スマスロハナビ 辛さが描き出す業界の未来

2026.03.27 / 機種

2026年2月2日、「スマスロハナビ」の市場導入が始まった。本機は6号機の「新ハナビ」ではなく、5号機の「ハナビ」を踏襲したような作りとなっている。「A PROJECTチャンネル」の最速解説動画でも、「ベースが5号機ハナビ、所々に新ハナビのエッセンスも入っている」と紹介されているほどだ。

そんなスマスロハナビだが、導入直後からSNS上で「辛い」という感想が飛び交った。具体的な意見を抜粋すると「BIGが引けない」「ボーナス間1,000ゲーム規模のハマりをちょこちょこ見る」「設定1で出玉率100%を超えると言われているが本当か?」というような内容だ。

これらの投稿をしたユーザーがどこまで正確にスペック面を見ていたかは定かでないが、公開されている各種数値を比較すると納得できる部分も確かに存在する。というか、出玉率を横並びで比較すれば「辛い」という結論に至るのは当然のことだと思う。

しかし、スペック面を新ハナビではなく5号機のハナビに寄せたことで生まれるメリットも当然存在するのではないか。本稿では、スマスロハナビが「辛い」と言われがちな理由について深掘りをしつつ、ユーザー目線だけでなくホール目線の意見も交えて、スマスロハナビの役割について考察していく。

 

「スマスロハナビ」の辛さの正体は何?

まず、ボーナス周りのスペック面を比較していこう。ボーナスの出現確率と出玉率は各表の通り。

スマスロハナビ

新ハナビ

 

スマスロハナビは設定1から設定6でボーナス合算1/169.8〜1/138.8、新ハナビは設定1から設定6でボーナス確率1/156.0〜1/131.6。BIGとREGそれぞれに分けて比較した場合も、すべての設定においてスマスロハナビの方が出現率が重くなっている。

続いて、いちユーザーとして遊技した時に、出玉に直結する部分での主な違いは以下の通り。

BIGの獲得枚数が増えた代わりに、出現率は低くなってしまった。REGの技術介入度が低くなった代わりに、最大獲得枚数が減少した。出玉設計上、どこかを変えるとどこかにしわ寄せが生じてしまうのは仕方のないことだ。しかしそのしわ寄せが、目につきやすいボーナス確率と獲得枚数に影響を与えたのであれば、辛いと思われて当然だ。花火チャレンジ・花火ゲームに関しては、単純に純増枚数が減少している(微々たるものなので体感では認識できない程度だが)。

 

小役確率の分析

ボーナス確率以外にも、50枚あたりのベースとなる回転数が減少していることにも注目した。 

通常時にベースを担保するメイン小役はリプレイ・風鈴・氷。リプレイ確率は両機種ともに同じ数値なので、風鈴と氷の両役の出現確率を比較したところ、スマスロハナビは新ハナビと比べて、風鈴の出現確率が圧倒的に低く設定されている。しかしその分、氷の出現確率が高く設定されており、払い出し枚数も15枚に増加している(5号機ハナビに戻っている)。新ハナビでは通常時のベースの大半を風鈴が担保していたのに対して、スマスロハナビでは氷がベースを担保する割合が高まったと言える。

仮に両機種の設定1を8,000回転、1日打ち込んだと想定して計算すると、理論上新ハナビでは風鈴・氷が合わせて約1,195回入賞するのに対して、スマスロハナビでは約1,004回の入賞に留まる計算となる。小役確率が重くなった分、短時間の実戦だと小役の偏りによってコイン持ちが悪く感じることが増えるだろう。ましてや、氷は取りこぼす可能性もあるため、打ち手によってはさらに通常時のベースが下がることも考えられる。

 

ホールコンサルタントに聞く、「スマスロハナビ」と「新ハナビ」の違い

実際のホールの現場では、スマスロハナビと新ハナビはどのような数値を示し、どのように運用されているのか。ホールコンサルタントとして活躍している方にお話を伺った。

 

