【ピデアな男】真駒内ひまわり/店長 村橋陽亮
2025.06.15 / ホール札幌市内といえば都会的なイメージがあるが、あくまでそれは中心部のみ。真駒内(まこまない)ひまわりがある札幌市南区は、市の中心部からはおよそ8km南下した場所に店を構えている。同店の周辺はのどかな住宅街といった様相で、店舗すぐ隣には約29.2ヘクタール(東京ドーム5個分)の自衛隊駐屯地が広がる。札幌ではあるが、ある意味商圏を限定された難店舗を任された村橋さんは、明確な理論で業績を上向かせた。さらにその先に広がる個人の夢など、今回は壮大なテーマで語っていただいた。
この会社なら
自分を表現できる方法が
見つかるんじゃないかなと
思いました。

PiDEA編集部(以下、編) 村橋さんは現在ご年齢はおいくつですか。
村橋陽亮店長(以下、村) 今36歳です。ひまわりグループの中では最年少店長です。
編 これまでのキャリアについて少しうかがってもよろしいですか。
村 19歳でアルバイトから入社して、大学在学中に、当時お世話になっていた店長から誘われて中途で入社しました。僕、元々パチンコ業界で働くつもりはなかったのですが、ひまわりは好きだったんですよね。なので、やると決めたからにはとことんやる。会社に誘ってくれた方に、どんな恩返しができるかなと考えた結果、同じ職位の店長まではなりたいなと思って励んできました。
編 なんか村橋さんは背も高いですし、熱血漢っぽさを感じます。
村 バスケットボールをずっとやってきたからですかね。高校生の時は国体も出ましたし、北海道代表にもなりました。大学時代も社会人バスケをしていて、アスリートでしたね。
編 アスリートとパチンコ業界というのはちょっと遠いように感じるのですが、そこまで良い会社だったんですね。
村 バスケをやっていた時は強豪のチームに入っていたこともあって、自分もハイレベルな環境で頑張れました。それが社会人になりバスケの環境から切り離された時に、活躍できるフィールドはなんだろうと。ひまわりの従業員に対して暖かいだけじゃなくて、いろいろな分野でチャレンジもさせてもらえる社風が好きで、パチンコ企業で働くイメージが大きく変わりました。「この会社なら自分を表現できる方法が見つかるんじゃないかな」と思いました。
編 そこからまず目指していた店長までの道のりはどうでしたでしょうか。
村 社員になって2年で主任になるまでは早かったですが店長になるまでは少し時間がかかりました。主任になってからしばらくして、東北の店舗に転勤になったのですが、北海道を出た時にいろんな土地の文化を知ることになりました。地域によって働いている人もお客さまも商業施設も、何もかもが北海道とは違う。新しい刺激を受けていたちょうどその頃、いろんな企業や知人から声をかけられていたんです。
編 要するにスカウトというか、一緒に働かないかみたいな話ですか。
村 はい。僕、夢がたくさんあって、営業の仕事もしてみたいなと思っていたんです。知り合いの会社から転職の話を3社くらい声をかけていただいて、チャレンジしてみようかなと。でも、そもそもなんで自分がひまわりに入ったか振り返ってみたんです。当面の目標は店長になるということでした。ひまわりでキャリアアップすることが、自分を表現する方法に近づけるはずなのに、目の前の仕事に没頭しつつも、ちょっと目移りしてしまっていたんです。「まだ店長になってなかったな」と振り返って、目的もってやり直して、そこからは結構早く店長になることができました。
編 パチンコホールの主任の方が、外部の企業から声がかかるというのがあまり想像つかないのですが、何かやっていたんですか。バスケ時代のつながりとか?
村 僕、20代の頃からお金を貯めて自己投資することに集中していたんです。「SMI」とか「LMI」っていう自己啓発プログラムに参加していて……。
編 初めてお聞きしたのですがなんでしょうかそれは。
村 アメリカの有名な自己啓発作家のポール・J・マイヤー氏が立ち上げた自己啓発プログラムで、自分の可能性を引き出し成功マインドを育む講座や、リーダーシップとマネジメントスキルを鍛えて組織を動かす力を身につける研修です。ここに参加したことで、いろいろ人脈やきっかけをいただきました。サラリーマンとして生きていく人生もいいけど、世の中に投資して世界を変えていくような生き方も味わってみたい。いい生き様を思い描くなら、いい死に様も見てみたい。これを自分自身の目標と定めました。ひまわりというのは次のセカンドキャリアに向けて勉強させてもらっている期間であり場所なんです。

編 いずれは会社を出ていくということを宣言しているのはすごいことです。普通みんなそういうことは隠しますから。
村 僕は隠しません。隠さないことが合田高丸社長に対しての敬意でもあると思っていますから。
編 どういうことでしょうか。
村 合田社長は社員に対して「ひまわりを踏み台にしてもいいんだ」と唱えています。これは珍しいなと思うんです。そんな社長にも興味がありますし、自分の本当の潜在能力を引き出せるきっかけって、制限が外れた時にもっと貢献できるようになるんじゃないかなと思うんです。それからは、いい意味で忖度しなくなりました。永遠に店長として業績還元しなきゃいけないというよりは、ひまわりで店長をやっていた村橋という人間が、世の中に貢献できるようになって、その結果「ひまわりってすごい会社だね」と多くの人に思われることが一番の還元じゃないかなと思います。
編 パチンコ営業、お好きですか。
村 もちろん好きです。でも店長としてどうかというとまだまだです。もっと成長できると思うし、ホールでやりたいこともあります。僕が考える仕事感というのは、目指していた目標値に対して70%の到達率で成功かなと思うようにしています。100%を目指せば70%は達成できるので、だからこそたくさん数を打ちます。失敗するデメリットを考慮しても、手数が一番重要です。
編 手数を打たないことがリスクだと。
村 今の時代は真似されることが多い。商圏人数も減っているし、お客さまの取り合いで、どこにいってもレッドオーシャン。どうやったら当店を選んでもらえるかを考えると、一番大切なのは「飽きさせないこと」だと思います。だからこそ70%を積み重ねて、新しいことに常に挑戦しているように見られる。そういった店舗、ひいては社風でありたいと思っています。
編 新しいことのイメージとは。
村 新しいということは、常連の方にも流動客の方にも、従業員に対してもメリットがある施策などさまざまです。

