65歳以上の男性が1カ月で余暇に使えるおカネは6700円

2019.12.24 / コラム

ある生保が65歳以上(男性)の消費動向を調査した。65歳以上でもまだ働いているか、完全リタイアしているかの設問項目から始まり、働いていない場合の余暇の過ごし方などに迫った。

65歳以上と言うと当然年金生活者となるわけだが、彼らが余暇に使える1カ月の平均額は6700円と出た。自由に使える金額が限られていることが浮き彫りになっているが、では、余暇の過ごし方のベスト3がこれだ。

1位 読書、テレビ、音楽鑑賞
2位 散歩、ハイキング
3位 パチンコ

なんとパチンコが堂々3位にランクインしている。65歳以上と言うと成人男性なら一度はタバコと同様にパチンコを経験している世代でもある。

パチンコは近所にもあるので手軽に行けることもポイントになっているが、年金生活者は1カ月6700円では1パチを打っても、毎日ホールへ行くことはできない。

6700円しか自由になるおカネがない年金生活者の受け皿として、さらに低いレートが必要になる。実際に50銭、20銭パチンコもあるものの、1円以下のレートは採算が悪化するばかりで、主流にすればホール経営そのものが成り立たなくなる。

となると、レートを下げるよりも交換率を大幅に下げて出玉感も味わってもらう方が、ホール経営には得策であることは言うまでもない。

一物一価の徹底で等価あるいは11割分岐の高価交換の現状では、「65歳以上の年金生活者はいずれパチンコから引退せざるを得なくなる」とレポートでは警告する。

仕事をリタイアしても永続的にパチンコを楽しんでもらうためには、交換率を引き上げることに論を俟たない。

そもそも1位、2位の余暇の過ごし方はほとんどおカネがかからない。読書は図書館へ行けばいくらでも本はタダで借りられる。図書館によってはCDの貸し出しもある。ハイキングは歩くことで健康にもなる。

消費税が10月から2%増税になり10%となった。これまでも2%刻みで増税しているが従来、国民は7兆円の増税負担があった。今回はキャッシュレス決済のポイント還元など2.5兆円程度だと言われている。食品は増税後も消費は変わらないが、衣料品などの耐久消費財が苦戦している。

リサイクルショップやメルカリの台頭で新品が売れなくなっている。服だけではなく人が使った化粧品までが売れる時代で、いかに安く済ませるかにかかっている。

国がおカネを使わせたいのは一番貯蓄率が高い団塊の世代である。その世代におカネを使わせようとジャパネットたかたはクルーズ船の旅を販売している。

一部はそうやって使ってくれるが、団塊の世代である70歳以上ともなるとネットが使えないので、家の中にいながらにして買い物をすることもできない。スマホもおぼつかないのでキャッシュレスで買い物もできない。

団塊の世代におカネを使わせるにはネットとスマホは不可欠となる。

翻ってパチンコ業界を見た場合、現在50代の顧客が70代になってもパチンコができる環境を整える準備を今から始めなければならない。

20年後、ホール軒数は半減しているかも知れない。近所にホールがなければ、それだけでもパチンコを止める理由になる。20年後と言えば消費税は15%~20%になっている可能性があり、ますます財布のひもは固くなる。20年後なら財布ではなくキャッシュレスになっているだろうが。

日本の人口の1/10が集中する東京の活況を見ても参考にはならない。もっと地方を見て地方が繁盛させる方策を考えなければ、パチンコにもおカネは回ってこない。







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