[名古屋戦争]キング観光vsマルハン~なぜ両社は激しくぶつかり合ったのか?~

2024.05.14 / ホール

4月上旬、東海圏をリードするキング観光とマルハンが激しくぶつかり合った。SNS上での罵り合いとも取れるあおりから始まり、4月だけで3回にわたるプロモーションを展開した。そして5月にも実施することが決まっている。両社の狙いについて、詳しく話を聞いていく。


プロモーション実施店舗以外でも抽選参加人数が激増

名古屋市内を飛び越えて、SNSを通じて全国的に話題になったキング観光とマルハンの仕掛けたプロモーションは4月に実施され、5月も継続することが決定している。

今回の特集記事取材のため、両社の主要人物に集まっていただき、Zoomを用いての合同取材となった。

今回のコラボの話だが、もちかけたのはキング観光のしまんくす(@shimankusu)氏からであった。去年は自社内でやっていた、店長陣を集めて顔を紫色に塗りその違和感でSNS上で目立っていく仕掛けだ。

「いつかは他社とコラボをしたいと思っていました。今後も仕掛けを大きくしていく上で、まず最初にマルハンさんと実施できたら他の企業さまにも説明がしやすい。だから、弊社からマルハン茶屋が坂店の神谷店長に話を持っていったのです」(しまんくす氏) 

 

コラボによる、キング観光側の利点は、自社内でそこまで認知のない日のテコ入れができることだった。また、4月の新シーズンで客が入れ替わる時期に、全国的知名度のあるマルハンとコラボすることには大きな意味があった。

一方、マルハンサイドの利点としては、愛知県内で強い発信力を持つキング観光とのコラボや、店によって強弱があるため、そのテコ入れにもなるということで話はまとまった。競合するホール同士、しかも台数が多い名古屋特有の市場で、両社の利害関係が一致。今回の一般景品入荷を合同で行うことになったわけである。

マルハンエリア長のいわさき氏(@maruhanaigi)は、「名古屋市全体を盛り上げるには、今回のコラボが面白いと思ってお受けすることになりました」と当時を振り返る。

両者の持つネームバリューもあって、SNS上での話題をかっさらった。今回プロモーションとしては、マルハンがキング観光に乗っかった形だ。店長陣が顔を塗るような仕掛けはモロにそうだ。この手の仕掛けはしまんくす氏ならお手のものである。しまんくす氏自身が運用しているXは2.5万人のフォロワーを抱えており、日々数十万のimpを叩き出している。

一方のマルハンサイド。いわさきエリア長とかみまる店長(@m_kamimaru)こと神谷店長とで撮影編集をした動画では、共闘初開催となる4月7日の前日に、「焼きそばをつくりたいのでキング観光若宮にお湯を借りにいった」というような仕掛けを行っている。そこで、キング観光若宮大通店の花田店長とのいざこざも発生するのだが、その面白さもあってか、この動画もX上で5.2万impを獲得することができ、今回のコラボが多くのユーザーに認知されることとなった。

神谷店長といえば、2022年12月にマルハン茶屋が坂店をグランドオープンする際に、ラッパーの呂布カルマを起用したプロモーションを行っており、Xで37万imp、YouTubeで28万回以上再生されるなど非常に話題性を生み出す仕掛けに長けたアイデアマンでもある。

この両社の発信力もあり、すぐに仕掛けとしては認知が進み、各店10個ほどの商品販売につながった。また、参考までに共闘を実施した両店の稼働率を表としてまとめた。初開催となった4月7日(日)と条件の近い3月17日(日)を比較日として設定したところ、全店で稼働率は上昇。中でもマルハン茶屋が坂店は稼働率が20%も上昇しており、キング観光サウザンド若宮大通店でも15.2%の上昇を見せた。 

また、実施を行わなかったキング観光サウザンド今池店でも、稼働が上昇していたという話もあり、両グループ店にとって効果があったと思われる。

マルハン茶屋が坂店の神谷店長は、「愛知マルハンの抽選人数が全店で1500人くらい増えました。こんなご時世でも、ユーザーが集まる環境は、プロモーションの掛け方1つで生み出せるのだなと実感しました」という。

キング観光サウザンド桑名若宮大通店のまさる店長(@kingwakamiya)こと花田店長も「今回初めて他社さまとのコラボを経験させていただきましたが、かみまる店長のお湯貸してという動画も面白かったですし、マルハンさんの勢いもすごいと思いました」と振り返る。

4月の実施日に続いて継続する5月の開催日は本稿執筆時点ではまだ未定であるが、2回実施することが決まっている。両法人ともに忙しい1日になるのではないだろうか。

キング観光, マルハン, 共闘