外国人パチンコFIRST TAKE「3万発分の特殊景品をくれるというドバイの富豪」
2025.04.17 / コラム3万発分の特殊景品を
くれるというドバイの富豪

すべては、"おっちゃん"との出会いから始まった──。
パチンコツアーを初めてかれこれ3年近くになりますが、これは私がパチンコツアーをやろう!と決心した1つの理由となるエピソードです。
2022年10月、あれは少しだけ涼しくなり、訪日客の数もまだまばらな、コロナ禍末期のころでした。
当時は「外国人をパチンコ店に招き入れるぞ!」と息巻いていたものの、何から手を付けたものか分からず、外国人がパチンコに入店できない理由はどこにあるのかを手探りで探しつつ、合間合間にパチンコ用語集を英訳しながら、ついでに打ち頃の台がないかを探し求めて街を散策する日々でした。
そこで出会ったのがパチンコ店前で物珍しそうに中を眺める外国人。肌の色合いから見るに東南アジアか中東か。「いや、最近は欧米諸国でもこういった顔つきの人はいるぞ」と思いつつ、なんとなく声をかけてみました。どうしたのおっちゃん?といった具合です。
「アレは何をやってるの?」
「アレはパチンコっていってね。ピンボールとスロットを混ぜたようなもんだよ」
「面白いの?」
「おれはもう20年はやってる」
「プロじゃん!」
「教えようか?そんかわり一杯奢ってよ」
「乗った!」
といった具合です。
そこからは適当に見つくろった海物語を囲んで、お札をここに~、ハンドルを少し右に~、魚群が来たらアツくて~、といった会話をしつつ、数回目の貸出ボタンを押したあたりでおっちゃんの台に魚群が。
興奮する長北、困惑するおっちゃん。あれよという間にそろうジュゴン。(ジュゴンって英語ではなんと呼ぶんだったかな)などと思う間もなく、ハンドルをグッと右に捻らせて、地震が来ても警察が来ても絶対にハンドルを話さぬようにと伝え、後はしばらく談笑しながらの遊技へ。
結果、連チャンは小一時間ほど続き、おっちゃんは3万発に届こうかという出玉を獲得。わたくしはそれを眺めながら単発を1つ引き当て、まぁツイてた方かな。夜桜超旋風の時速3万発超えは嘘ではなかったのだななどと思い耽っていました。
結果、おっちゃんは大満足で去って行き、なぜかわたくしの手には3万発超の特殊景品だけが残されました(どうしてこうなった)。
誓って、ついカッとなって犯罪に手を染めてしまったわけではございません。わたくしはそういったところ、意外とクリーンです。まぁでも、出玉をちょっとだけ分けてもらってもバチはあたらんやろ、ぐらいは思いましたが、何故か全額でした。
ものごとには程度というものがあるよ……おっちゃん……。
というのもおっちゃん、実はドバイの出身で、日本へは取引のために来たのだそう。そしてイスラム教徒であるために、賭博行為は厳禁。「景品を受け取ってしまったら国に帰れない!」とのこと。
日本のカルチャーを体験できたし、「親切に教えてくれたからこれは全部キミにあげるよ!イスラム教徒は飲酒もNGだから、これで1杯やって!」と言い残し、おっちゃんは夜の街へ去って行ったのでした。
後日、『これはイケる!』と息巻いて、パチンコツアーを立ち上げるに至るわけですが、3年近く継続した今も、ドバイの石油王のご参加はありません。どなたかご親戚に石油王がいらっしゃる方、早めのご連絡をお待ちしております(長)。
(PROFILE)
長北真●1984年沖縄産まれ。アメリカの全寮制高校で3年を過ごし、青山学院大学法学部を卒業。パチンコ歴は20年超。ネットワークエンジニア、プロジェクトマネージャー、翻訳家、大手SNS内管理職、カジノディーラー等多彩なキャリアを積み、マレーシアでコンタクトセンター設立管理に従事。300名以上の外国人に対し、日本人向けのサービスを教育。2022年よりGlobal Pachinko株式会社を立ち上げ。低迷するパチンコ業界の新しい道を切り開くべく奔走中。Xアカウント(@global_pachinko)