【ピデアな男】アビバ関内店/店長 星野 竜汰

2026.01.19 / ホール

勝って良かったより、

負けても納得してもらう方が難しい。

そのために必要なのが、

期待値の緻密なコントロールだと思っています。 

 Xのアカウント名は「脳汁王子」。養分打ちを好み、ユーザーと同じレベルで対話ができる今時珍しい業界人として知る人ぞ知る人気店長アカウントの1つだった。それを運用しているのが、前職のパチンコホール企業を退職して、アビバホールディングスに再就職した星野竜汰さんだ。入社してすぐにグループ最重要旗艦店のアビバ関内店店長を任されているだけでも、会社からの期待の大きさを感じざるを得ない。そんなシゴデキ店長である星野さんのパチンコホールマネジメント、ガバナンスはどのような思想が背景にあるのか。これは「脳汁王子第二章」。大いなる挑戦の始まりをインタビュー記事に起こした。


店長の仕事で一番重要なのは、環境整備です。

よくない行為をずっと見てみぬふりをするのは、

会社のブランドを損ねることです。 

PiDEA編集部(以下、編) 星野さんは見た目もスタイリッシュでお若そうに見えますが、現在おいくつなんですか。

星野竜汰店長(以下、星) 今32歳です。業界歴は8年で、24歳の時にこの業界に入りました。

編 24歳というと大学卒業してから……?

 大学を2回留年してから社会人になっているんですよね。前社のパチンコホール企業に入社してそこで7年間に複数店舗で店長などを経験させてもらい、今年アビバに入社したんです。

編 留年されたというのはもしかして……。

 ご想像の通りです。大学生の頃に学校にも行かず、パチンコ・パチスロばっかり打ってたからですね(笑)。

編 いえ、業界人としては素晴らしいと言わざるを得ません。ちなみに8年前というと、どのあたりの機種ですか

 それこそ今出ている「化物語」の5号機が出たくらいの頃です。他には「北斗転生」とか。

編 就職活動はいろいろとされていたんですか。

 新卒予定だった頃は、他業界も含めて就活していました。保険業や不動産業の会社から内定は出ていたのですが、留年が決まって内定が取り消されたりしていました。その中の1社に、私が以前勤めていた企業もあって、「学校をやめるか就職するか選んでほしい」と言われました。パチンコは好きだったし、2回も留年したなら、卒業してもしなくても大して変わらないということで大学を中退して働き始めました。

編 星野さんといえば業界内では話題になるくらい有名だったわけですが、会社も安定されていたのに移籍されたのは何か理由があったのでしょうか。

 知っている人は知っていますが、前の会社には本当にお世話になりましたし、成長させてもらいました。今でもかつての上司や同僚と連絡を取り合っているくらいです。結構早く出世させてもらったり、新規事業などを任せてもらったこともあり、キャリアは綺麗だったと思っています。それでも、30歳になったタイミングで「残り30年間このまんまなのかな」と漠然と挑戦したい欲が出てきまして、それでやめる1年くらい前から役員にも相談して、長いこと話し合いを続けていたんです。

編 挑戦というと、業界外も視野に含まれていた感じでしょうか。

 はい。サラリーマンではなく、自分で起業することも考えていました。ただ、具体的なプランはなく、とりあえず休養しようということでプラプラしていたら、割と私のことを認知してくださっている業界の方が多く、やめた瞬間から複数の企業さんからコンタクトがありました。

編 「次決まってなければ、ウチで働きませんか?」みたいな。

 そうです。前職をやめたとはいえ、パチンコホール店長としてのノウハウを生かした方がいいだろうとは思っていました。仕事も楽しいですし、必要とされるならもう一回やってみようかなと。それで都内の店舗だと、前職との競合になる可能性もあり、不義理になってしまうので、アビバがマッチしたんです。 

編 結構Xなどで名前や顔出しをしていたり、数万アカウントあるような方にオファーが殺到するものだと思っていましたが、星野さんって前のアカウントでも顔出しも名前も公表されていなかったですよね。フォロワーも4000くらいだったような……。

 4000いってなかったと思います。Xについてはフォロワー数にこだわるというより質にこだわっています。ちゃんと顔が分かる人しかフォローバックしていないですし、そういう方だけがリプを書き込めるようになっています。

