外国人パチンコFIRST TAKE「中華おじに期待値を教えたら 『意味あるそれ?』で黙らせられた」
2025.07.24 / 連載中華おじに期待値を教えたら 「意味あるそれ?」で黙らせられた

前回、5人の中国人おじさんに囲まれた話をしましたが今回はその続きです。数日で帰国した5人のおじのうち1人は定期的に来日しているようで、会話はあいも変わらず翻訳ツール頼みで、お互い4割程度しか通じていない感じもあるのですが、なんだかんだと会話は成立し、たびたび一緒に打つ仲にまで発展しました。
そんなおじ曰く「北斗が打ちたい」とのこと。台所事情が豊かな中華おじに対しこちらは2期目の零細企業。スマスロのヒラ打ちなんぞ命がいくつあっても足りません。スマ機の中では甘い方とはいえ、適当な台に座って3万も入れようもんなら経営が傾きます。
ではどうするか。勝ちにいけばよろしい。期待値はすべてを肯定するのです。朝からガッツリ設定狙いをキメて、ウデの差を見せつけてやりましょう!
……というわけで、朝イチから某店の整理券を受け取るおじさん2人。見るも無残な3桁番を引き当てた私に対し、中華おじはなんと1桁を引き当てました。豪腕かよ。
「絶対に走るな。ゆっくりかつ後ろの人に追い抜かれない程度のスピードで、落ち着いて北斗を確保しろ」と指示を出したものの、若干の不安は残ります。ひとまずおじが無事に北斗へ着席できたことを確認しつつ、私はギリギリ残っていた近場のバラエティーに着席しました。
「このおっさんがトラブルを起こしたら一旦俺が聞くから!」と店員さんに一言説明を入れ、おじが遊技を開始します。「トイレの際はかならずクレジットをICカードに移してから離席するように」とユニット端末の操作方法を教えて、あんしんロックの設定なんかも教えようとしたものの、説明が複雑すぎてイマイチ伝わらなかったようです。
しばらくチャットで会話しながら打っていると、どうやらおじの台はそこそこ良挙動な様子。「絶対に移動するんじゃねぇぞ」と釘を刺しつつ、こちらはコツコツとリセット狙い。そうこうしているうち、おじの隣が空いたので、「まぁ1、2回当てるくらいまで付き合うか」と私も隣へ移動します。
BB中の会話演出でニンマリできるようになったおじの成長を眺めつつ、若干ハマった600GでこちらもBBに当選。3連で終わってしまったものの、なんとこちらの台にキリントロフィーが出現しました。普段なら「全ツッパ確定!」となるところではありますが、今日の主役はあくまでおじ。「設定」という概念を伝えるものの、イマイチ理解していない感じ。「とにかく勝ちやすいからこっちの台にしなよ」というこちらのススメに対して、おじは「いや、俺はこの台がいい」と頑なに移動を拒みます。とはいえ、こちらとしてはその方が好都合なので、そのまま並び打ちを継続しました。
北斗のワビサビなどを語りつつ、なんだかんだと夜まで2人でブン回し。おじは無想転生バトルに突入するなど、閉店時には3000枚ほどのメダルを獲得しました。こちらはというと閉店までグラフが水面下スレスレのぐだぐだ展開でマイナス500枚。
その後、ニコニコ顔のおじと2人で中華料理屋で反省会へ。ビールをあおりながらお互いの商売の話などをしていると、おじから質問が。「なぁ、さっき説明しようとしてた〝設定〟とか〝期待値〟ってのは、一体なんなんだ?」というので、「期待値ってのは、最終的には収支がプラスになるように打つことだよ」と返すと、「なんで博打なのにそんなこと考える必要があるんだ?」とのこと。何も言い返せない私にトドメの一言は、「そもそもお前負けてるじゃん。意味あるそれ?」でした。言われてみると設定とか期待値って、一体なんなんですかね。
(PROFILE)
長北真●1984年沖縄産まれ。アメリカの全寮制高校で3年を過ごし、青山学院大学法学部を卒業。パチンコ歴は20年超。ネットワークエンジニア、プロジェクトマネージャー、翻訳家、大手SNS内管理職、カジノディーラー等多彩なキャリアを積み、マレーシアでコンタクトセンター設立管理に従事。300名以上の外国人に対し、日本人向けのサービスを教育。2022年よりGlobal Pachinko株式会社を立ち上げ。低迷するパチンコ業界の新しい道を切り開くべく奔走中。Xアカウント(@global_pachinko)