20スロを打つ高齢者をターゲットにした攻略詐欺に要注意

2020.02.11 / コラム

週刊誌記者が借金トラブルを抱えている人を取材する過程で攻略詐欺に引っかかった人に出くわした。

20代後半の男性は新宿のホールでスロットを打っている時に声を掛けられた。

「スロットの攻略法があるので、その手順を教える。絶対儲かる」というもの。うまい話には裏がある典型だ。

半信半疑ながらも口車に乗った。男と一緒に攻略ができる埼玉県内の店へ移動した。

男は50ゲームで当たる押し方を若者に教えた。その手順通りに打つと1万円も使わないうちに11万円も出た。

すっかり攻略法を信じた。確かに攻略できるBモノは存在していた。

男は「全国の台で通用するものではない。あらかじめ仕込んだ台だけに通用する」と付け加え、攻略法は100万円を提示した。

若者はすぐに元が取れると思い、借金して100万円を工面して攻略法を買った。そして、男から指定された店で打つものの当たることはなかった…。そのうち連絡もつかなくなった。

仲間にその話をすると「馬鹿だな。詐欺に引っかかっている」というのが一致した意見だった。

騙されて1年以上が経過した。騙された100万円を取り戻したい、という悔しい気持ちだけは持ち続けていた。

そんな折にスロット仲間から誘われたのが攻略法を販売するグループに入る話だった。騙された側が騙す方に立場が逆転する。

「未だに騙される人はいる。絶対にバレない攻略法があるというと乗ってくる人はいる」という。確かに自分が騙されている。人間に欲がある限り詐欺にひっかかる人はいる。

ターゲットは20スロを打っている高齢者だ。20スロを打つということは、そこそこのおカネは持っている証でもある。

まず、声を掛けるのは出していない人。

そして、声を掛けると共に、相手を観察しながら10万、20万、30万と値踏みする。

攻略法は最高額で30万円。50万円以上となると警察に駆け込まれるので30万円までに抑えている。

「年寄りはやり方を教えても覚えられないので、『出ない』と苦情がきても『やり方が間違っている』で逃げます」

このグループは一定の場所に留まることなく、ビズネスホテルに泊まりながら全国行脚する。

「1カ月最低でも2件は決まり、金額でいうと20万円。いい月は200万円ぐらいになる」

攻略詐欺グループには、特殊詐欺グループのように騙し方のマニュアルがあり、それを50万円で買う。さらに親玉には毎月10万円の上納金を納める。

騙す相手との連絡はケータイだが、1~2カ月で使えなくなる。特定の番号だと足がつくからだ。新しい番号のガラケーはグループから10万円で買い取る。

で、現在この若者はどうしているか?

「ひと財産築いたので今は抜けています。抜ける場合にも100万円はかかりますが」

20スロコーナーで打っている高齢者に声を掛けている不審者を見つけた場合は、要注意。あなたのホールの常連客が攻略詐欺の餌食になっているかも知れない。ポスターを張って注意喚起を促すことも必要だ。






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