ホールSNS担当者必見!! X最新アルゴリズム解説

2025.12.29 / ホール

 パチンコ業界の情報発信で存在感を増し続けているX(旧Twitter)。今や店舗や従業員の魅力をタイムリーに届けることは、集客にも直結する重要な業務となった。しかし近年、Xのアルゴリズムは大きく変化し、従来のやり方ではリーチが伸びにくくなっているとお悩みではないだろうか。

 本稿では、より効率的に〝届けたい情報を届けたい人へ〟リーチするためのXの最新アルゴリズムと、パチンコ業界に特化した有効的なSNS運用について解説する。変化の激しいSNS時代に、運用方針をアップデートするための一歩としてご活用いただきたい。


コロコロ変わる〝X〟のアルゴリズムにお困りではありませんか?

アルゴリズムを理解しているか、していないかで大きく変わるXの運用。
専門家2名へのインタビューの元、上手にXを使いこなすテクニックを紹介する。

 Xのアルゴリズムとは、ユーザーのタイムライン(主に「おすすめ」タブ)に表示する投稿を選び、その順序を決めるための仕組みである。これは、ユーザーの過去の閲覧履歴やエンゲージメント(「いいね」や「リポスト」など)に基づいて、興味関心が高いと判断される投稿が優先的に表示されるようになっており、いかに多くの人のタイムラインに自分の投稿を表示させることができるかが情報を拡散するための鍵となってくるのだ。

 しかしこのXのアルゴリズムはいまだすべてが明らかになっておらず、また厄介なことに、頻繁にルールが更新され続けている。そのため、たくさんの情報の中から「どれが本当なの?」と振り回されているユーザーも多いはず。

 アルゴリズムという名の〝見えないルール〟を正しく理解するかどうかで、同じ情報でもリーチは驚くほど伸びるのだ。

 本稿では、専門家へのインタビューに基づき、最新のアルゴリズム傾向を踏まえながら、業界における効果的な発信方向を探っていく。

 

フォロワーが伸びにくい時代へ。重要なのは〝交流〟?!

 

https://x.com/satotin_yusuke

まずはコンセプト設計が大事

PiDEA編集部(以下:編):以前と今のXのアルゴリズムを比較して、最も大きく変わったことは何でしょうか。

さとちんさん(以下:さ):重要な変化としては、昔のように「フォロワー数」が重要視されなくなってきていることです。以前はフォロワー数が多い方が拡散に有利でしたが、今はフォロワー数が少なくても拡散される可能性が十分にあります。これは、おすすめ欄に表示される投稿が選別される際の、「興味関心にひもづく」精度が上がったことによるものです。ここ最近、YouTubeでチャンネル登録をしていなくても、興味がありそうな動画が勝手におすすめに流れてくるのと同じで、パチンコに興味がある人には、ちゃんとパチンコの情報が届くよう、精度が上がってきています。フォローしていなくても興味のある投稿が見られるなら、わざわざフォローしてまで見ようと思う人は減りますよね。その結果、フォロワーが増えづらくなった、というわけです。

編:なるほど。でも、より狙った層へリーチしやすくなったことは良い点ですよね。

そうなんです。これを上手く活用するためにも、アカウントのコンセプトを明確

にすることが重要となってきます。分かり

やすく言うと「自分がパチンコ業界のアカウントであることをX側に認識させる」ということです。そのためには、投稿の内容を充実させることはもちろん、1番の近道として自分のポストを、届けたい場所に届けられるような〝交流〟をしていくというものをおすすめします。

ただ発信するだけではダメ!

