毎日が宝探し。「シーサイドプラザ」のこだわりは消極的な理由から生まれた必然だった!

2025.02.14 / ホール

ここでしか味わえない!中小規模店ならではの楽しみ方(シーサイドプラザ)

イオンと70 の専門店が入るショッピングセンタービアレヨコハマ内の一角にあるシーサイドプラザ。かつてはたくさんの人が集う複合商業ビルだったが、やや年季を感じる雰囲気になりつつある。神奈川といえば等価市場だが、シーサイドプラザは脱等価を成功させ、その波に乗り全国からユーザーを集める知名度を手に入れた。そのこだわりを店長に聞く。


46枚貸しの50枚返しが
奇跡の分岐変更に!


 神奈川県に全国的知名度を誇る中小ホールがあることをご存知だろうか。横浜市金沢区の湾岸地域に位置する「シーサイドプラザ」がそれだ。パチンコ・パチスロ併せて300台ほどの中規模店ながらホール情報をまとめたサイトでは「全国一位」の評価点が続いたことでも知られている。
 

時間によりやや人通りは少な目だが、それでも人が集まる場所にある「自社物件」の強み

 

 同店の溝口雄樹店長に店舗の魅力について訊ねたところ、「うちはとにかくLINEが面白いです」という答えが返ってきた。もともとスロプロ上がりの店長で、店舗独自の情報発信の有効性に着目。メールやLINE、さらにはXやブログを駆使し、ユーザーに対して「情報を元に店舗が力を入れている機種を探してもらう」という、昔ながらのパチスロの楽しみ方を毎日提供している。もちろんそれには「しっかりと毎日設定を入れる」という当たり前のインセンティブが必要になるが、これについて店長は確かな自信を見せた。

 「具体的な数値は控えますが、うちの一番の美点は最低限毎日複数は6を入れていることです。もちろん特定の日はもちろん、そうじゃない日にもチャンスがあるようにしています。また、地域によってできること・できないことはあると思いますが、うちはできる範囲でしっかりそれをアピールして、お客さまと店の読み合いを楽しめるようにしています」
 

パチスロコーナーは、大手ではお役御免となった機種も現役として活躍している面白さがある

 

 パチンコホールを運営する上で大きく出玉に振るやり方は2つある。あらかじめ利益を確保して放出予算を組むか、あるいは放出以外の予算を絞るかだ。シーサイドプラザは典型的な後者で、新台をほぼ買わないらしい。なのでラインナップは独特も独特、ほぼ全台がバラエティーのような構成になっている。このカオスなシマの中から6を探すのは「宝探し」感があり、ここにロマンを感じるユーザーは多いかもしれない。実際、この日取材した記者も独特のラインナップにはワクワクしたし、そこにまだ6が埋もれているかもしれないとなると仕事を投げ出して着座したくなった。なんと前日には「まどマギ叛逆」に6を入れていたそうで、これについても店長は「今どき特日でもなんでもない日に叛逆の6が打てるのは多分うちだけ(笑)」と笑いながら話していた。

 またもう一点、シーサイドプラザには忘れてはならない特徴がある。等価交換が当たり前の神奈川において「非等価営業」をしているというのがそれだ。コロナの頃、もはや店舗運営に利益が追いつかず諦めの境地に至り、決死の覚悟で等価をやめた。46枚貸しの50枚返し、損益分岐は10.8割。等価市場はやはり苦しく利益を出すためにはやむなしという選択だったが、ユーザーから総スカンを食らうこともなく、意外にもこの変更で客は減らなかったのである。

 「(溝口店長)おそらくギリギリのところだったんだと思いますが、受け入れられましたね。ただ、この10.8割というのはいうほど店に旨味がない。とはいえ下げたことは事実なので、その分還元はしないといけなくなったので、ひたすら設定を入れるようにした感じです。なので利益的に全然楽にはなってないですし、むしろ本当にギリギリ切り詰めて入れてる感じです。会員カードすら止めたい。高いんですよ会員カード」

 運営が厳しいから営業分岐割数を変更し、変更したから設定を入れる。この一連の流れの決断と実行の早さは中小ホールの強みの1つであるのは間違いない。しかし、この動きはそう簡単にできるものではないし、他の店が真似して成功する保証もない。等価ホールが等価ではなくなった時に、ユーザーは損をした気持ちになる。そう思わせないくらいの気構えがホールとしては必要になるし、ユーザーが減っていないということは、設定が入っていることが同店の前提になっている。だから毎日探してくれる。
 

パチスロコーナーにはアルファベットが割り振られてあり、各コーナーに期待値を持たせた営業を毎日行っている。

 

 どんなユーザーにとっても設定は入っているに越したことはないが、設定が入っているからといって必ずしもその店に行くわけではない。実際、最初の一年ほどはアウトは横ばいが続いたという。その状況から全国規模で支持を集めるに至ったのには、複数のインフルエンサーや演者との幸運な出会いも影響しているらしい。XやYouTubeで活躍する「シャル@ツモらせ隊」氏や「現役設定師」氏、そして「わーさん」氏などがそうだ。

 「一気に伸びたのはまだうちがそんなに有名ではなく、設定を入れてもなかなか人が並ばなかった時期に『わーさん』に取り上げてもらった時でしょうか。直後の特日にいきなり300人ほどの並びができてびっくりしました。さらにびっくりしたのが前任の店長が自作した抽選プログラムが3桁に対応してなかったことですけど。大混乱になって最終的に会社がお客さま全員に交通費を返すという事態になりました(笑)」(溝口店長)

 この事件は今でも店長のキャリアの中で最大の事件だという。余談だが、二番目の事件はうっかり間違ってとある台で26日間連続で6を据え置いていたことだそうだが、それは横に置いといて、なんにせよシーサイドプラザの快進撃はここからスタートし、あとの活躍は冒頭の通り。某レビューサイトにおいてユーザー支持率トップを連続で飾るなど、全国屈指の「名中小ホール」として知られるまでになった。
 

大谷翔平の大ファンというだけで、ユニフォームやインタビューが掲載された雑誌などを飾るコーナーを用意してしまった溝口店長。
熱い思いはあふれる。

 

 最後に溝口店長に、自身の矜持について聞いたところ「ファンをあおらないこと」という答えが帰ってきた。曰く「熱い」や「祭り」などの言葉は使わないし余計な特定日は増やさず、平常営業でしっかり還元する。この言葉に好感を持たないユーザーはおそらくいないし、耳が痛い店長も多いかもしれない。

 そんな名言を口にした溝口店長は大谷翔平の大ファン。好きが高じてつい力を入れてしまう日があるというのはここだけの話(余計な特定日を増やさないとは!?)。

 

シーサイドプラザ/溝口雄樹店長

 

シーサイドプラザ