第29回 ツイッター上にいるプチ有名人たちに聞く
雑誌や動画などの媒体に所属していないただのアルバイトスタッフに、数千人のフォロワーがつく時代になってきた。ツイッター上でわざわざ本人が語らなそうなことを、第三者であるPiDEAが根掘り葉ほりする。(聞き手:PiDEA編集部コガワ @pideanaotoko1)
PiDEA編集部(以下略編):今回はMIRAIぱちんこ産業連盟の中の人という立場でアカウントを運営している「みやもと@P業界団体中の下の人」の宮本さんにお話をお伺いしたいと思います。
宮本(以下略宮):よろしくお願いします。
編:宮本さんのツイートは個人的にも拝見しておりました。
普段ランチを食べているおいしい店とか、あるいは自炊の成果とかを紹介するゆるいアカウントとしての側面も持ちつつ、パチンコ業界全体に関わることについて筋の通った発言などをされたり、かと思ったら1ユーザーとしてパチンコを楽しんでいる様子をツイートしたりと、……ちょっとまとまりがないですが、非常に面白いツイートをされる方だなぁと思って見ておりました。
宮:それはありがとうございます(笑)。
編:やっぱり、Twitterが面白いのには理由があるんじゃないかと思っておりまして、もともとSNSには親しんでいらっしゃったのでしょうか?
宮:実は、そうなんです。GREEだったりmixiだったりモバゲーだったり、もともとSNSは嫌いじゃなかったですし、文章で何かを発信して人に伝えるということは好きですね。
編:下地があったということですね。具体的なアカウント開設の経緯などを聞いてもよろしいでしょうか?
宮:はい。実は私がおりました旧同友会の中には、SNSコンプライアンス分科というものがあって、その担当が私でした。だからまぁ、アカウントくらいは持っておこうと。
けどその時は、無差別にフォローしたり話しかけにいったりはしませんでした。守りの運用の時期がしばらくあった感じですね。
編:何か転機があったんですか?
宮:はい。SNSを生かした広告宣伝について、例えばフォロワーの増やし方とか、現場で実際の運用に携わるみなさんを交えて勉強会をするわけです。
せっかくなので、そこで学んだことを自分でも試してみようと。
編:なるほど、そしたらグングンと。
宮:写真は3枚添付するとか、1日何ツイートすることを心がける、とか、習ったことをしっかりこなしましたよ。
というのも、実は私たちのところのSNSコンプライアンス分科にはその時有数の、まあ今もずっとですね。業界内でインフルエンサーとして力がある人がそろっていて。……とりあえず3000人フォロワーがいないと私に発言権はないんじゃないかと思いました(笑)。
まぁそれは冗談としても、それ以外にももう1つ大きな要因があったんです。
編:実はそっちが本質だったりして。
宮:その頃、参議院議員に立候補して選挙戦を戦う、パチンコ業界の「族議員」になるんじゃないか、という方がいました。業界の一員として私も応援していたんです。
ただ、その中で、どうもSNS上には間違った情報が流れがちでした。極端なものだと「その人がもし当選したらパチスロ4号機が復活する」とか。そんなわけはないですけど、ともすれば信じちゃう人もいる。
そういった状況の中で何かやれることはないかと。せめて正しい情報を発信したいと思ったわけです。でも、フォロワーが、業界関係者の店長とか関連会社の人たち200人、とかだとどうしても、伝えたい人には届かないんです。
編:それでSNSの射程を広げていったということですね。
宮:そうです。もともとそういうのに積極的なタイプじゃなかったんですけど、それからは、リアルでもいろいろな業界関係者と会うようになりましたね。
そうすると、相乗効果も生まれます。やっぱり顔を合わせて飲んだり食事したりしたことのある人の方が、タイムラインで流れてきたときにいいねとかリツイートとかもしやすいですからね。
編:お話を聞く限りだと、ストイックに、戦略的にTwitterを運用していらっしゃる姿が見えてきますね。そういう使い方でいると、気が詰まってしんどくなったりはしないんですか?
宮:個人的には100%仕事だと思ってやっています。SNSは素の自分を見せる場所じゃないと思って、割り切っていますから、しんどいというのも全然ないですね。というか、逆に私がそうしないとダメなタイプなんですよ。スマホゲームとかってあるじゃないですか。
編:Pokemon GOや、ドラクエウォークとかの。
宮:はい。今はもう全部断ち切ったんですが、私はそういうのにハマっちゃうタイプで。ドラクエ11とかも、クリアは当たり前で、セリフを全部聞いたりとか、すべてのアイテムを集めるとか、そこまで徹底しないとと思っちゃうタイプなんですよね。
編:一体なんの話でしょうか…?
宮:ゲームであっても突き詰めていくとあれもしなきゃ、これもしなきゃと、仕事みたいになっちゃうんですよ。そして今はTwitterが私にとってはゲームの代わりなんでしょうね。
アカウントにも攻撃力や防御力があって、それを成長させていくし、立場上言っちゃいけないことは言わないようにスリルを感じながら文章を考えるんです(笑)。いろいろなことに気をつけながらですが、かといってやっててしんどいと思ったことはないですね。
取材を終えて……
取材後、帰り道にあるホールに「2000円だけ勝負」に行くとのこと。編集部も同行して写真を撮らせてもらいました。……そしたらなんとペカっと輝くGOGOランプ。ジュースをご馳走していただきました。ありがとうございます。勝負の傍ら、パチンコ業界のTwitterの2021年について思うところを尋ねてみると「Twitterは1つの区切りを迎えてもおかしくないと思います」と語る。ひょっとしたら、この連載も……?