第52回 Twitter上にいるプチ有名人たちに聞く
雑誌や動画などの媒体に所属していないただのアルバイトスタッフに、数千人のフォロワーがつく時代になってきた。Twitter上でわざわざ本人が語らなそうなことを、第三者であるPiDEAが根掘り葉ほりする。
PiDEA編集部(以下略編) :今回は巣鴨会館アカウントのメインキャラ的なちょっと癖つよ系店員のサトシさんを取材していきます。ツイートの9割がギャグみたいに見えますが、何狙いなんでしょうか。
サトシさん(以下略サ):いや、自分的には真面目にやっているつもりなんですけどね。
編:え? 失礼な話、あの下手なムーンウォークも面白いですが、真面目にやっているんですか。
サ:そんなに下手ですかね(笑)。
編:ちなみに動画撮るじゃないですか。ご自身で見返しますよね。
サ:はい。
編:やっぱりそれ見て笑いますか。
サ:自分で笑いますね。こんなに自分の想像した通りに踊れてないんだなって。
編:あー……、うん! ギャグとしてやっていないんですね。
サ:やっぱりモテたいですから。
編:そういう意識もあるんですか(笑)。
サ:キャーキャー言われるのは恥ずかしいんで無理ですね。さりげないモテ方がいいですね。
編:ちなみになんでモテたいんですか。
サ:モテないよりかはモテた方がいいからです。
編:会話のリズムが独特だなぁ。元々Twitterの運用が始まったのはどんな経緯だったんですか。
サ:これは真面目な話、巣鴨という街でほぼ広告物はSNSではなくチラシでした。ただ、そこにコロナが重なったんですよ。おじいちゃん、おばあちゃんの街ですからコロナの影響は甚大でした。
編:どれくらいの影響だったんですか。
サ:沖縄とか海物語系はアウトが3万くらいあったような店で、土日になると4万5000とかもありましたが、それがもう半分以下です。なので、SNSを使って若い方にもきてもらいたいなと。
編:それであのおふざけ感。サトシさんがツイートを決めているんですか。
サ:実は運用自体はお店全体でやっていて、僕がたまたまよく出るキャラみたいな感じです。
編:元芸人さんとか役者さんとかだったりして。
サ:いやいや全然、楽しく仕事をしたいなと思っていただけの普通の人間ですよ。
編:ムーンウォーク玉箱わたしはどうやって生まれたんですか。
サ:去年の7月に1ボックスだけ玉積みに戻したんです。そこに何かを感じてもらいということで、動画で伝えようとなりました。
編:普通だったら「変更しました」みたいなPV的な動画かと思うんですが、巣鴨会館さんでは、サトシさんのムーンウォークを採用したと。それがなぜなのか知りたいんですよ(笑)。
サ:何事もなかったですよというふうにスッと去っていくのは、あれは自分なりの照れですね。
編:いや、そもそもなんでムーンウォークを?
サ:課長が「動画撮るから」というからやったんです。
編:結構練習時間とか必要じゃないですか。
サ:5分で動画とって15分で編集して終わりでした。
編:撮影した現場は結構皆さん笑っていましたか。
サ:現場では結構笑ちゃっていましたね。日々の積み重ねでボケたら誰かが突っ込んでくれる環境なので、笑いながらやりました。
編:普段から結構ボケてるんですか。
サ:動画についてもTwitterだから特別なことをしているんじゃなくて、割と日常のシーンを切り取っているだけみたいな向きが強いですね。「狙ってますよね、完全に」とか言われますけど、楽しくいたいだけです。
編:お店ではイジられ役だと。
サ:そうですね。今日取材を受けることになったので、もみあげの白髪を黒く染めてきたんですけど、皆触れてくれないんですよ。
編:なんかすごい天然キャラで、皆さんから絡まれやすいんですね。取材中も文章にしていませんが、通りすがりのスタッフさんがバンバンサトシさんに突っ込んでいっていますし。
サ:職場の雰囲気のせいもあると思うんですよ。前の職場ではこんなことなかったですから。どっちかというと事務所が和気あいあいとしているので、楽しめている感じです。
編:Twitter担当というのは大変じゃないですか。
サ:職場が究極にポジティブだから一発で面白いのが出たりしますし、誰も何も変に気を使ってないんです。
編:実際Twitterをやって変化はありましたか。
サ:努力して頑張ってフォローしてフォローバックしてコツコツやってきたのもあって、たまにトラブル対応してるときにお客さまから「いつも見てます」と小声で言われたりします。それは若い方でしたけど、常連のお客さまも「またなんか面白いの発信してるね」と言われたりします。会話のきっかけにはなっているかなと思います。
編:この企画が「Twitterでは言えない話」というタイトルなんですが、何か秘密の情報を教えてください。
サ:えー、なんだろう。Twitter上では46歳独身とアピールしてきたけど、実は既婚者で子供5人います。
編:なんでそこ嘘ついたんですか(笑)。
サ:モテたいという意識から咄嗟に出てしまいました。毎日子供たちと奥さんの朝ご飯、夜ご飯を作っています。
編:サトシさんのなんか優しそうなおじさん感はそういうことだったんですか。
サ:そんなにおじさんですか。
編:そうですね。おじさんにしか見えません。
サ:もみあげ染めたのに。
編:そこだけで若さを演出しようとするの無理があると思います。
サ:まぁ、そういうところも含めて見てくれる方が笑ってくれればそれでいいんですけどね。
取材を終えて
まだ巣鴨会館さんのアカウントを見たことがない人は、一旦見てから読み返してください。普段のツイートを見てからこの人となりに触れると、また違った見方になると思います。……で、実は9割ギャグにように見えますが、すべては意味があるツイートを心がけているそうです。この意味分かりますでしょうか。っていうか、本当に取材中にいろんな人がサトシさんの回答にツッコんでいくんですよ。この職場の雰囲気めちゃくちゃ良かったし、それゆえのエモさだと思いました。