飯田氏によれば、スマスロハナビと新ハナビを比較した場合、「新ハナビは設定1であっても、完全攻略時に出玉率が102%に達する仕様の上、実績でも100%を超えており、ホール側が利益を確保しにくい機械です。一方スマスロハナビは、導入から約1カ月間の実績値で出玉率がおおむね99.0%前後で推移しており、新ハナビと比べると比較的利益の取りやすい台です」と述べる。利益をわずかでも確保できるということは、結果として「上の設定を使いやすい」状況となる。新ハナビと比べてスマスロハナビは、高設定を織り交ぜた運用がしやすい状況にあると考えられる。ただし、実際に設定が投入されやすいのは、東京都など景品の交換率にギャップのあるエリアであるとも指摘する。

また、「BIGの獲得枚数が増加している一方で、その分BIGの出現確率が重くなっているため、プレイヤーの意識がボーナス確率の重さに向きやすい印象があります。合わせて15枚の払い出しがある通常時の氷についても、終日遊技する中で取りこぼしが発生すれば、15枚の積み重ねが出玉率に影響します」との見方を示す。

ボーナスの確率が重いことに伴い、初当たりまでの投資額が新ハナビよりも大きくなりやすい。この点も「辛い」と評価される一因になっていそうだ。

あわせて、ユーザー層の変化についても話を伺ったところ、稼働開始からまだ1カ月程度という短期間であるため断定はできないという前提がありつつ、「新ハナビユーザーとスマスロハナビユーザーの顔ぶれに大きな変化は見られませんが、ホールによっては新ハナビの技術介入度の高さを理由に敬遠していた層が、徐々にスマスロハナビに注目・遊技している印象もあります」という。

もともとハナビというコンテンツは、1998年の4号機時代にホールへ導入されて以降、長年愛されているコンテンツという背景もあり、中高年層のファンが多い。新ハナビと比べてスマスロハナビの技術介入度が従来より抑えられている点が認知されていけば、遊技するユーザー層の幅は今後さらに広がっていく可能性があるのではないか。

 

加納氏によると、スマスロハナビと新ハナビを比較した時、やはりスマスロハナビの方が、ホール側にとって運用しやすい機種であるようだ。

「スマスロハナビは、設定1を使用した場合、利益を確保しやすい設計になっています。その上、技術介入要素が減ったとは言え、通常時の氷の取りこぼしや花火チャレンジ中の目押しのミスなど、要所要所で実際にホールで運用した際の出玉率を下げるポイントはしっかり組み込まれています。これらの積み重ねが出玉率に影響するため、ホール視点で見れば利益を確保しやすいです」。設定1では辛めに動いてしまうことも多々あるので、設定2ベースな日などを織り交ぜるホールもあるとのこと。ホールの所在地にもよるが、複数台を運用するホールであれば、一部に設定5・6を投入したとしても、機種単位では黒字を達成できるとも見ている。

また加納氏は、スマスロハナビに設定を投入することのメリットとして、「長期的に見たらホールのノーマル機コーナー全体の活性化につながる可能性があると考えます」と述べている。

「現状の稼働状況ではノーマル機コーナーに強く設定を入れにくいですが、スマスロハナビなどの認知度が高い機種からBIG中のバラけ目などが見えたとすると、それを知ったユーザーは『実は他の台にも設定が使われているのではないか』と考えます。スマスロハナビ以外の台にも設定を期待して回す方が増え、ノーマル機種全体が動くことでコーナー全体が活性化しうると考えます。ノーマル機全体の稼働が上がることで、ホールもさらに設定を使いやすくなる未来にも期待ができそうです」

