第3のスペックとして確立するために! BT(ボーナストリガー)機の進む道
2025.07.19 / 機種2025年6月、第3のスペックとして成り物入りで導入が開始された「ボーナストリガー機(BT機)」。導入したホールやユーザーはBT機にどのような印象を抱いたのか。また、今後BT機が「第3のスペック」として認知拡大、ホールの1コーナーを担うためにはどのようなピースが必要なのか。ホール関係者、ユーザーの声を探った。
第3のスペックとして登場した BT機の現在地
5メーカーから5機種のBT機がリリースされ、6月より導入がスタートした。まだ1カ月足らずであり、ジャグラーシリーズのようなホールの主役になったわけでもなく、「からくり」「ヴヴヴ」のようなAT機と比較して人気を集めているわけでもない。ホール関係者からも「BT機はまだ様子見といったところ」という意見が大勢を占めている。
たしかに導入がはじまったばかりであり、評価を下すには時期尚早といえるだろう。とはいえ、ノーマルとAT機の中間に位置する「第3のスペック」として、出来うるならばホールのシマ構成における一翼を担うポジションを確立してほしいと思うホール関係者は少なくないはず。

7月7日からは5号機時代に一世を風靡した人気機種を再現している「LBパチスロ ヱヴァンゲリヲン ~約束の扉~」(ビスティ)や技術介入要素を備えた「アレックス ブライト」(ユニバーサルブロス)、沖縄で人気を博しているブランド機種のBT機である「LBトリプルクラウン」(岡崎産業)など、新たな機種も導入された。さらに、正式な発表には至っていないが、設定6の出玉率が114%を誇るハイスペックなBT機の導入も噂されている。
今回は、導入から1カ月が経過した現状において、ホール関係者のBTを導入してみての所感と、認知拡大していくためにはどのような機械が必要なのか、期待するゲーム性やスペックなど、複数のホール関係者に話を聞いた。
また、一方でBT機を遊技したユーザーは現状のホールの運用に対してどのような感想を抱いているのか。ホールに対するBT機への要望も合わせて調査してみた。
ノーマルタイプの延長線!? 浸透には1年以上の時間が必要!?
まず最初に話を聞いたのは、関東で複数店舗を運営する法人の機械購入を担当しているA氏。
BT機の現状について次のように話してくれた。
「まだ、導入されたばかりなので今後どのようになるのかは正直わかりません。ただ業界内で『(BT機の)設置比率10%を目指す』と目標が掲げられたと聞きましたが、短期間では難しいのではないかと感じています。今後の機種次第だとは思いますが、少なくとも1年以上はかかるんじゃないでしょうか」
A氏は現状のBT機は「ノーマルタイプの延長線上の機械」という認識であるという。
「7月から『エヴァ』や『アレックス』のような機種が導入されますが、これらもノーマルタイプを好むファンに支持される、支持されてほしいと思っています。特に『アレックス』は技術介入や出目の楽しさを備えているので、『花火』や『ゲッターマウス』などのアクロス系を好むファンに受けるのではないかと期待しています」という。
今後BT機が「第3のスペック」として確固たる地位を築くためには時間が必要だと感じているA氏は、「技術介入」や「ボーナス1回あたりの出玉感」など、特徴を備えた機種が複数登場してきて、ユーザーの選択の幅が広がることが重要だと語る。
「すでに導入済みの機種で言うと『ハーレムエース』が一番良いのではないかと思っていたのですが、結果的にその通りになったかなと思っています。やっぱりボーナス1回で500枚は訴求ポイントなんだと思うんです。個人的には5号機の復刻版的な機種でボーナスの枚数は350枚くらいのタイプか、エヴァのように400枚以上と、ボーナス枚数に振った機種が支持されそうだと思っています。エヴァはちょっと台数が多い気もしていますが(笑)」
また、A氏はBT機コーナーを作っていくというよりは、ノーマルタイプコーナー拡充の選択肢としてBT機を使っていき、徐々に認知拡大をしていくことになるだろうとBT機の今後を見立てている。

