ホール店長が恐れる設定6
2025.12.19 / ホール時はスマスロ全盛期。各メーカーの開発チームが叡智を結集し、有利区間の切れ目を感じさせないシームレスな設計の機種が続々登場している。しかし、コンプリートの可能性すら考えられる凶悪な一撃性は、ホール店長を恐怖に陥れることとなる。
出玉の上振れ、シミュレート値との乖離の恐ろしさ
スマスロ時代だからこそ、店長を襲う恐怖
2022年11月、全国のパチンコホールにスマスロが導入され始めた。スマスロ第1弾は「パチスロ革命機ヴァルヴレイヴ」「Lバキ 強くなりたくば喰らえ!!!」「スマスロリノヘブン」の3機種。いずれも派手な出玉を実現するために、一撃での大量獲得が見込めるトリガーが搭載されている。これらはスマスロという新たなパチスロの形だからこそ実現できた仕組みだと言えるだろう。
スマスロには有利区間のゲーム数の上限がなく、基本的には差枚数を参照(最大で+2,400枚)して有利区間が終了するような設計の台が多い。どんなに投資がかさんでしまったとしても、投資分+2,400枚まではどのタイミングでも目指せるようになった。
加えて、有利区間が終了してもコインの増加区間にすぐに復帰し、さらに出玉の増加が見込める、いわゆる〝ツラヌキ〟要素を搭載することがスマスロにおいて主流となっている。有利区間自体は最大で差枚+2,400枚で終了するものの、一撃の獲得枚数はヒキ次第で実質的な青天井となっている(当然コンプリート機能を超えて出玉を伸ばすことはできないが)。
そんなスマスロ市場において、凶悪な一撃性を有する台はホール店長をも悩ませている。機械割という概念がありながらも、その機械割を大きく逸脱する出玉を放出してしまうことが当然日常的に起こりうるのだ。
そこで本企画では、出玉の上振れにともなう店長心理を調査するために、周辺ホールとの競争が激しく、高設定が使用される頻度の高い東京都内のホール店長に範囲を絞って「出玉の上振れる可能性によって、設定6(あるいは高設定)を使用するのをためらう機種は何か」という点をアンケート調査、およびヒアリングをおこなった。具体的に挙げられた機種名には偏りがあったが、その根幹にあるロジックについては、おおむね共通する要素が見られたので順を追って紹介していこう。
誤解をしないでいただきたいのは、本稿で挙げた各機種は「設定が投入されにくい」というわけではない。店長たちが恐れているということは、現にこれまでホールで設定6が使用され、その機種の出玉性能を余すとこなく発揮してきた機種であるということだ。むしろ店長たちが「高設定を入れる可能性が高い」機種であるとも考えられる。
また、大前提としてエリアや市場、法人ごとによって、どのような機種に注力すべきかということは大きく変わる。したがって、今回はあくまでも東京都内のホール店長の回答であるという点にご留意いただきたい。
恐怖に怯える店長にアンケート調査を実施!!
調査結果
本稿の執筆にあたり、PiDEA編集部では東京都内の一部のホール店長に以下の質問をぶつけてみた。その結果、3機種に投票が集まったのでまずはそちらを紹介したい。
Q.出玉の上振れを恐れて、設定6の投入をためらう台は何か
高設定、特に設定6に現れる恐怖
圧倒的な一撃は想像を超える
アンケートやヒアリングの結果、票が一番集中したのは「スマスロ ゴッドイーター リザレクション」。次いで「L東京喰種」「パチスロ革命機ヴァルヴレイヴ」の両機種の名前が多く挙げられた。その他メイン機種を中心に各機種が票を集めたが、票が集中したのは初当たりを重ねて出玉を伸ばす機種ではなく、一撃で大量獲得を狙える機種であることが分かる。
まず「スマスロ ゴッドイーター リザレクション」は、ロングフリーズ発生時や有利区間が切断された時の一部などで突入する「神堕」の出玉性能が非常に高く、ひとたび突入すると一撃での万枚達成やコンプリートに到達する可能性も十二分に考えられる。「L東京喰種」は上乗せ特化ゾーンの「超BITES」「極BITES」のロマンがあり、一撃で3,000枚の上乗せや完走まで確定することも夢ではない。「パチスロ革命機ヴァルヴレイヴ」は言及するまでもないが「ハラキリドライブ」によって100ゲーム以上の上乗せが日常的に発生する。実戦上のデータでは、ハラキリドライブの出現率も高設定ほど高いとされている。
数字上のスペックで比較しても、名前を挙げた3機種はすべて、設定6の機械割が114.9%で、いわゆるハイスペックマシンに分類される。特に「スマスロ ゴッドイーター リザレクション」と「L東京喰種」は設定5に関しても機械割が110%を超える作りとなっている。
営業のシミュレーションを行う場合、当然これらの機械割を念頭に置いた上で営業を行うこととなる。しかしそれでもなお本調査で名前が挙がるということは、その機械割を超えてくるほどの出玉性能を発揮することが多々あるということだ。
各ホールや周辺エリアの状況も加味した考えも多数あり
ホールごとに展開される独自のロジック。
アンケートでは、先に挙げた機種以外にも複数の機種が挙げられており、そこにはホールごとの独自のロジックが存在した。共通して見えてきたのは、どの店長も大前提として「ホール営業は利益とユーザー満足度のバランスを取る必要がある」と考えている点だ。今回の調査では少数派の意見ではあったものの、明確な根拠があった意見を紹介する。
