【ピデアな男】キクヤ一宮店/店長、前田紘幸氏インタビュー。グランドオープン当日に何を語る?
2026.05.15 / ホールおよそ2年ぶりのグランドオープンとなった。
愛知県一宮という地名にちなんで、総設置台数は1380台(パチンコ560台、パチスロ820台)、更地を買い上げ店舗を新築しての大勝負だ。
その大きなプロジェクトを任されたのが、「室長M(@situtyom)」というXアカウントでも話題になっている前田紘幸店長。
日々の考えを長文でしたためたり、動画で語りかける姿勢が特徴的で、誠実な熱い雰囲気をまとっている。
今回のインタビューでは、そんな前田さんが目指すキクヤ一宮店の未来を聞いていく。どこを狙い、将来どのような店舗になっていることを想像しているのか。軍団対策への発言など話題になったことについてもじっくり触れていこう。
PiDEA編集部(以下、編) グランドオープンおめでとうございます。まず、今日の衣装についてお聞きしてもいいですか。
前田紘幸店長(以下、前) あぁこれですね。まず、この店をグランドオープンさせるにあたって、設備的なコンセプトをもっていなかったんです。それで何かお客さまに親しみがあるコンセプトを作らないとと考え、いろいろと調べてみると、愛知県はスポーツが活発でさまざまなプロ団体が多いことが分かったんです。キクヤの直近のグランドオープンとなった堺本店が「大人の闘技場」だったので、お客さまを熱狂させる場所にしたいと考え、「大人のスタジアム」にしました。それにちなんだ衣装です。
編 なるほど。前田さんって現在おいくつなんですか。
前 40歳です。キクヤ入社が15年前で、店長歴は10年ほどです。
編 キクヤの中で店長としては最年長ですか。
前 もう1人40歳の人がいるのですが、店長クラスの中では最年長ですね。
編 キクヤの店長さんってクセが強い方が多い印象がありますが、その中でまとめ役をやられたりしているのでしょうか。
前 一応は。ただキャリアというより、クセがある店長たちの中で、一番常識人なのが僕だからなのかもしれません。
編 ご自分はクセはない、と思われているということですか。
前 普通だと思っているんですが、クセありますか?
編 大変失礼ながら、Xでユーザーに語りかけるような動画を出されているじゃないですか。あの時の目がギンギンになっているように見えます(笑)。
前 いつも疲れている時に「撮影するよ」と声をかけられるので、そのせいだと思います(笑)。
編 さて、今日はグランドオープン初日の取材ですが、準備も大変でしたよねきっと。お疲れさまです。
前 この店長として任命されたのが去年の9月なんです。その時は穂積店だったけど、そこから一度離れて千葉店の店長サポートを務めました。千葉にいながら、とにかく一宮のマーケティングをしていて準備期間は約10カ月ありましたが、あっという間でした。
編 この一宮という市場について、どのように分析していますか。
前 新店の出店が久しくなかった地域です。人口は約35万人いますが、そのうち20%が市外に流出する市場です。それでいて、一宮を囲うように上小田井、大口、稲沢などの強いホールに囲まれています。遊技人口自体が流出している商圏だと分かっていたので、それをいかに戻していくかが要かなと思っています。お客さまは市外に価値を求めて移動されていたので、いかに価値を取り戻すか。市街のお店より価値をつくって流出を防ぐ戦略が必要だなと。
編 ちなみに市街に負けない価値とはどんなものでしょうか。
前 まずキクヤ自体が出玉や機械でブランドを構築してきました。あとは設備的に強力なコンセプトがない。今まで培ってきた人海戦術で総出で挑みます。
編 店内のさまざまなPOPなどを内製したとお聞きしました。
前 社内にそういう部署があるんです。例えば、既製品で数万円かかるようなものを内製してしまったり、この店舗でいえば数千万円は本来かかるコストを抑えられました。
編 その中で一番コスト削減効果が大きかったものってなんでしょうか。
前 一番効果が大きかったのは、島端インフォメーションという光るパネルです。あれが本来1個あたり5~7万円くらいするものなのですが、1個10,000円で制作しました。それが160個ですからね。
編 そういう会社としての強さがそのまま営業にも現れそうですね。数千万円のアドバンテージがあるわけですから。
前 建物自体もシステム工法という、体育館を建てる時と同じ作り方を採用し、柱がない分コストを下げられました。
編 徹底したコスト意識というか、社内にクリエイターもいるし、業者のような施工ができる方もいる。元からそのような会社のスタイルだったのですか。