©️UNIVERSAL ENTERTAINMENT
低貸しを選択する前の歯止めとして ノーマル、BT機に期待
A氏と同様にノーマルタイプの延長線上としてBT機への期待感を持っていると語るのは東北エリアで複数店舗を展開する法人のB店長だ。自身もノーマルタイプが好きで、導入しているBT機を含めてノーマル系にも積極的に設定を使う運用をしているという。そんなB店長にBT機が盛り上がるためには何が必要なのかを聞いてみた。
「具体的な話ではないのですが、やはり5号機時代初期の『アイムジャグラー』のように、大ヒットする機種が1つでもBT機で出てくれば風向きが変わるのではないかと思います。今は導入されている機種も少ないですが、『エヴァ』や『アレックス』のような機種も出てきますし、今度導入される『エヴァ』がもしヒットすれば、それだけでもBT機の認知度、注目度は変わってくるのではないでしょうか」
B店長の考えるBT機の立ち位置もノーマルタイプの延長線上であり、BT機で利益を取ろうとは思っていないと続ける。
「今は玉単価の高いAT機が主流です。当店としてはジャグラー系やハナハナ系を魅せ台として甘めに運用し、高玉単価のAT機で利益をいただくようなスタイルです。なので、BT機も月間で赤字にならなければ良いかなというくらいで運用していますし、今後もその予定です」
利益を取りすぎたとなれば、設定5や6も使っていくというB店長にとってBT機はどのような立ち位置と捉えているのか。
「正直申し上げて、スマスロAT機が主流である現在の市場において、BT機がそれに取って代わるようになるとは思っていません。ただ、当初のコンセプトにもあった通り、高玉単価に疲れてしまったユーザーが5スロや10スロのような低貸しに行くくらいならば、ノーマルタイプやBT機で遊んでもらえるようにはなってもらいたい。BT機も20スロの受け皿になってもらえれば良いかなと考えています」
A氏同様にノーマルタイプの延長線上にBT機を捉えているB店長も「選択肢が増えること」が必要だとして次のように続ける。
「ボーナスの枚数が担保されることが一番重要だと思っていますし『ニューパルBT』のビッグ後の20%を通して、600枚とかコインを取れた人は結構ハマると思うんですよね。また、今後はAT機だけじゃなくて、BT機でも新規版権など積極的にチャレンジしてもらって、ユーザーが興味を持つコンテンツで注目を集めてもらいたいですね」
中古市場にも流通すれば 中小ホールも活用していく
続いて、話をうかがったのは関東地方でPS合わせて300台規模のお店を切り盛りしているC店長。同店もノーマル系は重用しており、高設定も頻繁に使っているため、固定ファンも多い人気店だ。
「個人的にはBT機は良いと思っていますが、ウチのような規模の店舗では新台で買おうとすると予算の兼ね合いもあって手を出しづらいのが現状ですかね。なので、台数や機種数が増えていき、中古機市場にも流れて、手頃な値段で購入できるようになるとBT機も全国的に広まっていくんじゃないでしょうか」
スマスロでしかBT機が出せないということもあり、ユニットも必要となると、中小法人や単店では「導入もままならないのではないか」とC店長は指摘する。
「予算を抑えて導入できれば、運用の仕方も変わってきますし、ユーザーへアピールすることも可能です。そうすれば、BT機も受け入れられると思うんですが、運用は難しいかもしれません」
C店長曰く、「ユーザーの知識レベルが昔よりも高くなっている」ため、ノーマルタイプに近い、BT機も設定は見抜かれやすく、出玉率の高い機種が出てもレベルの高い打ち手に簡単に押さえられてしまう可能性が高いという。なので設定6でも「110%前後のバランスがちょうど良いのではないか」とC店長は考えている。
「ノーマルタイプと言えばジャグラーシリーズ一辺倒。地域によってはハナハナシリーズも使われていますが、当店としては2番手になるような機種を求めていますし、BT機がそのようになってくれたら良いと思っています」


ノーマルタイプのスペック強化版 BT機が進むべき道は!?
ホール関係者の話を総合すると、現状のBT機はノーマルタイプの延長線上にある。というのが共通認識のようだった。ボーナス1回あたりの枚数に不満を持つノーマルタイプファンに向けて訴求できる機種であるというのが、今のBT機の立ち位置といえるだろう。
前述のA氏やB店長も触れていたように1回のボーナスで400枚以上の枚数を獲得できるというところがBT機の魅力という意見もあった。A氏は「ループタイプよりは1回のボーナス獲得枚数が多い方が流行ると思う」と話す。
まだ導入1カ月ということで、台数も機種数も多くないため、「様子見」になってしまいBT機が盛り上がりにかけるのは致し方ないが、技術介入要素を備えた「アレックス」や400枚以上のボーナスを備えた「エヴァ」が導入されることで、BT機の認知がどのように広がっていくかどうか。今後の動向を注目していきたい。
BT機の認知拡大は「ジャグラー」次第!?
BT機の認知拡大に向けて、ホールの営業支援を行う「共闘ラボ」を運営する畠中太一氏にも話を聞いてみた。
「現状では、主力コーナーに成長するほどのインパクトはないと感じています。市場に『BT機コーナー』が形成されるとしても、最大でも5〜10台規模のジャンルの1つとしての位置づけに留まるのではないでしょうか」
そう語る畠中氏だが、一気に拡大する鍵として次のように語る。
「ジャグラーシリーズのBT機が出れば、年配層の間で一気に認知が進むでしょう。BT機を拡げるのではなく、すでに拡がっている機械をBT機にすれば良いということです」という。
また、若年層へのアプローチに関しては「スマスロや高継続ATのような“荒波性能”のBT機が出てくれば、可能性はあると思いますが、そのようなタイプは、今のままでは作るのが難しい。なので、認知拡大に向けて若年層の支持をどのようにして集めるかが今後の重要なポイントになると思います」と話してくれた。