伸びるためには積極的に交流すること

編:〝交流〟というのはリプでのやりとりを積極的に行うということでしょうか。

:はい。ただ、やみくもにリプを飛ばすだけではあまり効果はありません。ポイントを押さえて送る相手を絞り込むことが重要となってきます。

編:相手を選ぶ基準は何でしょうか。

:ポイントは3つあります。1つ目は「同属性との交流」です。パチンコ業界で言えば〝店長さん同士の交流〟が1番効果が高いのではないでしょうか。店長Aさんと店長Bさんが仲良く交流(リプライ)していれば、Bさんのフォロワー(パチンコユーザー)にAさんの投稿が流れるようになります。これが同属性でつながることによるメリットです。どちらのフォロワーも「パチンコ店の店長さんの発信を見たい」人たちですから求めている情報にもハマりますし、店長さんたちが横でつながり交流し合うことで威力は相当増すはずです。とはいえ、他法人の店長さんだと相手の店舗にお客さんが流れてしまう懸念もあるので、そこは見極めながら行う必要がありますね。2つ目は「悩みの起点の交流」です。これは極論ですが、ダイエットを例にすると「ダイエットしたい人」は「食べるのが好き(→だからダイエットしたい)」な場合が多いと思うんです。なので、ダイエットをしたい人にリーチしたい時、美容などといった類似ジャンルのみではなく、「グルメ」のような一見矛盾しているように思えますが「悩みの起点」で考えると親和性の高いジャンルにも絡みに行くことで、潜在顧客層にリーチすることができます。3つ目は「アクティブな人との交流」です。Xにおける〝アクティブな人〟とは、ちゃんと発信をして、人にリプをしに行き、リプが来たらしっかり返すといった運用をしている人のことです。フォロワー数は多いがアクティブでない人からのリプと、フォロワー数は少ないがアクティブな人からのリプでは後者の方が価値が高いとされるのが、今のXのアルゴリズムです。なので、アクティブなユーザーには積極的にリプを送ることが効果的です。とはいえ、四六時中タイムラインに張り付いていない限り、投稿は埋もれてしまいますよね。そこでおすすめしたいのが「リスト機能」です。「この人アクティブだな」と思った人をリストでまとめることで、投稿を見逃すことなく、効率的にリプを送ることができます。また、自分に来たリプに関しては「絶対に返す」くらいの心積もりでいてもいいかもれません。それくらい今のXにおいて、リプは重要視されています。

 

Xのリスト作成画面。メニューから「リスト」を選択しリスト名、説明、公開設定を入力した後、追加したいアカウントを検索して登録する。

 

Xのアルゴリズムのグルーピング

参照:さとちんさんのX(@satotin_yusuke)より

 

ホールアカウントはただ個人の好きなことを呟いていればいいわけではない。お店の情報や魅力をユーザーに届け、集客につなげていくことが最大の目的だ。そうなるとどうしても〝営業っぽさ〟が強くなってしまい、個性や人間味を出すのが難しいとお悩みではないだろうか。

編:ホールアカウントは広報の役割を担っている以上、独自性を出すのが難しい印象です。他のホールアカウントとの差別化のためにはどのような投稿をすればいいでしょうか。

:パチンコユーザーが1番求めているのはお店の「お得な情報」だと推察します。アカウントにそれ以外の魅力がないと、ただ情報を抜かれるだけのあまり価値のないアカウントになってしまいますよね。1番大切なのは、アカウント運用者の人柄が見えるような運用にすることです。情報だけの集客だと、強い日以外に来店してもらうのは難しいはず。SNSのアカウント価値を高められれば、「あの人がいるお店で打ちたい」という来店動機にまでつながります。「自分を出すのが苦手」というならば、まずはリプを丁寧に返すところから始めるのもいいかもしれません。他には、画像を使ったクイズ(例:パチンコ台の画像を2枚並べて、どっちが〇〇か)など、パチンコの楽しさに触れたり、パチンコ好きユーザーの心をくすぐるような有益な情報を発信することで、アカウントをフォローする価値が出てきます。その他にも「アルゴリズムで優遇される具体的なテクニック」は右(※1)のようなものがあります。ですが、あくまでも「アルゴリズムは手段」であり、ハックすること自体が目的になってはいけません。目的はその先にある「ユーザーに価値を届けること」だと常に意識して運用しましょう。

 