編 たくさんの策を打ってきた中で、村橋さんが個人的にやって良かったと感じたことはなんでしょうか。
村 昨年12月のリニューアルは良かったと思います。札幌市南区の商圏というのは年配のお客さまが多くて、札幌市の中心部から離れた場所です。店舗のすぐ隣には広大な自衛隊の駐屯地もあり、何もしなければ限定的な営業を余儀なくされます。そんな場所の店長になった時に、まずは地域を知ろうということで、真駒内駅前のお店を飲み歩いてみました。こういう地域性なら、「新しいね」とか「このお店は新鮮だね」「華やかだね」と感じてもらいたかったんです。地域性も考慮しつつ、ひまわりでも経験したことのない施策をやりたいなと。
編 その結果どのようなアイデアが生まれたのでしょうか。
村 業績が良い中で大幅なリニューアルをかけるということです。普通リニューアルというのは稼働の立て直しや仕切り直しの文脈で戦略的に使われることが多いですが、上がっている登り調子の店舗でブーストをかけるとどうなるのかを試してみたかったんです。
編 真駒内店は、村橋さんが担当されて売上は上がっているのでしょうか。
村 利益率は少し下げましたが、売上は昨対で160%以上をキープできました。ある意味で落ち着いた市場で、「何かしかけようとする店舗がある」ということを打ち出した時に、どんな反応が得られるかを試してみたんですね。
編 今稼働率はどれくらいですか。
村 リニューアル前は35%くらい。リニューアルで設置台数を50台増やして、40%ちょっとくらいですね。
編 村橋さんが担当する前はどんな店舗だったのでしょうか。
村 当時はとにかく採算を守らないといけないお店でした。黒字営業はできていて悪くはないものの、お金をかけて商圏外から集客を狙うよりも、地域に根ざした営業をする守りの店舗でした。
編 村橋さんのメンタルから想像するに、そのままでいいとは思わなかったわけですよね。ただ、複数の店舗を経営する会社の中で、お店ごとの役割があると思います。村橋さん、そこをよく突破できましたね。
村 ありがたい話。リスクある選択を許可されたのは、社内のいくつかのセクションで自ら発信させてもらったり、新入社員の教育担当だったり、実績を残してきたこともあるからだと思います。

編 リニューアル以外にはどんなことをされましたか。
村 僕もパチンコユーザーでもあるので、ワクワクしてお店に来店するきっかけをもうちょっと作れるんじゃないかということで、YouTube広告なども拡散して、どれだけの人に何を届けるのか。目的に合わせてターゲット範囲とかをしっかりセグメントしながら広告宣伝を行いました。また、来店施策においては自店のお客さまに対してマッチングすることや広い層の顧客を獲得でき、芸風にも特色がある演者さまの起用を心掛けています。
編 それはどんな狙いがあってですか。
村 知名度が高い人の集客力を使いたいのか、知名度がそこまで高くなくてもその人を呼んでやりたい来店企画があるのか。これは目的が違いますよね。「今日誰か来てるらしいよ」じゃなくて「今日は誰々さんが来てるよ」という反響を取りたかったんです。また、今はただの来店だけではなく収録にこだわって発注しています。
編 その理由はなんでしょうか。
村 僕、お呼びする演者さまには、当日は必ずお客さまとの時間をつくってもらうようにしていますが、前日から下見来店で夜に顔出しをしてもらうようにしています。僕が熱をもって、なぜこの企画はあなたじゃなきゃいけなかったのかという意図を伝えます。演者さまもパチンコ業界を盛り上げたいと思っている方も多いですし、熱意をもってお伝えするとわかってくださる方も多いです。その演者さまと共にしてみたいと思っていただける企画に特化しており、演者であれば誰でも良い訳ではなく、よりお客さまが来店を心待ちにしていただける演者来店企画に価値を置いております。
編 村橋さんのパチンコホール営業感を教えてください。
村 僕が小さい頃から大事にしている言葉でもあるのですが、真実と事実は違うということです。目の前で起きている事実は何をもって事実なのかを見る。パチンコ営業においては特にこの視点が必要です。出玉を用意したりそれを表現して喜んでいただけていて、会社に届けたい真実、お客さまに届けたい真実がありながら、実際には意図しない事実が伝わっていくものだと思うんです。だからこそ、目に見えないものを見えるように表現していくのが僕や店長たちの仕事なのかなと思っています。
編 今後の目標はありますか。
村 出る杭は打たれるという言葉がありますが、打たれないくらい出過ぎたらどうなるんだろうなと思うのです。これからは大きな業界回復が極めて厳しい時代なので、何をしたら生き残れるかを常に考えています。
