10スロ成功の10箇条〜番外編〜もし人気20スロ店舗の店長たちが10スロ店舗を任せられたら!?

2025.09.18 / ホール

10スロ店舗を切り盛りしている店長たちは「安易なレート変更は失敗する」と口をそろえた。しかし、昨今の遊技環境を鑑みると、オーナーから大胆な営業スタイル変更の話が出る可能性はゼロではない。

10スロ成功の秘けつを探る本企画の最後は、番外編として20スロホールを切り盛りしている人気ホールの現役店長たちが「10スロ専門店の営業を任されるとしたらどうするか」という〝if〟の話で締めくくりたい。


今回サンプルとして話を聞かせていただいたのは、都内高稼働店の店長A氏、都心繁華街中型店の店長B氏、そして郊外ロードサイド大型店の店長C氏の3名だ。

それぞれ経験豊富な「やり手」の店長であり、無論、現在手掛けている店舗は10スロ専門でも低貸専門店でもなく、4パチや20スロがメインの店舗を任されている立場だ。

 

「10スロ含む低貸のニーズは 高まっていると感じますか?」

まずは3名の店長に聞いたのは「低貸のニーズ」。

こちらは3名ともが「ハッキリと感じる」「強く感じる」「かなり感じる」と答えた。

端的だったのはA氏の「20スロは資金的に続けられない人が多く、10スロ・5スロは現実的な遊び場として求められている」という回答だ。

B氏とC氏はそれに加え自店のメイン客層が「サラリーマンの息抜きや観光での記念遊技(B氏)」「年金世代やファミリー層(C氏)」のため、打ち手に寄り添うには低貸が必須だと答えた。

いずれも根底には現在のパチスロが持つ「高射幸化」という構造的問題があるのは明白であり、投資合戦についていけなくなったユーザーのために、低貸を設置するのはもはや当たり前、といった内容の回答だった。

「もし10スロ専門店になったら 営業方針は変更しますか?」

続いて「自店が10スロ専門店になったとして、これまでの営業方針(広告や機種の購入)はどう変化しますか」という質問について。

似ていたのはA氏とC氏で、それぞれ広告費を抑制し、その分別に予算を回すという回答だ。

問題はどこに回すかだが、A氏の場合「10スロユーザーはコスト感度が高い反面、新台や人気機種への関心も高い」とのことで、広告費の分を機種の購入代予算を増やしたいと考えていた。

一方C氏はその予算を「ホールの環境改善やスタッフ教育など」にあてたいと述べたが、C氏の言う「スタッフ教育」はすなわち、10スロ店の宿命である「低粗利営業」への対応のためだ。つまり同じハコで10スロ店を営業するのであれば人件費を圧迫する必要が絶対に出てくるので、その分少人数のオペレーションに対応したトレーニングとシステムづくりが必要になるのは当然のこと。これらは短期的にみると経費になるが、長い目でみると人件費の削減となる。つまりC氏の言うことは最終的には広告も人件費もダブルでカットする、というなかなかシビアな話といえるだろう。

A氏・C氏と違い「広告費は増やすべき」としつつも人件費についてはC氏と同じくカットの方向で回答したのがB氏。

繁華街では短時間勝負・観光利用などが多いため「目に付く広告」が重要になる一方、台数規模が減るであろうと考えられるためやはり人件費は最適化してく必要があるという考えだった。このように基本の戦略ですら、やり手店長同士でも立地などによって部分的に真逆になるのはなかなか面白い。

 

「10スロ専門店になった場合、 他のレートはどうしますか?」

もっと低いレートの導入についてはどう思うか訊ねてみた。結果、全員から「(5スロ、2スロを)検討したい」との回答があった。

パチスロを娯楽として考えた場合、10スロでも厳しいと感じるお客さまは存在する。そのため遊技の目的別に選択肢を増やすべきだと考えるのは、多くの店長が思っていることだろう。

10スロが店内の最高レートになる場合どうしても客単価は下がるし、消費者マインド的には20スロのような「アツい勝負」より「趣味や暇つぶし」のような時間消費型の娯楽に寄るのは間違いない。その観点からさらなる低レートを用意すべしというのは3人の店長に共通した考えだったが、その中でも特に幅広いレートを用意して「ファミリー層」や「年金世代」に強く訴求すべき、と考えるのは郊外店のC氏だった。

C店長は10スロ店の営業について「低貸なら気軽に遊べる」という心理的安全性を担保に、地域密着サービスや地元イベントなどと連動したキャンペーンを展開、また軽食販売などで「地域の娯楽場」感を強調するのが必須と考えており、そのためにはそれぞれの遊技スタイルに沿ったレートを用意してお客さまを迎えるべきだと考えていた。

店内のレートの最高が10スロと考えるとこれ以上客単価を落としたくないとつい考えてしまいそうだが、そこは熟練の店長たち。彼らに習い、低貸し店では20スロでは当たり前になっている粗利重視の考え方は再考した方が良いのかもしれない。

 

「10スロ専門店を成功させるために 必要な要素は?」

最後に、10スロ運用店を成功させるために必要な要素や条件を挙げるのならばどのようなものになるかを聞いた。

激戦区でも高稼働を維持しているA氏は前述の質問で広告費削除を挙げていたが、だからこそなのかここでは「話題性の維持」を挙げていた。

曰く、都内では競合が多いため「機種ラインナップ」や「イベント感」が強い集客要素となる。一方で20スロに疲れた層を受け止めるため、機種バランスや稼働データを見せて安心感を演出することも必要になるであろうとのこと。単純な広告「以外」の部分でいかにして求心力を保つかがカギになりそうだ。

都心部繁華街という特殊な立地のB氏は10スロ店成功のための要素として「アクセス性」と「滞在価値」を挙げた。休憩や食事目的でフラッと訪れたお客さまの滞在時間を伸ばすための工夫、そして「ちょっと寄ろうかな」と思えるアクセス性と、それを無駄にしない導線づくりが肝要となると氏は考えていた。

続いて郊外店のC氏はどの質問もファミリー層や年金世代に向けた施策についての重要性を解く回答だったが、この項もまた「地域密着」を挙げた。じっくり遊びたくても20スロではなかなかできないファミリー層などを中心に、地域に根ざしたサービスを展開していくことでホールのブランド力を高めていきたいとのことだった。

現在の市場環境は 10スロが最適!?

3名の回答に共通しているのが今の時代のパチスロと10スロの相性の良さだった。低レートの中でも特に10スロは現役を退いたシニア層でも遊びやすく、また適度な勝負感も味わえるため常連客に定着してもらいやすい。お小遣い稼働のサラリーマンの息抜きとしても20スロとは違う遊ばれ方をするので、専門店になるとその層に向けたアピールが重要になる。興味深いのが3名とも回答にはどこかに「安心」というキーワードが入っていたこと。ここを強く押し出して営業することが10スロの可能性をさらに広げることにつながりそうだ。

遊びが多様化している現在、パチスロにおいても「20スロが絶対に正義」とは言えなくなってきたのは間違いない。そして低貸誕生の瞬間からいままで続く「低貸と言えば1パチと5スロ」という常識も決して普遍的なものではない。お客さまの細かいニーズに併せビジネスを展開していくためにも、今一度「10スロ」について深く考えてみてはいかがだろうか。

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