第48回 Twitter上にいるプチ有名人たちに聞く
雑誌や動画などの媒体に所属していないただのアルバイトスタッフに、数千人のフォロワーがつく時代になってきた。Twitter上でわざわざ本人が語らなそうなことを、第三者であるPiDEAが根掘り葉ほりする。
PiDEA編集部(以下略編) :キング観光炎上軍、3号連続インタビュー第2弾! 今回は副社長のジェームス柳橋さんがご登場です。しまんくすさんが先陣を切ってキング観光のSNSがスタートしたわけですが、これは会社の指示によるものだったんですか。
ジェームス柳橋(以下略ジ):しまんくすは自分を持ってやっている人なので、自分で勝手に羽ばたいていったんですよ。彼は覚えてないと思うんだけど、当時上司として僕は「店のアカウントっぽくやるよりも、しまんくすという人間に集まってくるようなアカウントにした方がいい」というような感じのことを言ったりしていました。でもそれ以上のことは何も口出しはしていないですよ。
編:しまんくすさんクラスになると自由なんですね。
ジ:くだけたことを言うと、彼はもうインフルエンサーみたいな面も持っていますからね。カタイ会社だったら「おいこら」と潰しにかかるんだろうけど、僕はどんどん好きにやらせていった。
編:キング観光さんって、店長のSNSは必須ですか?
ジ:必須ではないですよ。うちはSNSを一生懸命やったから評価とはならない。ただアカウントはつくってもらって窓口くらいはやってもらいたいとは思うよね。僕とかしまんくすのアカウントに、「何番台の客が掛け持ちしてます」とDMがきたりするんだけど、ちょっと待って、それ俺に言いますかというのが結構ある(笑)。
編:個人的に嫌いな言葉ですが、有名税って感じですね(笑)。ただ、キング観光さんでは、SNSをやるもやらないも自由。運用も自分で何が必要か考えましょうというスタイルなんですね。
ジ:こんな好きなようにやらせてくれる法人ないよね。しまんくすがたまに「おっぱい」とかツイートしているけど、普通の会社だったら副部長がそんなこと呟いたらダメって言われるでしょ。だからね、最近のパチンコ業界って真面目すぎるんですよ。娯楽産業だし、18歳未満お断りの娯楽なんだから、ちょっとくらいエロ入っていたって良いんですよ。
編:キング観光さんでは女性アカウントって見かけませんよね。
ジ:女の子って彼氏ができたり、妊娠したり、可愛いければ可愛いいほどいろいろあるんですよ。うちでも推し出した子がいたんだけど、すぐやめちゃった。僕たちが扱える能力がなかったといえばそれまでなんだけど、ぶっちゃけた言い方するともうめんどくせえ(笑)。当人たちのメンタルケアも必要だし、それなりの投資になるのをその子にかけるっていうのはリスクが大きいですよね。
編:多くのホールが「SNSの活動は業績への貢献が図りにくい」という問題をなかなか解決できていないでいると思います。この点について、キング観光さんの見解をお聞きしたいです。
ジ:SNSの費用対効果は難しくて測れないと思っています。
編:それでもやるんですね。
ジ:僕がTwitterを始めたのが、2018年12月の金山店のグランドオープンの頃でした。最初はその宣伝。でも、実はその時から柳橋店のオープンも決まっていたんですよ。だから名前を柳橋にした。柳橋のグランドオープンの時は設定Lで炎上しちゃったけどね。
編:「ヒューマンエラー」など予期せぬ方向で話題に……。
ジ:あれはシミュレーションをして割数を決めたらそのお返しとしてLが吐き出されて、上司もそれをチェックしなかったからああいう結果になったんだけど、そもそも設定Lが入っていても問題ないと思っています。Lが入るならその分高設定も入るだろうからね。で、寺井一択が動画に使ったのをお店側がチェックしていなくてそのまんま出ちゃった。動画の該当部分は削除してもらったんだけど、当然見た人はいるので、騒ぐ。その時ちょうど柳橋のグランドオープン前でしたが、ちょたま君が、「燃えてますよ」とLINEで教えてくれた。僕は脊髄反射的に「便乗しよ」と言いました。ネガティブな要素だけど話題にはなった。燃えてしまったなら、今度は逆に利用させてもらおうと。
編:普通の感覚だったら黙殺とかになるんですかね。
ジ:でも今の時代、燃えちゃってからの黙殺は悪手。黙殺では処理できないよ。
編:発想が普通じゃない。
ジ:核爆発で物を壊すか、核で発電するかの違いですよ(ドヤァ)。
編:ジェームスさんの運用はかなり尖っていますが、炎上をまったく恐れていないですよね。
ジ:最初クソリプバトルした時なんかは社内でも心配の声はありました。でも何週間かすると何ともなくなるので、「炎上って大したことねーな」ってみんな気付いたんだと思う。Twitterは向き不向きがあるからね。日常から面白くない人ってTwitterでも面白くないよ。
編:逆に誌面を通して言いたいことは何かありますか。
ジ:「Twitterをやってないパチンコ屋はすぐやれ!」と思いますね。ガーシーが参院選で当選したことをよく考えろと。20年前はホームページもない会社は会社じゃないなんていう風潮がありましたけども、今となってはそれがSNS。無料のツールなんだから生き残るために使えばいいじゃんと思うんだよ。時代の流れで、ネットが力を持ち始めているのなら、そっちにかけるしかないでしょ。若い人たちにキング観光にきてもらいたいし、そういう人たちをキャッチアップしていかないと。
取材を終えて
SNSをやっている以上、炎上は怖い。なんたって数千人、ときには数万人から総口撃を食らうのだから並大抵のメンタルではその圧力に負けてしまう。でも、ジェームスさんの場合は、企業アカウントである前に人という感じで、確固たる考えを持ってツイートをしているから怖くないんだと思います。簡単に「炎上って大したことねーなってみんな気付いた」なんておっしゃっていましたが、常に辞表を持ち歩くくらいじゃないとこの境地にはたどり着けないでしょうね。