前 キクヤ穂積店がグランドオープンした2014年頃、会社が思うように業績を伸ばせない時期があったんです。キクヤらしく攻めの姿勢を見せようということで、その時に再生企画室という部署ができました。ホールにいた人材を引き抜いて、いろんなものを内製化していくプロジェクトでした。コストを浮かせばそれだけ機械を買えたり、出玉の原資にすることもできます。キクヤは物作りもそうですし、風通しの良さとなんでもチャレンジする会社です。店長が焼きそば焼くという法人も最近増えてきましたが、あれもキクヤが一番最初にやったことです。
編 店長が焼きそばを焼くっていうのが重要なんですかね。
前 店長が自分たちで焼いていると、意外とお客さまの生の声が聞けるんですよ。店長がお客さまと直接お話しできて、直接フィードバックできる場所として機能するんです。穂積店でも焼きそばを焼くと瞬間的に150名くらい買いに来られます。
編 どなたが「店長が焼きそばを焼く」という企画を考えついたんですか。正直、「焼きそば? なんで?」となりませんでしたか。
前 一番最初にやったのが、今島店にいる山下という者です。かつての戸田店があった時にやってみたところ、想像以上の効果を得られたと。当時はそれを真似る店長とやらない店長とで分かれました。僕なんかも、最初はピンと来ていませんでしたが、やってみたら事実業績ではないけど、そういうのが出たんです。今となっては、ほぼ全店長が焼きそばを焼けますし、焼けなかったら店長になれない。それくらいお客さまとの距離感を大切にしているということですね。
編 来店とか取材とか、そういう手段ではなく焼きそばという手段で業績を上げられるなんて、誰も思いつきませんよ(笑)。
前 来店や取材を否定はしませんが、自分たちの価値を自分たちでつくらずに、他のもので価値をつくろうとしているのがパチンコ業界で流行っていますね。もっと時代を遡ってみれば、お客さまとのコミュニケーションも活発だったし、パチンコホールは元々コミュニティーの場でもあったし、それが大衆娯楽の形だったと思います。今はスマホやSNSの時代で、手元でどれだけでも遊べてしまう時代です。反対にパチンコってお店に来ないと遊べない。今となってはニッチなところを取りにいかないといけないビジネスなんです。「キクヤ一宮店では演者を使いません」と表明しているのも、それ自体を広告的に展開してニッチな客層を取りにいく戦略なんです。
編 バズったプロ対策の決意表明も、良いプロモーションになりましたね。
前 最近Xを勉強していて、狙い通り拡散されました。あれは、軍団という定義を明確にして、白か黒かを議論できるような場を作れば拡散されるなと思ったんです。間違ったことは言ってないつもりですし、良いプロモーションになりました。
編 反響はいかがでしたか。
前 直接電話もありましたよ。「あれはどういう考えで発信しているんだ」と。僕の中では、軍団と専業は全然違っていて、1人の親が子を使って稼ぐというのが軍団です。軍団がなんでいらないかというと、僕が大衆娯楽という価値を追い求めたいからです。これは感情論ではなく、今のパチンコ業界の逆張りをした方がニッチな層を取り入れられると信じているからです。お客さまは身銭をきって毎日打ちに来てくださる。でも隣には軍団がいて、1人が儲かる仕組みになっている。そういう存在がいるのが僕が許せないというか、自分たちのチャンスを奪い取ってしまっているお客さまが許せないだろうなと。その感情を大切にすることが成功への道だと考えていて、それがキクヤ一宮店の価値。その価値を追求していく上では、軍団はいらない存在なんです。
編 前田さんは「ニッチな層を取り入れる」というお話でしたが、それで1380台は埋まるのでしょうか。
前 一宮は35万人市場で分母が大きくポテンシャルがあります。ただ、それが果たして何人いるのか導き出すことはできません。仮に同じことをキクヤ長良店でやっても失敗すると思います。でも、だからといって周りと同じことをやっても同質化してしまうだけで、機械と出玉だけに頼るやり方を5年、10年先に同じことができるのかということを考えています。同質化した市場で、勝負を仕掛けたところにお客さまが流れるというのがパチンコホールが成功する構図です。挑戦する価値はあると思っています。
編 振る舞いも考えも完璧超人のように見えるのですが、素の前田さんって一体どんな方なんでしょうか。
前 僕ですか。かなり腹黒いとは思っています。何でも狙ってやることが多くて、必ず撒いたタネは後で回収する人間性ですよ。Xでは綺麗事も言うけど、それがお客さまの実来店につながればいいと思ってやっています。なのでXの中で有識者みたいに扱われたりチヤホヤされたいみたいなのはなくて、とにかく一宮店を成功させるために自分の考えを発信しています。
編 仕事の部分では本当に強いですね。だからこそ、オフの時の人間性も気になっているんです。
前 パチスロ大好きで18歳くらいから打っているただのパチンカスです。元々は自堕落な人間性でした。だらしないというか。
編 どうやって変われました?