編 リプを完全閉鎖しているわけではなかったんですね。

 「私が直接認識している方しかフォローしていませんよ」という演出です(笑)。まぁ、投稿する内容も店長っぽくないようにもしていましたし。

編 と言いますと、どんな投稿だったんでしょうか。

 近隣の競合店で毎日「からくりサーカス」を打っているようなスロアカっぽい運用でした。一方、ある時は担当する店舗の1周年の際に、ヘリやリムジンを借りてパーティーをしたことがありまして、その時にヘリに乗り込んで、スマホで空撮をしたんです。営業なんて全然関係なかったのですが、「ちょっと道路の混雑状況調べてます」みたいな一文を添えたらそれが結構話題になったりしまして。

編 それで人気になっていったんですね。星野さんの営業手腕にも触れていきたいのですが、これまで歴任してきた店舗はどこも業績を上げられてきたのでしょうか。

 上司や部下、仲間に恵まれてたのが大きいと思っていて、一応、任されてきた大体の店舗は上がっています。朝の並びの人数などは顕著に表れていて、特にパチスロに関してはうまくいっていた感覚があります。  

編 星野さんの実績を聞くと、業績を上げて当たり前のように見えるのですが、どんなやり方をしたんでしょうか。

 演者などはゼロでしたね。その代わりに自分が前に出るスタイルです。「今日は店長がいる」ということを期待感のように感じてもらえるような方針に切り替えていくのがスタートでした。

編 そこからの展開も気になります。

 やっていること自体はシンプルですよ。朝の抽選は必ず自分でやります。そこで顔と名前を売るためです。住所や電話番号などは書いていませんが、自分の名前と肩書きを大きく書いたお客さま向けの名刺をつくって、「当店に何か問題がございましたら、『星野呼んでこい』と言ってください。直接お話、お聞きしますので」と。

編 できる店長は、店頭でのコミュニケーションや治安維持をまず大事にすると。一方で稼働を上げるためにはどのようなお考えをお持ちでしょうか。

 基本は期待値のコントロールだと思っています。私の営業の認知のされ方としては、グループ内で「脳汁王子が一番出している」という感じだったと思います。見せ方、見せる日に向けての期待値のコントロールは、かなり綿密にやっていましたね。

編 期待値を高めすぎてもいけないし、低いと集客できないし、非常に難しいところですね。

 難しいですね。勝ってよかったと言われるより、負けても納得してもらう方が難しいと思うんですよ。それは結局期待値のコントロールに尽きるのかなと思います。で、その手前のレイヤーに環境整備があるんです。ここはかなり自負があります。

編 軍団や専業などの方々への対応ということでしょうか。

 一言で言うと、「マナーを守っていただけない方」ですね。ここは部下任せではなく、徹底して毅然とした対応を取って誰よりもやってきたと思っています。

編 どうしてもグループで攻略をされるとそこに割を食われてしまいますよね。

 お店から対策される人たちの定義もいろいろ解釈があると思いますが、私からすると、お金だけを目的に来ているのがそうかなと思います。例えば、朝イチ休憩を取って判別するみたいなこともそうです。そういうことをやるかやらないかが重要で、人数の問題ではありません。傍から見て、気持ちよくない行為をずっと見てみぬふりをするのは、お店の業績だけではなく、会社のブランドを損ねることです。申し訳ないですが、そういう人たちはお客さまではないと判断してしっかりと対応していきます。

編 店長の仕事はいろいろあると思いますが、何が一番重要だと思いますか。

 一番は環境整備です。それはお客さま側もスタッフ側も両面ですね。例えば設備なんかもそうですが、ランプが故障しましたと。でも、この業界って修理したりするのに一個一個全部高いじゃないですか。その結果、後回しにしていたりすると、その蓄積がボディブローのように効いてきます。そういう落ち度があると、スタッフもモチベーション高くお客さまに対応できません。ここも非常に重要で、安心できるエンタメ空間といったような環境を提供することはプロとして当たり前です。AIが発達する中で、私たち人が働いているということは、そこに注力できる環境を店長がつくっていくべきなんじゃないかなと思います。 

編 アビバ関内店の店長に就任したのが10月31日でしたが、それが決まった時どのように思いましたか。

 数字的な部分は想定ぐらいというか、9時オープンなので東京よりさすがに上積みがあるなと思いました。4円パチンコはめちゃくちゃ強くて、逆にパチスロはもっと伸びしろあるなという印象です。数値面ではグループナンバーワン店舗ですが、市場では2番手の立ち位置のお店になります。比較対象の競合店、そして広域に対してもどのように集客しながら定着につなげ、安定した成長軌道を描けるか。試行錯誤しながら、毎日少しずつでも今より良くしていくということの難しさに真剣に向き合っていかないとと思いました。

