パチンコ業界的クラブハウス活用法に迫る!

2021.03.15 / その他情報

2021年初頭に日本に上陸したSNS「Clubhouse」。ユーザー拡大の勢いは激しく、浸透の兆しが現れている。今回はそんなClubhouseの特徴をお伝えしつつ、パチンコ業界的、Clubhouse活用法に迫っていく。


2021年の開幕とともに現れた新たなSNS「Clubhouse」

「Clubhouse」(クラブハウス)は2020年4月にアメリカでサービス提供を開始した「音声」SNSである。日本でも2021年1月ごろより急速にユーザーが増え始めた。

初めの頃は感度の高いベンチャー起業家や投資家、プログラマーなどのコミュニティーで主に広まっていたものが、お笑い芸人の田村淳、タレントの小嶋陽菜などが利用を開始したこと、それに伴いネットメディアや地上波テレビなどで取り上げられたこともあり、一般ユーザーへの認知も進んだ。

KNN総研リポートによると、2021年2月28日時点で日本人のユーザー数はすでに100万人を超えたと推定されている。  そして去った2月13日には、パチンコ業界でも、日遊協の現会長である西村拓郎氏主催の「日遊協の西村会長とパチンコについて語ろう!」というトークルームが発足するなど、にわかに注目を集めている。

 

「聞く・話す」にフォーカスしたリアルタイムのトークSNS

いつのまにかSNSが、社会生活を送る上での必須ツールとして浸透してしまった現代。mixiやブログ、YouTube、LINEにTwitter、Facebook、そしてInstagramにTiktokと、さまざまなサービスがユーザーの時間を奪い合う中、最後に残されたのは「耳」つまり、音声を取り扱うSNSであるというのはかねてから専門家によって指摘されてきた。

今回登場したClubhouseはまさにその「耳」を徹底的に標的にしたサービスだと言えるだろう。テキストをやりとりする機能はなく、スタンプを使って反応を表すこともできない。

できるのは徹頭徹尾「話す・聞く」ことだけだ。Clubhouse内の会話でユーザーは大きく「スピーカー」つまり話し手と、「オーディエンス」つまり話し手のトークを聞く聴衆に分けられる。

スピーカーはClubhouse上に今も無数に開設されている「ルーム」でさまざまな話題についてトークをしている。そういったルームの1つにオーディエンスとして参加し、そこで行われている話を聞く。興味がなかったら退室し、また別の面白そうな部屋がないか探してみる。これを繰り返すのがClubhouseの主な楽しみ方だ。

もし、話を聞くだけではなく、自分もスピーカーとして意見を述べてみたいと思った時にはいくつかの方法がある。

例えば、あるルームでオーディエンスとして話を聞いていて、自分も発言してみたいと思ったとしよう。そのときは、Clubhouseの画面上に表示されている「挙手」ボタンをタップするのだ。

どのルームでも、スピーカーの一部は「モデレーター」つまり、司会者の役目を果たしていて、その司会者の許可が下りれば、スピーカーの一員として会話に加わることができる。

もし、話したい話題があるのに、それを話しているルームがない時には、登録ユーザーは誰でも、自分がモデレーターとなってルームを開設することができる。

猫、出身地、仕事、趣味、政治などさまざまな話題について、多様な人の話をリアルタイムに、まるで「部室」にいるときのように気楽な気持ちで「聞く・話す」ことができる。これがClubhouseのセールスポイントである。

 

iOS限定、招待制、英語… Clubhouseの難点

これまでの説明で、「面白そう。始めてみたい」と思った方もいるかもしれない。しかし、現状Clubhouseを始めるにあたっては、いくつかのハードルがある。

まず、公式アプリがiOS版しかリリースされていないというのが1つ目の難点だ。Apple製のスマートフォンやタブレットがなければアプリをインストールすることすらできない(パソコンでも不可)。もちろん、ガラケーユーザーも登録することはできない。

2つ目は「招待制」であるということである。iPhoneユーザーも単にアプリをインストールするだけでは、Clubhouse内の会話に参加することはできない。ユーザーとして登録するには、既存ユーザーによる「招待」が必要なのだ。まるで一見さんお断りの高級クラブのように、お高くとまっている。