ユーザー層についても、スマスロハナビには新たな広がりが見られると加納氏は話す。

「主にジャグラーシリーズや、その他ノーマルタイプを打つ方が、スマスロハナビに流入しているケースが確認されています。技術介入があると言えどゲーム性は非常にシンプルで、基本的にはハサミ打ちをし、氷がテンパイすれば中リールに狙うだけという、ハナビシリーズが長年培ってきた打ち方を踏襲している点が大きいです。これまでスマスロを敬遠していたユーザー層が、初めてスマスロに触れるきっかけとなっている部分もあります」

シリーズとしての知名度と安心感、そしてシンプルなゲーム性が、これまでスマスロに触れてこなかった層に初めて触る機会を提供しているのだ。

 

ホール店長アンケート

本稿の執筆にあたって、全国のパチンコホール店長に「スマスロハナビ」と「新ハナビ」の運用を比較したアンケートを実施した。ご協力いただいた皆様にはこの場を借りてお礼申し上げたい。具体的な設問と、回答比率に関しては以下をご参照いただきたい。

 質問1.に関しては、実に80%超のホール店長が①と回答した。可能な範囲で回答者の属性をさらに分けると、③と答えた方は、ほとんどがいわゆるギャップのないエリアで営業されているホール店長だった。出玉率100%超えがそのままホールの損失となると考えたら、至極真っ当な選択だ。逆に言えば、ギャップのあるエリアのホール店長は、そのほとんどが①と回答していた。ちなみに②と回答した方は0名、新ハナビを運用するにあたって、設定を投入することがいかに難しいかが透けて見えるようだ。

質問2.に関しては全国のハナビストにとっては非常に良いニュースであろう。約半数のホール店長が、設定1の代わりに2を使用する、いわゆる「ベースを上げる」ような運用ではなく、設定5、6の高設定を使用すると回答したのだ。アンケートの結果を見る限り、新ハナビからスマスロハナビのスペックになったことで、新ハナビの102%という出玉率を超える台を、スマスロハナビで打てる機会が増えたことになる。本アンケートの自由記入欄にも、「『新ハナビの設定が、基本的に1である』という考えがユーザーの中にあると感じていたが、スマスロハナビのスペックであれば設定が使いやすいので、そのイメージを払拭した上で高設定の期待を持ってもらえる」との回答があった。やはり全国のホール店長も、低リスクで設定を投入できるとこは喜ばしいことと感じているようだった。

 

総括 スペックの辛化?否、進化。

「スマスロハナビは辛い」という評価は、確かにスペックを単純比較すれば一定の説得力を持つ。しかし本稿で見てきたように、その評価はあくまでユーザー視点の一側面であり、ホール運用や業界全体の構造を含めて考えると、また違った意味を持ってくる。

新ハナビの出玉率はユーザーにとって極めて魅力的である一方、ホールにとっては利益確保が難しく、結果として設定が使いにくい機種になっていた側面もある。対してスマスロハナビは、技術介入の難度を抑えながらも、小役のこぼしなど実運用上の出玉率を下げる要素が組み込まれている。これにより、ホールが一定の利益を確保しながら設定を投入できる余地が生まれていると言える。つまりスマスロハナビは、ユーザーとホール双方のバランスを再設計したノーマルタイプと捉えることができるだろう。もしホールがその余地を生かし、適度に高設定を使用する環境が整えば、結果的にユーザーにとっても魅力的な機種として定着する可能性がある。

さらに注目すべきは、スマスロというカテゴリーにおける役割だ。長年続くハナビというコンテンツの安心感とシンプルなゲーム性は、これまでスマスロに触れてこなかったユーザーにとっての入口になり得る。ジャグラーなどノーマル機ユーザーの流入や、中高年層のスマスロ参入という動きが広がれば、その影響はハナビシリーズにとどまらず、ノーマルタイプコーナー、さらにはスマスロ市場全体にも波及する可能性がある。

「辛い」という評価の裏側には、こうした構造的な変化が潜んでいるのかもしれない。スマスロハナビは単なるシリーズ最新作ではなく、ノーマルタイプとスマスロの接点を模索する一つの試金石と言える存在なのではないだろうか。

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