キング観光からの宣戦布告ー伊勢市に起きている地殻変動

2024.11.18 / ホール

火蓋が切られるのは年末

 2024年10月中旬、ジェームス柳橋氏は、自店の店長のポストを引用する形で、「勝つまでやります。売られたケンカは徹底的に買います。伊勢の戦い、令和の関ヶ原の戦い」と投稿した。

 この投稿の舞台となるのが三重県伊勢市で20年以上営業を続けてきたキング観光伊勢店である。キング観光伊勢店は今年末の大規模なリニューアルオープン準備として店休に入った。

 業界内外から注目を集めた宣戦布告とも取れるこの発言の相手は、キング観光伊勢店から600メートルの位置にある競合店のことである。総設置台数は1000台超で、昨年完全新規でグランドオープンした店舗である。

 PiDEA編集部は、この投稿の真意とキング観光の戦略を明らかにするため、ジェームス柳橋氏としまんくす氏に話を聞いた。まずは此度のポストがなぜ生まれたのか。 

 「名古屋方面を主戦場とする僕らにとって、伊勢店ってそこまでシビアというか、ちょっと田舎でのびのびやっていた店舗だったんですよ。ただそんなところに目と鼻の先に1000台超の店を建ててきた。キング観光もこれまでに既存のマーケットに殴り込んだりしてきたけど、よく考えてみたらあんなところに1000台出してきているのは、(伊勢店を)潰しにきているなと思った」(ジェームス柳橋氏)

 それまでのキング観光伊勢店といえば、もうグランドオープンから20年以上が経過していて、設備も古くなってきていた。「機種構成も悪かった」とジェームス柳橋氏は休業に入る前の状態を振り返る。

 「うちも中型店舗の営業のやり方を学びながら、少しずつ自信もついてきた。ただ、今の伊勢店の設備では対抗できなかった。設備が古く、お客さまに対するサービスが劣っているんじゃないか。ハード面の利便性が劣っているんじゃないか、ということで設備を新しくしようとは考えていた。最低でも同じくらいにしようと。で、うちが店を休むと発表したのとまったく同じタイミングでワンボックス2スロにしてグランドリニューアルしてきたんです」(ジェームス柳橋氏)

20年以上前の店舗ではあるが、キング観光らしさがあり、古さは感じないキング観光伊勢店の外観。しかし、徹底対抗を図るために休業状態となっている。どんな改装となるのか。

  同社は、その前に津のお店を956台から1277台にリニューアルするなど、強い店を強化してきた。「津はオープンした後は良かったけど、周りがリニューアルをかけてきて激しい競争状態になった」とジェームス氏が語るように、三重県のエリアは一筋縄ではいかない。

 そこで、しまんくす氏にも三重県の一部店舗を担当するように白羽の矢が立つ。元々、名古屋方面のエリアを統括する立ち位置であったが、三重県の3店舗(サウザンド津店、松阪店、伊勢店)を見るようになっていた。

 リニューアルをしかけた津とその一方で、松阪店と伊勢店は規模も中型で強い店ではなかった。しかし、名古屋方面で成功したコラボプロモーションを松阪店と伊勢店でも実施したところ、遠方からも集客をできるということを実感できたのだとしまんくす氏はいう。

 「最初は店長も、松阪の市場を『いじっても売上あがらんやろ』と思っていました。でも、仕掛け方によっては、遠方からお客さまが車でくるんですよ。『絶対成功するし、失敗しても責任は僕が取るから一回試してみない?』ということでやってみたら、想像していた以上の結果で、店長も『こんなくるんですか、すごいです!』とやる気になってきました。小さい成功体験を与えると人はやる気になります。それがなかったがゆえに閉鎖的になっていました。小型店でもSNSを考えていくことによってお客さんを増やしていくことができてまさに生まれ変わろうとしていた。松阪店は売上昨対1.5倍はもう現実的で、2倍までいければ夢という感じです」(しまんくす氏) 

キング観光を中心とした伊勢の市場。地域一番はマルハン伊勢店という状況で、キング観光は改装休業に入った。ここからどう巻き返してくるか。

 松阪店で変更をしたのは、一部の広告宣伝内容と機械構成をちょっと変えたくらい。大々的に予算を投入したというよりかは、マインドを変えただけ。

 「弱くなっていくと保守的になりがちで、多くはない機種予算の中でも、甘デジだったら4円で使った後に1円に入れられるので『甘デジ買います』みたいな発想をしていました。でも、それは違うよと。キャッシュフローをまず増やさないと、どんどん考え方が弱気で少なめといったように小さくなっていきます。

 経費の割り振りも広告宣伝費が多めになっていたので、経費バランスを見直しながら、その分機械に振ろうと。売上と利益を直接産むのは機械です。広告宣伝は直接ではありません。よりダイレクトに売上や粗利を生んでくれるものをまずはそろえないと弱い」(しまんくす氏)

 まさにテコ入れをして成長を促していたエリアだったわけだが、ちょうど時期を同じくして今回の宣戦布告の相手となった競合店がグランドオープンし、その隙を突かれた。

 「あのお店って、めちゃめちゃ営業が上手いんですよ。他のエリアでもいろんな法人さんの中で一番集客していますし、元々底力が強い法人さんだと認識しています。最近になってSNSを始められていますね。伊勢店を閉めてすぐにワンボックスを2スロにしてグランドリニューアルしてきたのも、怖いなと思いました。この1カ月半が勝負でしょうね」(しまんくす氏)

 三重県のキング観光は中型店が多く、松阪店も600台規模の店舗。キング観光としては、いわゆるサウザンド戦略による主砲ばかりをそろえた展開だけではなく、中型店のブランド化にもこれから注力していこうとしている。 

  「ベンツだってSクラスとかAクラスみたいにいろんなグレードがあってベンツというブランドを成しています。大型店が嫌いな人もいると思うんです。そういう小さい店でもキング観光が選択されるようになってほしい。それでこそブランドだと思っていて、これは単店だとできないことです。キング観光って大型店ばっかだよなじゃなくて、さまざまな形態でも期待していただける。うちは今、低玉専門店はないですが、それもできたらブランドの厚みは増すと思っています」(しまんくす氏)

 年末のリニューアルに向けてどのような店舗になるかは現時点ではトップシークレットであった。

#イセキン5000台への道というハッシュタグは嘘か誠か。リニューアルは着々と進んでいるような雰囲気があるが、その内容はまだ分からない。増台するのかしないのかも重要な情報なのだが。

 

 キング観光伊勢店のリニューアルは、単なる設備の刷新ではなく、顧客に新しい価値と体験を提供するための包括的な試みである。競争が激化する中、伊勢店が地域のリーダーとして再び立ち上がり、顧客の信頼を取り戻すかどうかが注目されるところ。

 競合店がこの動きにどう対応するか、またキング観光がどのようにして業界の新しい基準を作り上げるかが、今後の業界動向を大きく左右する。年末のリニューアルオープンを目前に控え、キング観光伊勢店は地域社会とパチンコ業界にどのような変革をもたらすのか、その答えが明らかになる日は近い。

 

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