もう1つが、現在のアプリ画面のほとんどが英語で表示されているということである。一応、日本人が作成したルームの名前や、日本人ユーザーの名前は日本語で表示されるし、ボタンも形で判別でき、なんとなく操作はできるのだが、それでもこのボタンの意味はなんなのか、この表示文の意味はなんなのか、理解できず戸惑うことも多いだろう。

これとはさらに次元の違う問題ではあるが、Clubhouseを通じた会話のデータが、システムを運営する中国の会社にそのまま流されているという疑惑もある。

最後の疑惑はともかく、最初にあげた3つの難点はしばらくするうちに解消される可能性はある。Clubhouseはまだ生まれて間もないアプリであり、今後も開発が進んでいく予定だとも明言されている。ガラケー版は無理かもしれないが、日本語版、Android版は近いうちに用意されると期待してもいいだろう。多くのユーザーを受け入れる準備が整う頃までには、「招待制」を撤廃し、誰でも登録できるようにする、と運営から発表もされている。

 

パチンコ業界はClubhouseを使いこなせるか

では、パチンコ業界はどのようにこの新しいメディア「Clubhouse」を活用することができるだろうか。

ホームページ、ブログ、LINE、Twitter、YouTube。業界のメディア活用の歴史をひも解いてみても、広告・宣伝に厳しい規制がかかっているパチンコ業界においては、世間に新しいメディアが広まるタイミングというのは常に、既存の優劣の構図をひっくり返すチャンスであった。今回のClubhouseを活用して集客につなげるホールはあるだろうか?

……しかし、現在の時点では、Clubhouseのアカウントを集客のツールとして活用するのは難しいと言えるだろう。勢いよくユーザー数が伸びているとはいえ、いまだ登録者数は100万人の桁であり、日本人口の1%にすぎない。先述の「招待制」「英語」といった難点もあり、パチンコユーザーでClubhouseを活用している層はおそらくかなり限られている。

少なくとも「現時点」では、ユーザーに向けた広告媒体としての活用は望み薄だ。

 

Clubhouseの特性を生かした交流ツールとしての活用を

しかし、だからといってパチンコ業界にまったく縁のないSNSだと結論づけて、無視してしまうのももったいない。Clubhouseの特性から考えられる、パチンコ業界での活用法をいくつか紹介して本稿を閉じるとしよう。

Clubhouseの最大の強みは、著名人や有力者などの話を聞き、オーディエンスが質問などをして双方向に発信することのできる、セミナー・講演会などの場を簡単にセッティングできるという点だ。

コロナ禍以降、業界でもZoomなどを利用したセミナーが多く開催されているが、Zoomでは、事前の参加者とのやり取りなど、手順が少し煩雑だった。Clubhouseであれば主催者側もはるかに手軽に場をセッティングできるし、また、ユーザー側からしても、飛び入りの参加ができたり、運転中などでも車のスピーカーで手軽に聞けたりと、メリットが大きい。

そもそも、車社会のアメリカで生まれたClubhouseは非常に車と相性がいい。これまでのSNSはテキストであれ画像であれ動画であれ、基本的には「見て」楽しむものであったため、運転中には利用できない(あるいは無理に利用して危険運転をしてしまう)という側面があった。

しかし、テキストや画像のやり取りが一切ないClubhouseは運転しながらでも機能をほとんど損なうことなく楽しむことができる。

郊外立地店で勤務する業界人や何かと外回りをすることも多い役職者やメーカーの営業担当者などには合っているSNSだと言えるのではないか? また、著名人を迎えたセミナーや講演会だけではなく、一般人が仲間を集めて、それぞれ持っている自分の知識を元に情報を交換できる「部室」のようなくだけた場を作ることができるのがClubhouseの良いところでもある。顔出しもしなくていいし、プレゼン資料も用意しなくてもいい、その上、Clubhouseでは規約で録音が禁止されているので、その場で喋った内容がそれ以上外に広まることもない。この条件下ならスピーカーとして参加するのもやぶさかではない、と感じる人も多いのではないか。得てして、そういう人が持っている情報の方が貴重だったりするものなのだ。

パチンコ業界は、「ヨコ」のつながりや情報収集・共有が盛んな業界である。今、TwitterやLINEのオープンチャットで行われているやり取りのうちいくつかは、Clubhouseに移っても成り立つだろう。

今後このSNSに注目をしておいて損はないかもしれない。

 

 

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