【ピデアな男】KEIZ尾張旭店/係長(店長)主計 政憲

2025.01.22 / ホール

常連様ファーストのお店だったので
毎日来てもらえるような環境づくりや
ラインナップを整えてました。

平成観光が経営するパチンコホール19店舗の中で、もっとも稼働が高い旗艦店が今回取材したKEIZ尾張旭店である。この会社を代表する店舗を任された人物は、まだ2024年に昇進したばかりで店長1年目の主計(かずえ)政憲氏だった。年齢は35歳。たくさんの実力派な店長がいる中で、なぜ主計氏は抜擢されたのか。どのような営業力をもった人物なのかを聞きに行く。

 

「自分が一番驚きでした」


PiDEA編集部(以下、編) 今回は分かりやすく主計(かずえ)店長とお呼びしますね。これまでのキャリアについて教えてください。

主計店長(以下、主) 年齢は35歳です。2012年に新卒入社し、約3年ほど一般社員として務めて班長へ。そこから5年ほど経った後に主任となり、2024年の4月から係長に昇進しました。
 店長としてはこの尾張旭店が初ということですか。
 いえ、実はここの前に店長見習いということで主任として岐阜六条店(1042台設置)の店舗責任者を半年ほどしておりました。その店舗を経て、係長という役職をつけてもらい、2024年の8月に尾張旭店の店長となったのです。
 この尾張旭店というのは平成観光の中でももっとも業績の高い旗艦店とうかがっています。一般的には、店長としてのキャリアがほぼなかった方が任されるような店舗ではないと思いますが、なぜ主計店長が抜擢されたのでしょうか。
 短い期間でしたが、岐阜六条店を上向かせることができたので、その業績面は評価されていると聞いています。自分ではそんなに大きなことはやっていないと考えていましたし、むしろ自分が一番驚きでした。会社内でも大きな人員配置がある時期だったので、その中の一つであるのですが。

 急に話が舞い込んできたんですか。
 岐阜六条店の前が北海道の手稲店だったんです。北海道から岐阜へ引っ越しを済ませて暮らしもちょうど落ち着いてきた頃に尾張旭店の話を聞きました。
 あまりに短期間での異動ですね。
 岐阜は半年とちょっとくらいです。通常だと店長の異動は2年周期くらいだと思っていたのですが。
 
 

とにかくマイナスな部分を1つずつ消していく戦略


 これは尾張旭店のことをうかがう前に岐阜六条店でやったことをお聞きしないといけませんね。ただ、そんな短期間で急激に上がるというのはあまり聞いたことがないのですが。
 僕が入社する前の12、3年前の話をすると、岐阜六条店というのは地域一番店の強いお店だったんです。それが周りの状況に押される形で、少しずつ序列を下げて苦戦したお店でした。編 なるほど。地図を見てみると、ベガビック1200岐阜六条店(1221台)が500メートルの距離に。マルハン岐阜六条店(904台)が700メートルの距離にありますね。両店に挟まれる形です。
 非常に近い距離にあるお店がその2店舗で、その他にもキクヤ島店(814台)、キクヤ穂積店(1242台)やZENT市ノ坪店(1012台)、その他にもたくさんの競合店がある競争の激しい市場でした。
 そんなところで初めてお店を任される方が半年で業績を上げるというのは魔法でも使ったのではないでしょうか(笑)。
 常連様ファーストのお店だったので毎日来てもらえるような環境づくりやラインナップを整えていった感じです。また、しっかりと新台をそろえる状況でもなかったので、他店にあって自店にないような台をグループ移動や中古でそろえていくなど、とにかくマイナスな部分を1つずつ消していく戦略を取るようにしたんです。  
  
 やっていたことはシンプルなことだったんですね。
 前任者がやっていたことをしっかりと引き継ぎつつ、しっかり常連様に還元していくところに絞りこみました。今では流行っていますが、元々岐阜県ではあまりイベントなどもできない市場でしたので、自店に来ていただきたい方が誰なのかをしっかりと見つめ直してみたんです。
 ご自身が判断して入れ替えた中でもっとも効果の高かった機種はなんですか。
 一番印象に残っているのは「キングハナハナ」ですね。ちょうど「沖ドキブラック」が系列店に導入されるタイミングで在庫ができると聞いて、「ハナハナ鳳凰」と入れ替えました。あれはたしかにハナハナのお客さまが増えた実感はありました。
 機種戦略がヒットして業績が上向くと取れる選択肢も増えていきますよね。
 そうですね。そこから設定配分も変えました。平日はいつきても遊べることを意識しつつ、強い日には若干のメリハリでお客さまに「上も使っているんだ」と意識していただきながら、平日は平日で満遍なく打てるような配分にしたり。
 初店長で就任早々課題を見抜いたわけですよね。それはすごいなぁ。
 これだけでも反応はしてくれるんだと気付けたのは面白かったですし、しっかり反応してくださるので気持ち良かったですね。新台入替のたびに、いろいろな変化があって面白くて、初の店舗でしたが楽しみながらやっていくことができました。
 社内的にも岐阜六条店は難易度が高い店舗と言われていたんじゃないかと推察しますがいかがでしょう。
 そういう声はあったかもしれませんね。だから、横ばいでいくんだろうなというところが意外に上がったので尾張旭店を任せてみてもいいんじゃないかという判断になったのではないかと思っています。
 
