IR法制度「特定複合観光施設区域に関する国土交通省令(仮称)の案」の解説 – ⑧
2019.12.10 / カジノ【IR資料室】
筆者:渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士 IR推進会議委員(略歴は巻末を参照)
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2019年11月19日、国土交通省観光庁から、「特定複合観光施設区域整備法第二章の規定による特定複合観光施設区域に関する国土交通省令(仮称)の案」に関する意見募集について」(注1)(以下「国土交通省令案概要」という。)が公表された(意見・情報受付締切日 2019年12月18日)(注2)。
本稿では、国土交通省令案概要の解説とともに、2019年9月4日に公表(意見・情報受付締切日2019年10月3日)された観光庁によるパブリックコメント「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(注3)(以下「基本方針案」という。)のうち、国土交通省令案概要に関する部分についても解説する。
基本方針案における国土交通省令案概要に関する部分は、主に、①区域整備計画に定める事項の内容(下記2)、②区域整備計画の添付書類(下記3)、③認定区域整備計画の変更(下記4)、④実施協定(下記5)が中心となる。
国土交通省令の公布日は未定であるが、施行は公布の日とされた。
なお、本稿では、「特定複合観光施設」(注4)を「IR施設」、「特定複合観光施設区域」を「IR区域」(注5)という。
<目次> (緑色の章は、本ページに掲載)
1 実施方針策定の提案の添付書類(IR整備法第7条第1項) |
8 IR事業の廃止に当たり明らかにすべき事項(IR整備法第19条第1項、国土交通省令案概要)
IR事業者は、IR事業を廃止しようとするときは、あらかじめ、以下に掲げる事項を明らかにして、都道府県等の同意を得て、国土交通大臣の承認を受けなければならない。
① 廃止の理由
② 廃止の時期
③ IR事業者がIR事業の継続を図るために講じた措置の内容
④ IR事業者がIR事業の廃止に伴う影響をできる限り回避し、又は低減するために講じた措置の内容(設置運営事業等を廃止した後のIR区域の土地及びIR施設の用に供していた建物の利用又は処分に関する措置の内容並びに当該IR事業者に雇用されていた労働者について就職のあっせんその他のその職業及び生活の安定に資するために講じた措置があるときは、当該措置の内容を含む。)
⑤ 都道府県等の同意を得たことを証する事項
⑥ その他参考となる事項
(注1)https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201910&Mode=0
(注2)なお、同日(2019年11月19日)には、「特定複合観光施設区域整備法第5条第1項の規定に基づく「特定複合観光施設区域の整備のための基本的な方針(案)」(※申請期間に関する部分のみ)に関する意見募集について」(https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201908&Mode=0)及び「「特定複合観光施設区域整備法第九条第十項の期間を定める政令(仮称)の案」に関する意見募集について」(https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201909&Mode=0)も公表され、IR整備法第9条第10項に定める区域整備計画の認定の申請の期間は、「令和3年(2021年)1月4日から同年7月30日」とのパブリックコメント案が示された。
(注3)https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=665201907&Mode=1
(注4)「特定複合観光施設」(IR施設)とは、カジノ施設と、①国際会議場施設(IR整備法2条1項1号)、②展示等施設(同項2号)、③魅力増進施設(同項3号)、④送客施設(同項4号)、⑤宿泊施設(同項5号)から構成される一群の施設(これらと一体的に設置され、及び運営される「その他国内外からの観光旅客の来訪及び滞在の促進に寄与する施設」(同項6号)に掲げる施設を含む。)であって、民間事業者により一体として設置され、及び運営されるものをいう(同条1項)。
(注5)「特定複合観光施設区域」(IR区域)とは、一の特定複合観光施設を設置する一団の土地の区域として、当該特定複合観光施設を設置し、及び運営する民間事業者(施設供用事業が行われる場合には、当該施設供用事業を行う民間事業者を含む。)により当該区域が一体的に管理されるものであって、国土交通大臣から区域整備計画の認定(IR整備法9
条11項)を受けた区域整備計画(IR整備法11条1項の規定による変更の認定があったときは、その変更後のもの。「認定区域整備計画」)に記載された区域をいう(同法2条2項)。
渡邉 雅之 弁護士法人三宅法律事務所 パートナー弁護士
(略歴) | (役職) |
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1995年:東京大学法学部卒業 1997年:司法試験合格 2000年:総理府退職 2001年:司法修習修了(54期) 弁護士登録(第二東京弁護士会) 2001年~2009年:アンダーソン・毛利・友常法律事務所 2007年:Columbia Law School (LL.M.)修了 2009年:三宅法律事務所入所 |
日本弁護士連合会 民事介入暴力対策委員会 委員 日本弁護士連合会 国際刑事立法委員会 委員 第二東京弁護士会 民事介入暴力対策委員会 委員 第二東京弁護士会 司法制度調査委員会 民法改正部会 委員 第二東京弁護士会 綱紀委員会 委員 (株)王将フードサービス 社外取締役(2014年6月~) 日特建設株式会社 社外取締役(2016年6月~) 政府IR推進会議 委員 (2017年4月~) |
(主要関連論稿)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(上)』(NBL1091号(2017年2月1日号)
『カジノ法(IR推進法)の国会における主要争点(下)』(NBL1091号(2017年3月1日号)
(関心を持った経緯と今後の研究)
もともと、銀行等の金融機関のコンプライアンスを中心に弁護士業務を行ってきました。米国留学時にラスベガスを訪問しましたが、日本において同様の統合的なリゾートができれば、経済発展に非常に資すると実感いたしました。
カジノは、金融規制、マネー・ローンダリング、反社会的勢力の排除など、「小さな銀行」といった性格があり、これまでやってきた業務に非常に親近性があります。 日本においてIR(カジノを含む統合的リゾート)を導入するにあたって、どのような規制を設けていくべきかという観点から研究を続けてまいりたいと思います。
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