前 キクヤで良い先輩、良い上司に恵まれて、本当に「こういう人になりたい」と芽生えるようになったからです。それからは、「本を読まないと」とか、「勉強しなきゃ」「知識入れないと」という意識に変わりましたし、店長になるんだったら身だしなみも含めて、自分を律するようにしないといけないと思うようになりました。自分との戦いは常にしています。
編 例えばどんなことですか。
前 最近だったらFF7のリメイクをやりたいけど、ちょっとでもやったらグランドオープンの準備も遅れてしまうかもしれないと思って控えていますし、ジャンプの愛読者で毎週買っているけど、読んでいません。元々自分に甘いので、喝を入れるためにもダイエットも頑張って25キロ落としました。
編 25キロはすごい。元々何キロだったんですか。
前 一番多い時で90キロはいきました。上司から、「もしかしたら一宮の新店を任せるかもしれない」と聞いた時に、このまま自分に甘い生活を送っていると絶対数字に影響するだろうと思って、自分に厳しくしました。
編 自分を甘やかしたくなる瞬間があると思いますが、どうやって律していますか。
前 正直、人生あまり恵まれた方じゃなかったと思っています。だからこそ、一番は家族の生活を守りたいという気持ちが自分を厳しくさせてくれます。あとは、ここまで育ててくださった後藤社長をはじめ、幹部の方々に対して、裏切りたくないという気持ちが強いです。SNSではそうでもないけど、リアルの部分では承認欲求が強い方なので、お世話になった方に褒めてもらったりするとすごく嬉しいんですよ。
編 そんな前田さんからみて、キクヤ一宮店の成功のビジョンは、もうすでに見えていますか。
前 まず、自分がここを見るのは一年くらいだなと思っているんですよ。一年後に次の店長の武器となるもの用意しないとなりません。例えば沖ドキゴージャスが93台あります。沖ドキって単価が高くて、出る時は出るし抜ける時は抜ける良い機種です。自分がいる間に地元のお客さまをつけたいです。
編 具体的な目標はありますか。例えば、県内一位の稼働率とか。
前 まずは足元を狙っていくので、最初の頃は難しいかもしれません。でも狙いが成功すれば、2年後とかに愛知県一位を狙えるんじゃないかと思っています。そこに到達するまでには、会社としても結構長い目でみていると思います。
編 2年後には前田さんも別の店舗でしょうね。
前 それで良いんです。自分が一位になりたいわけじゃなく、若手店長に花をもたせたいですよね。年齢的にもそういう役目なのかなと思います。次の店長が一位になった時に、初めて自分が報われる。そういう気持ちでやっています。
編 後の先というべきか、ある意味で攻めの姿勢ですね。
前 まぁ正直な話をすると、イベントごとをやってピーク稼働をつくるとかは苦手だったりします。足元のお客さまをじわじわ固めて、長い目で業績を上げる。それが自分のスタイルです。
編 沖ドキも含めて台数構成はかなり攻撃的に見えます。パチンコも全台フル稼働でスタートでしたし。
前 PS比率は結構悩みました。特にパチンコ。4円を最初は480台でスタートさせようと思っていたのですが400台にし、一円は200台から160台にするなど徐々に減っていきました。でもパチンコ店ですから、牙狼も低貸しを合わせて110台。パチンコでもしっかり足元を固めていきます。
編 キクヤというブランドの強さがあってこその機械戦略ですね。
前 そういうのも含めてせっかくのグランドオープンなので、我々と一緒に盛り上がってほしいと思います。あまり業界的に注目されていなかった一宮という地域に注目してほしいですね。
インタビュー●PiDEA編集部コガワ(@pideanaotoko1)
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