第22回 ツイッター上にいるプチ有名人たちに聞く
雑誌や動画などの媒体に所属していないただのアルバイトスタッフに、数千人のフォロワーがつく時代になってきた。ツイッター上でわざわざ本人が語らなそうなことを、第三者であるPiDEAが根掘り葉ほりする。(聞き手:PiDEA編集部コガワ @pideanaotoko1)
今回の言えない話
PiDEA編集部(以下略編)|今回は見た目がファンキーだけど、中身はど真面目に人事として採用活動を行っている、福井県タイヨーネオのはったさんです。新型コロナのため今回は電話での取材です。※写真は本人提供。
はったさん(以下略は)|ブリーチで髪がだいぶ傷んでいたので、一度髪を切りました。ベースは変えてないんですが、もう実はファンキーではないかもしれません。
編|なんでこの髪型なんですか。実は元ヤンで、そのオラつきの名残だったりして……。
は|元ヤンではないですよ。これでも一応国立大卒なので(笑)。この髪型になったのは、2018年に従業員の身だしなみ、髪の毛の色などの緩和を行ったのがきっかけでした。
編|へぇー、個性を重視するダイバーシティ的な動きでしょうか。
は|そんなカッコいいものではなく、根っこにあったのは人手不足でした。ある程度は許容していかないと人が採れんぞと。私が言い出しっぺとなり緩和の社内承認が取れました。本当に緩和されたことを分かってもらうために、まずは自分が真っ先にやろうとなったのです。
編|なるほど。ちなみに美容室ではなんてオーダーしているんですか。
は|基本はお任せなんですが、理想とするのはプロレスラー風ですね。髪質的にも量的にもアシンメトリーにした方が都合が良かったのはあります。天パなので、こういうのもやりやすかったんです。
編|ではTwitterの運用についてお聞きしたいのですが。
は|とりあえずアカウントを作ってしばらく経った2019年5月から本格運用がスタートしました。もともとは結構毒づくこともツイートしていたりして……。
編|毒っぽいことですか。
は|はい。例えば、面接の約束をすっぽかされたりした時なんかに、もやもやとした心情をツイートしてしまったんですね。そうしたら少々炎上しまして。お店に迷惑をかけてしまったのもあって、そこからはもうマイナスな発言は一切しないようにしています。
編|言葉に感情が乗ると結構反応あったりするんですけどね。
は|本当は個性を出していこうかなと思っていたけど、会社にとってもマイナスでしかないし、迷惑をかけちゃったら負けなので、そういうのはやめようと。Twitterのプロフィールにも書いているのですが、「笑顔で楽しく自分らしく働けるP店の実現」というキャッチフレーズでやっています。笑顔で楽しく働けるP店を考えて好き勝手つぶやく。あとは、採用担当の顔が見える採用というのもやりたかったのです。はったは本名ですから、とりあえず社名と顔は出そうと。
編|生産者の顔が見える野菜みたいな安心感ですね。
は|この人だったら楽しそうかもって感じてもらえたら嬉しいですね。固定ツイートのところに書いているのですが、SNSを使って採用の発言をするとか、ソーシャルリクルーティングの実現をしていこうと。
編|実際、採用活動にTwitterの効果はありそうですか。
は|「こんな感じでアルバイトがしたいです」と問い合わせのDMが月1件くらいのペースで来るようになりました。私にとってDMは本当に重要で、DMができなかったらこのアカウントの意味がないくらいです。4月に1人やっと採用できたんです。
編|ソーシャルリクルーティングを実現できたじゃないですか。
は|そうなんですよ。実績がつくれて良かったなと思ったのですが、新型コロナの影響で早期離職になっちゃって残念です。
編|新型コロナ禍の中で、採用の状況はいかがですか。
は|今年度は、中途採用者(正社員)が1名、アルバイトからの正社員登用者が7名、新卒採用者が2名でした。正社員登用数が多いのは、コロナの影響だと思っています。アルバイトの方を自宅待機にするお知らせにより、「社員になっても良いのかな…」と思っていたバイトスタッフが動いた結果という感じです。この新型コロナ禍で唯一ありがたいことです。
編 アルバイト以外でも中途採用の正社員で問い合わせがあるといいですね。
は|他県からの応募はほとんどないですね。当社としても、地元の方かつ所在がしっかり分かる方が働いてくれた方がありがたいです。中途採用でたまに他県の方から問い合わせがあるのですが、結局履歴書がこなかったりうまくいっていない面もあります。例えば、「今◯◯県に住んでいるのですが、履歴書見てもらえますか」と問い合わせがあり、「当社では厳しいと思います」と回答したら、その後ブロックされていたり。
編|それでも、この取材でフォロワーが増えたり問い合わせが増えることを願っておりますよ。
は|福井の「タイヨーネオ」っていうパチンコ屋さんの採用担当が、ものすごくパチンコが好きな奴で。こんなことやってるんだなと知ってもらえれば、それでひとまずOKだと思っています。雑誌に載るなんてことも初めてだと思うので。だからそんな大したことしてないんですよ。僕で良かったのかな。
取材を終えて……
新型コロナ感染拡大を懸念して今回は電話取材となりました。はったさんは福井県のタイヨーネオさんの人事・採用担当として、企業説明会などに参加している方です。はったさんの外見から、なんとなーくそれだけで会社の雰囲気が伝わってきそうです。見た目はファンキー。でも、実は国立大卒というエリート。電話口でも、とても知性的に答えていただいたのが印象的でした。見た目と知性的な内面とのギャップが面白いと思ったのですが、そういった〝行間〟を引き出すのは電話取材だとちょっと難しかったです。コガワ、精進します。