PiDEA編集部が「BLACK LAGOON」をみてみた

2014.06.27 / 連載

現在、ホールの中を埋め尽くさんばかりにアニメ版権があふれています。たしかに話題性があり、集客のフックにできる可能性は大きい。しかし、内容も 知らずにアニメパチンコ、マンガパチスロに飛びつくってどうなの? せっかく設置するのなら、原作のよさを知っておくべきでは? というわけでPiDEA 編集部が原作アニメを実際にみて、その良さを紹介しちゃいます。第3回は「BLACK LAGOON」。


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※若干のネタバレ要素を含むかもしれません。気になる方はブラウザバックお願いします。また、導入が決定しているコンテンツではないのでご了承ください。


BLACK LAGOONとは

先に結論を言っておきましょう。この作品、めちゃくちゃ面白いです。小学館「月刊サンデージェネックス」で2001年から連載していたアクション漫画で、これまで単行本は10巻発売されており累計発行部数は500万部。アニメ化されたのは2006年(全24話)でした。


本作のキーワード「ギャップ」

1話から、まーギャップの嵐です。物語の舞台は、存在自体がイリーガルな架空の犯罪都市「ロアナプラ」。カネと暴力が支配する街には、バカボンの本官さんよろしく、すぐ〝ぶっ放して〟しまうような連中がわんさと出てきます。そんな中で活躍するのが、主人公・岡島録郎(ロック)です。なんと日本のサラリーマン。旭日重工の社員です。ロックは第1話で「機密ディスク」を日本から海外へ運ぶ途中、南シナ海で運び屋のラグーン商会に襲われます。そのラグーン商会の弾丸娘レヴィが本作のヒロインで、この人もギャップ満載。タンクトップにホットパンツ、右肩にはセクシーな肢体に似合わぬトライバルのタトゥー、そして両の手には2丁拳銃。容姿は可愛いのに人を〝ハジく〟ことを少しも躊躇わないのです。「セーラー服と機関銃」以来の、いわゆるギャップの王道を見せつけてくれます(ちなみに、檀一雄のハードボイルド小説「夕日と拳銃」を愛読していた世代が「セーラー服と機関銃」のタイトルを初めてみたとき、「なんだその組み合わせは!?」と大きな話題になったそうです)。


ではなぜ、ロックが襲撃を受けたのか。実は「機密ディスク」には某国から秘密裏に依頼されていた核開発の重要情報が詰まっていたから。これを嗅ぎ付けたロシアンマフィアがラグーン商会にディスク強奪の仕事を発注。ロックはそんなことなどつゆ知らず、上司に助けを求めるも、一連のプロジェクトを隠蔽したい会社は「岡島君!旭日重工5万名の社員のためだ。南シナ海に散ってくれ。」とロックを見捨て、さらには傭兵まで雇い、ラグーン商会ごとロックを消そうと画策する。なんとか傭兵の攻撃を凌ぐと、行き場を失ったロックはなぜかラグーン商会入りを志願。軽いストックホルム症候群? そんなこんなでラグーン商会入りしたロックは、無法地帯「ロアナプラ」で運び屋稼業を始めるようになるわけです。

※ストックホルム症候群…誘拐事件や監禁事件などの被害者が、犯人と長い時間を共にすることなどにより、犯人に過度の連帯感や好意的な感情を抱いてしまうこと。

派手なガンアクションとハードボイルドなセリフ回し

もう一つの本作の魅力がガンアクションとセリフ回しです。冒頭で紹介したとおり、もっとも強い暴力を持っている者こそ正義、のような「ロアナプラ」では取引も命がけ。取るか取られるか(騙すか騙されるか)の関係になります。必然的に、ガンアクションは多くなり、そこでバトルしている者同士の心理描写、社会背景が見えてくるわけです。ものすごくカンタンに言うと、昔の西部劇のように、みんなムチャクチャ撃ちまくる。撃って撃って、ひたすら撃ちまくる。「セーラー服と機関銃」のラストシーンでいう薬師丸ひろ子の「快感……」状態に視聴者もなるわけです。

そんな「快感」な発砲音は、通常一般人に聞き分けられないものですが、レヴィ愛用の拳銃「ソード・カトラス」の音だけは微かに分かるのです。爆発音の後にわずかな高めの金属音(ブローバックの音?)が聞こえる。これ、何気ないことですけど、視聴者としてはちょっと嬉しいというか、世界に没頭できる要素の一つです。また個人的には、ヤクザの銀次がレヴィーの撃った弾丸をヤッパ(鍔のない刀)で真っ二つにするシーンがオススメ。その後のレヴィーの反応も含めて熱いシーンの一つです。

そしてセリフ回し。「ブラックラグーン 名言」で検索をするとたくさんヒットしますので、詳しくはそちらを見てください(多すぎて全部説明しきれない!)。しかし、ハードボイルドですよ。


「うちらの商売の足しにさえなってりゃあ、そいつは問題なしだ、わかるか? ノー・プロブレムだよ。 正義がなくとも地球は廻るぜ?」
「核爆弾がありゃご機嫌だが、政治家しか持てねぇ仕組みになってやがる。あたしらが持ちゃ、もうちょいマシな世の中に作り変えてやれるのによ」
「生きるの死ぬのはたいした問題じゃねえ。こだわるべきは、地べた這ってくたばることを、許せるか、許せねえか、だ」

もっと魅力的でシリアスなシーンもたくさんあって、ちょっと紹介しきれないんですけど、ぜひ見てください。「萌えーなアニメが見てられない!」という人こそ楽しめる作品かもしれません。


(公式HP)
http://www.blacklagoon.jp/index_fla.html

※写真はホームページより

BLACK LAGOON, サンデージェネックス, ロアナプラ, ロック, 岡島録郎, 旭日重工