岡野陽一の今月の汁台「「捨てる神あれば拾う神あり」。岡野が捨てたもの何?」
2025.09.24 / 連載

「捨てる神あれば拾う神あり」。岡野が捨てたもの何?
「今までの人生の中で、岡野がこれは捨てたなというもの」ですか。なんだろう難しいですね。
それこそ前にもこの連載で語りましたけど、服ですよね。同じ服しか着ないようになったとか、もうずっと同じ髪型をしているとか。
若い頃はモテたいとか、いろんなことを考えましたが、今となっては女性の可能性も捨てている気がしますね。ありがたいことに、たまたま私にはタワマンに住んでいる彼女がいますが、女性への執着というのは昔以上になくなってきています。
芸人といえばモテたがっている人たちが多そうですよね。それはその通り。私の知っているところでいうと、お見送り芸人しんいちとかは、まだまだ全然モテようとしています。適度なのはいいと思いますが、時代も時代なので、女性への強い執着というのは芸人といえど捨てた方がいいんじゃないかなと思うところではあります。
いつからか特に意識していたわけではありませんが、そもそも人から好かれようなんて思わなくなりました。芸風もあると思います。私のネタで爆笑してくれる女子高生なんてのは、この世にいないはずですから。子供の時から人から嫌われるのが何よりも嫌で、とにかく嫌われないようにと考えて生きてきました。自分が楽するために人を使うようなことも言わないし、嫌がられることは言わない。みんなで「こうしよう」と決めたらついていくし、それで嫌いと言われたこともないです。
けど、それこそ芸人になったくらいですかね。20代後半から30代くらいまでで、先輩とかにも可愛がられていたし、ご馳走さまでしたのLINEもしてましたし、可愛がられている後輩だったけど、なんか一時「これダメだな」と思っちゃったんですよね。
単純に嫌われないことをするのって簡単だったんです。みなさんねこれ、人に嫌われないようにするってめっちゃ簡単なんですよ。嫌なこと言わずに冗談には乗ってあげて、自分を殺せばほとんど嫌われません。これはすごく簡単なんだけど、実は意味がなかった。単純にストレスが多かった。サラリーマンの皆さんでも同じことです。「今から来れるか?」「行きます!」っていう2つ返事で来る後輩の方が可愛いがられますよね。それが芸人になると頻度も増えます。
「これ嫌かも」と思ったのは、行ったところでこの人には好かれるだろうけど、それだけでしかなくて、何よりも単純にストレスでした。その時はネタとかも書かないといけなかったから、そういう時間を押してまで嫌われないようにしていた自分にまたイラついたのです。
そこからは行きたくない時は行かないと決めました。これで嫌われてもいいやと。疎遠になった先輩はいくらでもいます。
嫌われない存在でいることは、好かれているってこととは全然違うんですよ。多くの人が勘違いしているように感じます。嫌われてないのは、ただ嫌われていないだけです。反個性で、嫌われないことは何も意味しません。
で、またこれが難しいのが、そういう付き合いをやめて得たものが何かと言われると別にないんです。強いて言えばストレスの軽減ですかね。また、芸人にとっては普通の人よりも、ちょっと変な人の方が好かれたりします。かといって、じゃあ変なことをやって嫌われにいくというのも炎上狙いになりますし、それは違う気もします。
「私は」ですけど、報われないことに努力するってひどく無駄に感じてしまうんですよね。誰にも嫌われないようにするのはすごい無駄な努力だったなと。
お笑いについては、コンビでネタをやっている時は頑張っていたのですが、今はそんなに頑張ってないかもしれないですね(笑)。お笑いって不思議なもので、ネタをやっている本人は「爆笑取れた」という風に感じても、それを客観的に見ていた側からすると「そうでもなかった」ということがあるんですよ。「え、そんなに爆笑ってほどではなかったよ」と言っても、「いや、俺は爆笑してる人見たから」という会話になったりします。まぁ本人にはわずかな違いが見えていたんでしょう。
そうなんです。こういうわずかな差を追いかけて、確率を1%上げるようなことを努力しているような世界です。パチンコで考えると、80%継続と81%継続って差はありません。でも、その1%があるのかないのかは大きな差です。だから私は、すべての台にフリーズがあってほしいと願っています。1%でもフリーズの可能性を残している台なら、何かをささげる価値があると思っていますが、0%だったら無理なんです。
日本だけかもしれないけど、0%でも頑張ることが美徳とされる世の中じゃないですか。漫画だとこれがうまくいくんですけどね。高校野球漫画とか。私はその教育はあんまり令和にあってないんじゃないかと思います。もったいないと思いませんか、人生80年くらいしか生きれないのに0%のことをやり続けるのって。
だからギャンブルってやり続けていられるのかもしれません。人が捨てたものを拾って勝ちたいですよね。

初打ちの時に7500個を引いて9000個でスタートし、その後5連くらいしたのですが、全部1500でした。
他の台が打てなくなるというのも頷けます。だって3000個の大当りが少なく見えちゃうんですから、汁特化型がすぎるという話です。
細かいことを言うと、牙狼剣デバイスのアクション一発に7500個はちょっと重過ぎますね。5発できれば良かったのにと思います。
剣の一発。楽しみを超えて『もし取れなかったら……』という恐怖が勝っています」