岡野陽一の今月の汁台「岡野陽一の〝第一給料日〟と〝第二給料日〟」

2025.06.20 / 連載

 「借金芸人」岡野陽一が送る人気連載をリニューアル! 変わったようでいて変わっていないかもしれない。パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともにお楽しみあれ。


岡野陽一の「第一給料日」と「第二給料日」

 世の人にとっては給料日とは待ちに待ったご褒美の日だと思いますが、私からすると「月の方針が決まる日」です。もちろんウキウキはしますけど、それと同時に恐怖でもあるんです。

 私のネットバンキングでは基本24時ぴったりにお給料が振り込まれるんですよ。でもたまに30分くらいラグがあったりするんですけどもね。で、お恥ずかしながら給料日前日の財布にお金が入ってない状態で飲みに行って、テッペンを超えて給料が振り込まれたからようやく払えるみたいなこともよくやっています。

 それで朝になるといろんなギャンブル場が開いてしまうじゃないですか。だから私の場合は夜中の0時半から9時くらいまではお金を使うことがない安心できる時間でもあるのです。ただ、これはいわばかりそめの給料。私にとっての「第一給料日」なわけです。

 だって返すにしても、増やしてから返したいじゃないですか。だから結構な勝負の日です。例えば、使える額が30万円だとしたら、単純に1日1万円を30日使えると割り切れるわけですが、それはあまりにも刺激がなくて私には無理なんですよ。30万の軍資金があってそれを90万にできたら1日3万円使えるようになる。このチャンスを逃すのが怖い! この時に勝てたら初めて、私にとっての「第二給料日」ということになるのです。

 「経営者みたいなことを言う」ですって? そうです。会社を大きくするには、給料日に勝負をしないのは、チャンスを逃している気になってしまうという面倒な思考回路をしているわけです。

 「じゃあ30万円が90万円にできた場合は?」。よくそこに気が付きましたね(笑)。そうすると、「第三給料日」が生まれます。鋭い方はもうお気付きでしょうが、30万円を90万円にできた人は、90万円を270万円にできるということになるので、結局私はゼロになるからいつも一緒なんです(笑)。

 あるものはとにかく全額いってしまう。そもそもなかったもんだと思っちゃうんですよね。ただ、私ももういい大人なので、常に資産ゼロというわけにはいきません。かといって、貯金というものは自分の能力ではすることができないので、そういう時は誰かに貸すようにしています。ザ・マミィの酒井とか、空気階段のもぐらとかに、「困ってたら貸すよ」といって貸してしまうのです。

 「来月の何日までいいよ」と伝えてあげれば、私は使えないから銀行に貯金しているようなもの。やっぱり私にとっては引き出せない銀行というのが大事なわけです。銀行さんはセキュリティーが甘いから、「いいよいいよ」といくらでも引き出せちゃうので、そういう意味でもっとワンランク上の“固い銀行”を選んでいます。

 ただ、ある程度信用のある人間にしか貸せません。酒井はちゃんと返してくるので信用度が高い。もぐらはたまにゴネて理由をつけて返さないこともあるので信用度は低めだけど、違うんです。短期で貯金したいなら酒井。長期で預けたいならもぐら。それだけの話です。返ってこない人に貸してしまったら、それは自分が悪かったということもあると思います。

 え? 「親から友だち間で金の貸し借りをするな」と教わった? 何を言ってるんですか。私だってそうですよ(笑)。でも、それはちょっと違うなと思っていて、むしろ友だちはしていいんですよ。悪い奴とかは飛ぶ前提の人もいますが、自分がこいつなら信用できるなと思ったら貸してあげちゃう。

 友だちという定義が難しいですけど、本当に友だちかを判断する基準としてお金を貸してみるのも1つの手かと思います。一緒によく飲んだりしているけど、「こいつ本当に友だちなのか?」って人いるじゃないですか。そういう人を判断するために貸すというのはアリかもしれません。私は貸して返ってこなくても友だちだと思える人が真の友だちだと思っていますので。

 この前ね、グランジの大さん、ライターの鈴虫君と飲んだ時にこの手の話をしてみました。あの人たちも借りる分貸すんですよ。「こいつは返す」だの「あいつは返さない」だの。お金が返ってこなかったとしても、返せは一言も言わないんですよね。借りる側の気持ちも分かっているから。だけどたまに現場が同じになったりしても特に「返せ」とも言わずにあいさつしたり、会話をしたりするのですが、借りている側は「忘れてるかもな」と期待するかもしれないけど、言わないだけで絶対に忘れてないですからね(笑)。

 私はお金が返ってこなくても揉めているとは思いませんし、自分が貸した分が返ってこない分にはどっちでもいいんですけど、心が離れちゃうのはちょっとね。お金というのは恐ろしいもので、それこそ友だちじゃなくなっちゃいます。お金のやりとりで関係が崩れちゃうのは、最初から友だちじゃなかったんだと思うようにしましょう。60歳くらいになってから裏切られるより、若い時に貸した5万円で見極められた方がいいじゃないですか。ちなみに私は人によって返済を5年くらいしてない人もいますけど、揉めてはいないです。

 「給料の話をしてたら借金の話になっちゃった」って? 何言ってんですか。そりゃそうなるでしょう(笑)。 

「通常時が退屈とか言われていますが、私からすれば、吉宗の通常時はチェリー解除もあるので面白くてたまりません。『999Gって天井じゃねーじゃん』と思ってしまいます。4号機の吉宗を打っていた頃は財布に10万も入っていなかったので天井まで追えないのに打っていました。生活がだいぶマシになった今、吉宗を打っていると、当時の自分が『お前も大人になったな』と言ってくるんです。それが嬉しくもあり、悲しくもあり。ノスタルジック汁を出すと同時に、今の自分が逆にあいつを羨ましく思っています。『金ないのに吉宗を打つことに汁出してたんだな』と」

 

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