某大手法人の機械購入&分析担当者としての経験を生かした営業支援に加えて、企業がAIを活用するための導入指南も行う「共闘ラボ」を運営している。

5〜600枚の固まりが期待できる 仕事帰りのサラリーマン向け
実際にBT機を打ったユーザーはどんな感想を抱き、そして今後のBTに何を期待するのだろうか。ここではBT機を遊技した高齢者と若者、2名のユーザーに話を聞いた。もしかしたら今後ホールでのBT機の扱いに、何らかのヒントになることが隠されているかも?

まず話を聞いたのは60代の男性。5.9号機の「不二子 TYPE A+」を日本一打ち込んだと豪語するホール通い歴40年の超ベテランA氏だ。BT機は「パルサー」「ハーレムエース」をプレイ済み。打った感想は「自分はこれで楽しく打てるが、今の若者にウケるにはもうひと工夫必要なのではないか」というものだった。
AT機などに比べるとどうしてもゲーム性が単調、RTなども利用不可となると、演出面でのヒキが弱く感じてしまう。刺激的な演出に慣れた若者に打ってもらうのはメーカーの腕の見せどころではなかろうか。それこそ氏が愛する5.9号機不二子のような、リール制御の不自由をアイデアで乗り切って演出とのからみで楽しませるのはRTがなくとも可能。そこに「出玉」が加われば、歴史的名作が生まれる可能性もゼロではない。
「最初にニューパルサーBTを打った時、隣のサラリーマンがループを連続で取ってあっという間に大きな出玉を取っていた。これは仕事帰りのオジサンにはかなり魅力で『ちょっと3000円だけ打って飲み代を稼ごう』のようなモチベーションになると思います。6号機のノーマルタイプはそれができないのが厳しかった。そもそも自分が打ち始めた40年前から値段が変わっていないものなんかパチンコの貸玉料だけ。全ての物価が上がってるのにパチスロは金額据え置きで出玉だけ減ってる。本来なら40円スロにするくらいでちょうどいい塩梅だが、無理なら出玉を増やすしかない。そういう意味ではBTは時代のニーズに合致してると思います」とA氏はいう。
古の名機を復刻するのにも向いているし、オジサンとの相性もいい。「なのでサラリーマン向けに夕方からの時差開放などの施策で派手に運用してほしい」とA氏は希望していた。
若者だって遊技する 20代のBT機マニアの願望
続いて話を聞いたのはまだ20代のB氏。A氏はBTを「オジサン向け」と評したが、実際若者はどう思っているのだろうか。

B氏は「1000ちゃん」だけで約4万ゲーム打っている、現段階では日本有数レベルでBT機を打ち込んでいる若者だ。5.9号機からパチスロを打ち始めた彼は遊ぶ前から「BT機で自分が打ったことがない5号機時代の出玉感を体感できるかもしれない」と期待しており、実際に打ってからはその魅力にしっかり取りつかれていた。
ハイパーラッシュなどの疑似ノーマル機も愛好する彼にとってBT機の特別な面白さは「変則押しができること」と「出玉力」、さらに1000ちゃんに顕著だが「プレミアループタイプ」のバランス感だという。引けさえすれば夢があるし、引けなくとも179枚で長くまったり遊べる。投資金額が少なく済むのも魅力で、BTの登場以来、愛するパチスロがより身近になったそうだ。
悲しいことにまだ「ジャックポット」は打てていないが、それも含めて全国のホールへは「もっとパルサー以外のBT機も導入してください」と切実に訴えていた。
「BT機はそこそこの投資で2000枚クラスの出玉が見える、現行のAT機とノーマル機の中間地点のような仕様だと感じています。導入の少なさについてはまだホールさんも『見』のフェーズなんだと思っています。エヴァとアレックスはどうか一杯(大量導入)お願いします!(B氏)」
若者にはBT機は刺さらないという業界関係者もいるが、中にはBT機に魅力を感じて遊技する人もいる。B氏のようなタイプは珍しいのかもしれないが、パチスロならではの「目押し(変則押し)」や「出玉力(ボーナスの獲得枚数)」「ゲーム性(ループタイプ)」などに興味を持つユーザーもいるということは、今後のBT機が若者に刺さる可能性もゼロではないということ。若者に刺さらないと決めつけるのではなく、若者に刺さる可能性も考慮して、BT機の導入を検討してみてもらいたい。
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