※1「アルゴリズムで優遇される具体的なテクニック」 参照:「ちんサロマガジン」https://tinsalo0425.com/magazine/より

  

当たり障りのないアカウントより炎上の方がマシ!? 

https://x.com/YLMBY26Z6m3EZPf

実はパワーを持っているパチンコ業界

PiDEA編集部(以下:編):ネムさんはパチンコ業界への高い知見をお持ちですが、ネムさんから見た現在のホールアカウントの特徴・課題などはありますか。

ネム(以下:ネ):他の業界と比べてブルーバッジを保有しているアカウントの総数が非常に多いのが特徴だと思います。そもそものアカウント数だけで見ても、他業界は一般的に1企業(もしくは1店舗)につき1アカウントあるかないかだと思うのですが、パチンコ業界は全国約6000店舗に対して1万アカウントくらいあるんじゃないかな。そしてそのほとんどがブルーバッジを保有していますよね。パチンコ店の広告予算からすれば、月1000円のブルーバッジは基本的にはつけておいた方が良いですもんね。このブルーバッジの保有率の高さだと、本来Xの中でパチンコ業界ってすごく大きいパワーを持っているはずなんですよ。ですがまだまだXを上手く使いこなせていない人が多いため、その域にまで達していない。これが課題ですね。

編:より多くの人がアルゴリズムを理解して使いこなせるようになれば、業界全体がX上で大きな影響力を持てると。ネムさんから見て、上手くXを使いこなせているなと感じるアカウントはどのようなアカウントですか。

:某店長が、近隣店舗に打ちに行ってそれを紹介し合っているやり方が、今一番賢いやり方だと思っています。これはあくまで極論ですが、無名の演者さんを呼ぶよりも、ライバル店の店長にプライベートで来てもらってそれをXでちゃんと呟いてもらう方がよっぽど宣伝効果が高いと思います(笑)。宣伝費もかかりませんし、地域の活性化にもつながりますしね。

編:なるほど。「ブルーバッジを生かす」ということに焦点を当てた場合だといかがでしょうか。

:ブルーバッジの大きな優位点として、自分のリプが上位に表示されるというものがあります。これは自分のフォロワー外の人を新たなフォロワーとして取り込むのにとても効果的です。ユーザーに対しても自分から積極的にリプをすることで、そのユーザーのフォロワーを新規顧客として取り込むことができます。また、ユーザーにとってはホールアカウントからリプをもらえるってシンプルに嬉しいですよね。自分と関りを持ってくれる店長やホールスタッフには愛着が湧きますし、「明日どこのホールに行こうかな」と迷っている時なんかにXでやり取りをしていた経験があれば存在を思い出してもらいやすい。少し手間ですが、お店の宣伝だと思って自分からリプをしていくことをおすすめします。また、ブルーバッジを保有することでアカウントのアナリティクスを見ることが可能になりますよね。自分のどういったポストがウケたのか、アクティブな時間帯はいつなのかをしっかり分析して反映していく。一般的なウケるポストのテンプレートやインプレッションのとりやすい時間帯の情報はすでにたくさん出回っていますが、実際にはアカウントによってマチマチなので、自分のアナリティクスを日々確認することは非常に重要です。

編:アカウント数が多い業界ということは、その分埋もれやすくもあると感じます。周りと差をつけるための具体的な策はありますか。

:個人的には、犯罪行為や損害賠償が発生するような炎上でなければ、炎上を恐れる必要はないと思います。炎上を恐れて当たり障りのない投稿や営業案内ばかりのアカウントはどんどん見られなくなります。意見の相違による炎上であれば、恐れずにどんどん人間味を出していくべきです。特にフォロワーがまだ少ないアカウントであれば、失うものはありません。むしろ得られるものの方が多いくらいじゃないでしょうか。X上でユーザーとこれだけつながれる時代だということは、その分顧客に対して自分を直接アピールできる時代になったということです。これを生かさないのは非常にもったいない。アカウント数の多いこの業界では、「少し尖ってる」と思われるくらいの方がきっと得だと思います。