外国人パチンコFIRST TAKE「パチンコでコネクトした ボーイミーツボーイの話。」
2025.09.13 / 連載パチンコでコネクトした
ボーイミーツボーイの話。

とある日。いつものお店で、ツアーに参加してきたイギリス人カップルに事前説明をしていました。すると欧米系らしき3人の男性グループが店内を物色していました。
どの台にしようか選んでいるというよりは、「これはどういったシロモノなのか?」といった感じで、パチンコ台を眺めています。あいさつしてみるとオーストラリア出身のメンズグループでした。軽く説明してあげると興味が湧き始めたようで、「ぜひやってみたい!」とのこと。こちとら一応有料のツアーなので、「どうしようかな」と悩んでいるうちに、なんとなくの流れで意気投合しちゃってる5人。まぁ2人教えるのも5人教えるのも対して変わらないし、オージーの3人には、ギャラ代わりにツアーの感想でも聞きればいいや、ということで遊技開始。ツアー参加者のイギリス人カップルも「それで構わないよ」とのこと。
イギリス人カップルに並んでオーストラリア人グループが着席し、5人で甘デジを打ち始めます。この人数になると、一緒に打つ余裕はないので、わたくしめは後ろでバタバタと盛り上げ役に徹することに。
すると、「フィーバークイーン」に着席した女性が、初当りから連荘するわ引き戻すわで大騒ぎ。反対サイドは当たりつつも単発という展開が続きます。そして何も起きない真ん中2人。店内の喧噪であまり聞こえませんが、世間話をしている様子です。
何も当たっていないのに左右の演出を見ては、なにやら盛り上がる不発の2人。それに対して左右サイドはてんやわんや。5人全員が盛り上がっているものの、こちらとしては、何かしらの説明イベントが常に起きている状態で息つく間もありません。とりあえず当たるたびに「右打ちだ〜!」と言ってみたり、長めのリーチが入るたびに打ち出しを止めてみせたり、玉が上手く飛ばないのを直してみたりと、アレコレしているうちに時間が経過していきました。
最終的に、イギリスチームがプラス2000個、オーストラリアチームがマイナス4000個という、なんともリーズナブルな数時間となりました。各々の出玉が細かいのもあって出玉については折半、いわゆるノリ打ち扱いにすることを提案したところ、全員に快諾いただけたため、まさかの多国籍軍団かのような様相に。毎回このくらいの収支なら世界も平和なのに。まぁ負けてるんですけどね!!
終わってからの感想を聞いてみるとおおむねポジティブなものではありましたが、その中でも興味深かったのが、「演出も楽しかったけど、昼間から知らない人同士で盛り上がれるのが印象的」との言葉。確かに当たっていない時間でも隣の人の演出をネタに盛り上がっていました。釣りみたいなもんだと思えば、パチンコはちょうどいい塩梅の話題提供装置になっていたように見えましたね。
旅というのは現地人との絡みだけでなく、旅行者同士のコミュニケーションも魅力の1つ。どこから来たの、どこへ向かう予定なのとか、これから見る予定のものなんかを情報交換して、旅のプランをブラッシュアップできたり。イギリスとオーストラリアという、地球の反対側の友人ができるなんてのは旅ならでは。
とはいえ、道行く人と何の脈絡もなしに親しくなるのは難しい。それは万国共通。「パチンコがそういう人たちの交流機会となればいいよなぁ……」と、イギリス男性とオーストラリア男性がガッチリ恋人つなぎをしながらお店を後にするのを眺めながら思うのでした。
……ってあれ? ちょっと仲良くなりすぎじゃない? 彼女さんは? どういうこと?
(PROFILE)
長北真●1984年沖縄産まれ。アメリカの全寮制高校で3年を過ごし、青山学院大学法学部を卒業。パチンコ歴は20年超。ネットワークエンジニア、プロジェクトマネージャー、翻訳家、大手SNS内管理職、カジノディーラー等多彩なキャリアを積み、マレーシアでコンタクトセンター設立管理に従事。300名以上の外国人に対し、日本人向けのサービスを教育。2022年よりGlobal Pachinko株式会社を立ち上げ。低迷するパチンコ業界の新しい道を切り開くべく奔走中。Xアカウント(@global_pachinko)