第50回 Twitter上にいるプチ有名人たちに聞く
雑誌や動画などの媒体に所属していないただのアルバイトスタッフに、数千人のフォロワーがつく時代になってきた。Twitter上でわざわざ本人が語らなそうなことを、第三者であるPiDEAが根掘り葉ほりする。
PiDEA編集部(以下略編) :エイリやん店長は、「声が大きい」「弱みも見せる」「乗っかり系示唆が上手い」という3つの特徴があると思っています。僕としてはこんな分析ですが、当てはまると感じる部分はありますか。
エイリやん店長(以下略エ):声が大きいっていうのは?
編:自分の気持ちを表現できる言葉を持っているという意味です。エイリやん店長のツイートってどこか生っぽいというか、人間味があって、告知を押し付けられている感じがない。1人の人の頭の中を覗き見ている感があって面白いんです。
エ:そういうことですか。たしかに、僕がTwitter運用で一番大切にしているのは、フォロワーの方に自分の考えを面白がってもらったり共感してほしいなということです。やっぱり店長の考えが分からないと、パチンコって勝った負けただけの結果でしか見られないじゃないですか。少しでも親近感を感じてもらえれば、勝ち負けではなく、人の部分でも遊びに来てくれる方もいるんじゃないかと。
編:最初のQ&Aで核心に触れてしまった感じがありますね。
エ:だからTwitter上で僕が大事にしているのが、コミュニケーションなんです。Twitterでは、普段当店に来たことのない潜在顧客の方に、僕のツイートに興味をもってもらうことで、「あの店気になるから行ってみようかな」と選択肢に入れてもらえると思っているんですよね。潜在顧客獲得という部分ではTwitterは大きな武器になります。
編:潜在顧客獲得のためのTwitter。これはなかなか気付いている人は少ないですよね。
エ:そうですね。グループの中でももったいないなと思う部分もあります。
編:「粗利ショート」とか、「(出過ぎちゃった)真牙狼2無理。撤去したい…」とか、結構ツイートが自虐的だったり、お店の弱い部分も曝け出すのはなぜですか。
エ:元々、僕がTwitterを始めたのは、パーラー富士さんの影響が大きかったんですよ。
編:だからかー。なんとなく似た雰囲気を感じていました。
エ:自虐ネタとか、「こんなん大丈夫なの?」ということを平気で言うパーラー富士さんのやり方ってすごく面白く見えたんです。
編:この自虐ネタの狙いってなんなんでしょうか。
エ:まずはツイートの内容に興味を持ってもらうことです。Twitterユーザーの中心が若年層から中年層だと思っていて、この層っていうのは、店長の苦悩やネガティブな発言もネタとしてとらえて面白がってくれるんですよ。でも、中年層より上の年代の方になると「よく分からない」となるので、会社の役員の方とかは僕がマイナス発言するのに最初はかなり否定的でした。
編:年代の線引きっていうのはそんなにあるものですか。
エ:これはかなりあると思っています。「ホール店長としてマイナスな発言してどうすんだ」とよく怒られました。
編:それでも貫いているっていうことは、言われたことを聞かなかったんですね(笑)。
エ:最初の頃は社内でも面白いからいいじゃん派とやめさせろ派と二極化していました。でも最終的には自由な社風なので、だんだん慣れてもらった感じですね。
編:「新台入替!」とか「何時オープン!」とかまっすぐに運用しても、誰も興味持ってもらえませんよね。
エ:ふざけるのが好きな性格なので、そういうところを面白がってもらえている部分もあるのかなと思っています。ただふざけるにしても嫌な思いする人がいないかとかコンプラ的にNGがないかというのはしっかり吟味してツイートしているんです。思いつきみたいな文章でも、ちゃんと3分くらいはそういうことに思いを巡らせてから送信しているんですよ(笑)。脱法告知とかは完全にアウトですが、これ以上いったらまずい、ギリギリセーフのラインを超えるか超えないかの瀬戸際が面白いと思っています。
編:一番攻めたツイートはどんなやつですか。
エ:「パチスロ幼女戦記を100いいねつくごとに1台導入します」というツイートです。
編:それ系って大体多くの人が乗っかっちゃうイメージですが、それで結末はどうなったんですか。
エ:いっても100とか200くらいかなと思っていたら日直島田さんのような有名な方も乗っかってしまって、どんどん増えていって、1時間くらいで667いいねついたところでツイ消しして謝罪文を出しました。
編:ハハ、やり方間違えたら炎上騒ぎですね(笑)。
エ:同じ炎上でもなるべくみんな嫌な思いをしてほしくないというのが、僕の根幹にありますから。
編:それで現役設定師さんのことをフォロー(擁護)したりしたんですか。
エ:そうですそうです。最近だとりかしゃふちゃんとか、以前だとグローバルアミューズメントの青山さんとかいろいろありましたよね。多少プロレス的な側面もあるとは思うんですよ。でも、最後はみんな良い終わり方をしてほしいです。
編:プロレスやるにしてもスポーツマンシップは必要だと(笑)。
エ:殺伐としないで円満になってほしいですね。
編:そういう乗っかり方も上手いんですよね。「朝の並びの人数を見て設定を打ち変えることもある」みたいなツイートを引リツして、そこに意見を乗せるのとか。
エ:あれはでも僕自身、根っからのイベントユーザーで昔から思っていたことですから。そういう話題性も含めてツイートを楽しんでもらいたいです。
編:最後に目標とかは。
エ:数字の目標は特にないです。Twitterは僕が面白ければ良くって、それを面白がってくれる人が集まってくれて、最終的には店に増えてほしいなと思います。
取材を終えて
ネガティブだったりギリギリを攻めるような発言も、パーラー富士のアカウントをインスパイアした運用とお聞きして腑に落ちました。ツイートの大半はフォロワーを楽しませるためのネタ。いわば「虚」。そして、その中に自分の考えである「実」を織り混ぜることで、面白がってもらいつつ防御力を高め、しかし、いつの間にか真のメッセージが届けられているという高度なテクニックで運用されています。ちなみに今でもパチンコ・パチスロは超ヘビーユーザーとのこと。