外国人パチンコFIRST TAKE「『大当り→ガッツポーズ→踊り出す』 30人連れのドタバタパチンコツアー」

2025.11.30 / 連載

『大当り→ガッツポーズ→踊り出す』 30人連れのドタバタパチンコツアー

 

突然ですが、皆さん外国人向けのパチンコツアーって見たことありますか。この話をすると、「過去最大何人でやったことがあるの?」と聞かれることがあります。

 なんとなく、5人とか10人を想像されてるんでしょうけど、実は私がアテンドした中では「30名いっぺんに」がマックス値でした。

 案内したのは、台湾・香港・シンガポールの混成チームです。まずは腹ごしらえに「日本っぽいものを」とフグをつまみ、その足で事前に話をしておいたパチンコ店へ。

 ここですでに彼らのテンションはお祭りモードです。ここまでは想像できた展開ではあるので、店長さんには「今日はにぎやかになります」と事前に一報を入れておきます。「写真撮影は自席と自分の台のみOK」「通路での大声コールは控えめに」。最低限のレギュレーションだけ伝えておきました。

 そしていざ実践開始。30名を同じような機種で。しかも、できるだけ大当りを体験してほしい。そこで選ぶのは当然甘海コーナーとなります。それでも30名という人数は伊達じゃない。打ち方のレクチャーだけでひと苦労なのですが、「お札が入らない!」「貸出ボタンが分からない!」「『ハンドルは優しく右に』が伝わらず玉があっちこっちに跳ねる!」「説明している最中に別の台が当たる!」などなど。当たれば「右打ち!」、長いリーチは「一旦止めて!」、上皿が詰まれば店員さんを呼ぶ。縁日の屋台を3つ同時に回す親父のようにシマを走り回ります。

 さらにことを難しくするのは音量と彼らのテンションです。店内では基本「静かに」をお願いしたとしても、人によっては当たると起立→ガッツポーズ→身内で踊るの三段活用に入ってしまいます。完全にNG寄りなムーブですが、その日はたまたま豪雨の夜でガラガラ状態。店員さんにも事情を説明し、通路を塞がないことや他のお客さまがいる島には近づかないことを守る条件で、許容モードにしてもらいました。現場の寛容さには本当に感謝です。

 こちらも数年やってきた仕事なので、やるべきことは分かっているとはいえ、さすがに30名は体力勝負。説明の途中で3台連続大当りすると、私は走りながら身振り手振りで止め打ちのタイミングを指示し、別の列では貸出ボタンの位置を指で示し、また別の列では音量を下げ、そして最後に「カードは景品交換で使います!」を英語で繰り返すのです。

 そして、遊技終了後に必ずやらなくてはならないのが、ICカードの忘れ物がないかのチェック。サッと見ただけで500円分の残高が入っているカードが3枚、数個の玉が残っているカードが2枚と予想通り。持ち主に戻してドタバタと遊技終了です。

 端玉が大量に出ることも想定済みでしたので、打ち方は30人全員ノリ打ちにして、回収額は次の飲み屋にオールインという形にしました。こうすることで、誰かが長く連チャンすれば島全体が盛り上がり、当たらなかった人にも「何かに参加した感」が残ります。パチンコは黙々と一人でやるもの──そのイメージが強くなったコロナ禍以降、忘れられがちな「連れ打ちの愉しさ」があった夜となりました。

 結果、約3時間のセッションを終える頃には、肩で息をする汗だく坊主頭がひとり。収支額は、ほぼ全員甘海にしてはガッツリ目の負けといった感じでしたが、飲み屋でのトークは大盛り上がりで、「来年もぜひ!」という感じで解散となりました。

 そんなフィナーレを迎えた翌日、1人黙々と7枚目をサンドに捻じ込みながら、前日の喧噪を思い出しては、ちょっぴりセンチな気持ちになったのは内緒です。 

イラスト:エリートニート山ン本(@elite_yamamoto)

(PROFILE)
長北真●1984年沖縄産まれ。アメリカの全寮制高校で3年を過ごし、青山学院大学法学部を卒業。パチンコ歴は20年超。ネットワークエンジニア、プロジェクトマネージャー、翻訳家、大手SNS内管理職、カジノディーラー等多彩なキャリアを積み、マレーシアでコンタクトセンター設立管理に従事。300名以上の外国人に対し、日本人向けのサービスを教育。2022年よりGlobal Pachinko株式会社を立ち上げ。低迷するパチンコ業界の新しい道を切り開くべく奔走中。Xアカウント(@global_pachinko)

外国人パチンコFIRST TAKE, 長北真, インバウンド