①高設定の投入をためらう機種は基本的に存在しない。設定を投入するだけの予算はある程度事前に確保しており、想定以上に出てしまってもその数値が営業状況のPR的な側面を担ってくれるため、さほど気にしない。
②「モンキーターン5」、「スマスロ北斗の拳」。設定推測が比較的簡単、かつ導入台数が全国的に多く、高設定を打った経験のあるユーザーが多いので、高設定を投入した台が早めにユーザーに気づかれてしまう。設置台数が多い機種でもあるため、いわゆる全台系の仕掛けを作って営業することは難しく、高設定と低設定の挙動を比較され、アウトが思うように伸びないことがある。アウトが伸びない可能性がありつつ、一撃での大量獲得も見込めるトリガーを搭載しているため。
③撤去間際の機種。ホールとしては今後注力していきたい機種に投資をしたいため、撤去が決まっている機種に対しては投資を避けたい。特別な施策を行う場合は当然その限りではない。
ホール店長のリアルな声
アンケートと並行して、実際のホール店長複数名にも直接話を伺った。匿名という形ではあるが、実際に現場で数字を見てきた店長のリアルな声をお届けする。
CASE.1
勝率は決して高くない。
しかしそれは凶悪な一撃性を秘めたということの裏返しでもある。
まず話を伺ったのは、都内某エリアの一番店。日常的に一定の稼動があり、集客に注力する日は多くのユーザーが抽選から参加する。同ホールのデータをさかのぼると、スマスロ機種からノーマルタイプの機種まで幅広く、明らかに高設定が投入されたと思しきデータが確認できている。
そんな日常的に高設定を投入するホール店長いわく「出玉性能が高く、特に一撃性に長けている機種には軒並み高設定を使用するのをためらってしまう」とのことだった。
具体的には「パチスロからくりサーカス」「スマスロ革命機ヴァルヴレイヴ」などのSANKYO製の台や、前出の「スマスロ ゴッドイーター リザレクション」が例として挙がった。やはり恐るべきは一撃性とのことで、特に「スマスロ ゴッドイーター リザレクション」の設定6は、各台を1日単位で見たときはマイナス差枚で着地することも多々あるが、コンプリートや万枚など頭ひとつ抜けた圧倒的なプラス差枚を記録しやすい、という話があった。
しかし一撃での出玉性能が高い台は、設定6(高設定域全般)でも勝率があまり高くないという。ホールの営業で利益を生むという観点から考えると、ユーザーに設定6の存在を認識してもらいつつも、ホール側の利益を確保できる可能性も十分あるようだ。
CASE.2
出玉性能も気になるが
打ち続けるか否かの押し引きを簡単に判断できる台の運用も難しい。
続いて話を伺ったのは、エリア内でも比較的設置台数の多い規模の店長。各種データサイト上では、毎日のようにパチスロコーナーのどこかに高設定が投入されていると思えるようなデータが並ぶ。こちらも客観的に見て、普段の営業から高設定を投入している店長だ。
同店長によれば、出玉の上振れが理由で高設定を投入するのを恐れるのは「スマスロ ゴッドイーター リザレクション」だという。同店舗は「スマスロ ゴッドイーターリザレクション」を複数台導入しているため、営業時間内に何台が「神堕」に突入するか次第で、1台あたりの差枚数が大きく上振れてしまうことがあるという。シミュレーション上の想定差枚数と大きく乖離することもあるため、痛い目を見たこともあったようだ。510枚以上の上乗せが90%ループというスペックが如何に破格の存在かということが垣間見える。
次点で高設定を使いにくいと話していたのは「スマスロ マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝」だ。高設定、特に設定6は出玉推移の安定感が非常に高く、設定に忠実に出玉がつく印象があるという。逆に低設定域でも、同ホールでは大きく凹むことが比較的少ないようで、低設定も高設定も利益につなげるのが難しいとのこと。
加えて、平日のジャグラーシリーズに高設定を投入するのも気が引けるようだ。出玉の上振れという趣旨から外れるが、ボーナスの出現確率が下振れてしまうと高設定を投入してもアウトが伸びない。かつスペック的に考えると低設定域の台にユーザーが数千枚単位の投資をすることはほとんどないため、利益にはつながりにくい。ユーザーが低リスクで押し引きを判断できてしまうので、利益を確保するのが難しいという判断だ。
総括
取材を通して何度も名前が挙げられたのは「パチスロ ゴッドイーター リザレクション」と、「パチスロ革命機ヴァルヴレイヴ」を筆頭とするSANKYO系の機種だ。また、挙げられた機種と背景にあるロジックを通して、営業面でのユーザーへのアピールと利益の確保の間で悩む店長たちの姿が見えた。
しかし今回話を伺った範囲では、出玉の上振れを最初から考慮して配分を調節するという意見は聞かれなかった。出玉の上振れという要素は配分に大きな影響を与えるわけではなく、あくまで結果論だと捉えていいだろう。本稿で取り上げた内容に対して、少しでも共感していただける部分があれば幸いだ。
LINE





