さまが離れてしまうと急激に稼働が落ちる危険があり、そこを回避するのが今後の課題になると思います。なので当店では、店内の告知方法を工夫するなどしてご高齢のお客さまに興味を持ってもらう対策を行っています。ご高齢のお客さまの支持が高くない理由の一つに『うまい棒4500〜10500』というタイトルも無関係ではないと思います。おまけチャンスの仕様をしっかり告知して最低でも4500個が取れること、保留ですべて当てることができたら最大10500個を取ることができること。基礎的な部分をしっかり告知する事が最低限必要になってくるのではないでしょうか。パチスロユーザーの回遊ですが、当店では特に関連性は見られません。普段パチスロを遊技されるお客さまが積極的に打たれているということも無いと思います。ただし店舗状況によってはスペック上、当たりが軽そうに見える点と『出玉感』というリターンが付いてくる点に魅力を感じて遊技してくださるパチスロのお客さまもいるかもしれませんね。また狙ってパチスロユーザーを呼び込むのであれば、より徹底した遊び方の周知が必要でしょう。普段パチンコを打たないお客様にとっては、役物機は敷居が高く感じられます。なので単なるスペック告知で終わらない、例えば玉のルートの解説等を含めた初心者向けの解説が効果的になるのではないかと思います」と話してくれた。

次に、他のデジパチとの稼働状況の違いなどはあるのかについても尋ねてみた。

「デジパチ全般と比べるのは難しいですが、例えば遊タイム搭載のハイミドル機とはお客様の着座・稼働率が雲泥の差になっています。特にピークタイム後、午後5〜6時以降にその傾向が顕著です。全国データでのアウト3万稼働という数字はここが影響していると思います」

最後になぜ「うまい棒」が他の変則スペックよりもヒットしたのか。そして今後の運用方針について聞いた。

「ヒットの理由はまず『玉の動き』だと思います。ヘソに向かうまでの道のりにドラマがあり、それが演出として組み込まれている。これは単純に見ていて楽しいです。コンテンツの力で勝負するという方向の機種は飽和状態になりつつあるので、パチンコ本来のプリミティブな楽しさで勝負する『うまい棒』が斬新に見えたというのが、現在の高稼働の要因になっているのではないでしょうか。また一撃の出玉が期待できるスペックも、金額を決めて遊技されるお客さまを強く誘引している要素になっているのではないかと思います。遊技サイクルの早さは『打っていて楽しく』『出玉性能もある』という要素がかみ合った結果であり、ホールを運営する立場からすると、こういう機種は本当にありがたいので、定期的に出てほしいと思っています。玉粗利が高くてもアウトがついてくる現状、慢心すると急激な稼働低下を招く危険性をはらんでいると思います。これから増産分を導入する店舗は特に『抜ける』イメージが先行しており貯金箱的な使い方をされるかもしれませんが、少々稼働が下がり始めている現状、効率的な運用のためには、当店も含めて多少玉粗利を下げる必要があると思います」と話してくれた。

 

多彩なギミックによる玉の動きが、パチンコならではの楽しみを与えているとA店長は語る。

 


生粋のパチンコファンとパチスロユーザーが語る「うまい棒」の魅力とは!?

その2へ続く

©️やおきん

 

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