編 勝機はありますでしょうか。

 うーん(笑)。全体トータルして勝つのは難しいところはありつつも、それでも勝つことを目指さなきゃいけないポジションの店です。難しいとしか言いようがないです。

編 どんな形を勝利の定義とするかは分かりませんが、もうすでに動き始めているのでは。

 そうですね。ただ、自分が「こうするべき」とか「したい」ことはまだ全体の2割に満たないくらいしか実現できていないんですよね。会社が変わればリソースも変わりますし、最終的にやるのは人なので。私は外部から来た店長ですし、副店長も私より年上の方です。いろいろ思うところはみんなあると思います。プロパーの人を下につけながら、自分が思い描いているものと、会社のビジョンを近づける作業をしなければなりません。会社としては旗艦店ですしブランドを象徴する店舗という位置付けです。内側からも変えていく必要があります。

編 内外に課題は多いと。

 今がダメなわけじゃありませんが、より時代に沿ったもの、今の良いところをさらに伸ばしながらアップデートしていこうとしています。  

編 星野さんが店長になってから2カ月近く経ちますが、変化はありましたか。

 稼働は時期的なものもありますのでぼちぼちですけど、スタッフの意識みたいなところは、言動とかも含めて少しずつ変わってきています。

編 12月21日の周年も600人で打ち切りになられたようですね。新生脳汁王子にお客さまが期待することってどんなことだと思いますか。

 もちろんパチンコホールなので出玉的なところも期待されていると思いますが、自分の特徴として「ここぞと言う時に外さないイメージ」が強いかなと思います。期待されている日に外したこと一回もないと思っています。

編 期待されている日はどんなことを考えて営業に臨むのでしょうか。

 一概には言えませんが、入場から退店するまで期待と納得をもって1日過ごせるような感じですかね。入場1番の人なら何を打つか。100番の人なら、600番の人ならと打ち手目線でシミュレーションします。「この店は毎回コレしかない」みたいな良番特権のお決まり機種は作らず、「どんな機種でもどんな量でもあり得る」を体現するのが特徴かもしれないです。

編 脳汁王子だとハナハナのイメージも非常に強いですよね。

 ハナだけは特例です。今は恐らくですがハナハナに関しては神奈川No.1の月間稼働になっていると思います。東京に居た時はハナハナを設置してるお店も少なかったのでなおさらイメージが強いと思います。

編 どうしてそこまでハナハナ推しなのかお聞きしてもいいですか(笑)。

 ハナハナが好きだっただけです(笑)。ハナハナを設置している店が近隣には少なかったですし。

編 地域によって人気が非常に高い機種ですが、そうではない地域でどうやったら稼働維持できますか。

 「赤字を耐え抜く精神力」……、ですかね(笑)。ビジネス的には、ハナハナとジャグラーって客層が違うと思っていて、ハナハナってニッチな客層がいるんですよ。そのニッチ顧客をつかまえることができたら、ジャグラーと違って、一駅乗ってでもハナハナ打ちに来てくれるんですよね。それは自分がそうだったからよく分かっています。

編 ちなみに最近は打ちに行けていますか。

 今はちょっと時間がつくれなくて、あまり打ちに行けてないんですよ。基本は毎日打ちたいと思ってる派なので。

編 どんな遊技スタイルなんですか。

 抽選も受けたくないくらいなので、超養分打ちですよ。今年(2025年)の収支も大変なことになっています。

編 今後関内店をどのようなお店にしていきたいと思いますか。

 誰でも安心して楽しめるようなお店にしたいなと思っています。瞬発的に明日の売上を500万上げてくれと言われたら有名な媒体入れればいいんです。でもそれではダメだと思っていて、長期的に持続可能な業績は今やっている改革にかかっていると思っています。環境整備は業績との関連性を評価しづらいし、店長としてもめんどくさくて時間もかかるから放っておきたい。でも、関内店はそれをないがしろにしてきた期間がちょっと長かったんです。だから、私がいる間に変えられるところは整えて変えていこうと思っています。理想は「店長が何もしなくてもいいお店」です。自分が指示出さなくても皆んなが自発的にやってもらえるような環境を目指します。 

 

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