 

「本当に恵まれているなと(笑)」


 さぁ、そして旗艦店である尾張旭店を任されることになったわけですが、どうでしょう。旗艦店は旗艦店の難しさがあると思いますが。
 いや本当に恵まれているなとしか思っていませんよ(笑)。会社と上司とすべての人に恵まれてここにいさせてもらっているんだろうなと思っています。この尾張旭店に関しては、現状地域一番ではありますが、まだ着任して4カ月ですし自分の力ではありません。僕はここに来ても岐阜六条店の頃から根本は変わっていなくて、我ながら面白味のない人間だなと思います(笑)。今も変わらずひたすら気になったところを1つずつ潰し続けているだけ。僕自身もいちユーザーなので、ユーザー目線は考えながら、このお店に変に慣れることがないようにしたいなとは思っていますが。 
 
 何か大きな仕掛けでバーンと上げる方法を取らない場合は、上がっていくには時間がかかりそうですが、主計店長になってから数字には変化はありましたでしょうか。
 大きな変化はありませんが、ちょっと苦戦はしています。
 苦戦ですか。
 自分の中でという意味です。当然上げなきゃいけないという焦りはあります。でも、焦りはあるんですけど、やっぱりエンターテインメント業なので楽しんでいなきゃいけないなと。自分に何ができるかを模索しながら考えながらやる毎日ですね。
 自分の中で苦戦というのは、例えばどんなところなんでしょうか。
 クリエイティブな発想はできていないかなというのは自分の中の課題として常に持っています。ただ幸いなことに、平成観光にはSNSで強烈に発信している店長もいますので、同僚や先輩方と話をして、「今こんなこと考えているんだ」と相談しています。
 
 

SNSは慎重に。


 主計店長はSNSはやらないのでしょうか。
 お店のアカウントはあるんですけどね。僕が前に出る必要はないなと思っていて、これまで露出はできるだけ避けてきたので、本当は今回の取材もお受けすることになってちょっとヒヤヒヤしていました(笑)。「僕じゃなくてよくない?」って。
 すごく自己評価が低いタイプの方とお見受けします。
 「自分の評価は自分でしない」「周りにしてもらうこと」だと決めているんですよ。でも、任されている店舗に対して責任感を持って、しっかりと自分の意見は言おうと思っています。
 今ってほとんどの店長がSNSをやっていたりして、その状況でやらないということは逆に不安にはならないでしょうか。
 まずもって自分でいいのかというのが先行してしまうんですよね。プロモーションの一環として上手に使っている店舗はあるので、うまいやり方でできればいいんだけど、「はたしてそれが自分にできるかな」と思ってしまいます。当然SNSってデメリットな部分もあるので、自分の発言1つでマイナスになることも出てくるかもしれない。だからこそ慎重になっています。
 
 

「パチンコ屋さんなんだけどな〜」


 主計店長は考え方がシンプルですよね。課題を1つずつ潰していけば必ず良くなっていくというところで、その課題を見抜く能力が高いのかも。
 「お前は面白くないな」って言われますよ(笑)。自分でもちょっと固いなと思う部分もありますので、納得はしています。それで結果が出せないのであれば、やり方はいつか変えないといけないかもしれませんね。 
 
 尾張旭店の難しいところは?
 8月に系列のKEIZ守山店が近くにグランドオープンしたので、一緒に両方を上げないといけないところが難しいですね。尾張旭店だけを強くしすぎてもいけないし、かといってこちらのお客さまを守山店に流しすぎてもいけないし。編 安直ですが、共闘なんかは良いかもしれませんね。
 それはやっているんですよ。きっかけは守山店の近くにある競合店さんに対抗するためです。
 10月10日はものすごい出玉だったようで。
 あれは全社を上げての年に1度の大切な1日なので、しっかりと全店が頑張った日ですね。ここも「旗艦店としてしっかりやるんだぞ」と言われましたから。
 この店の稼働が高い理由はずばりなんでしょうか。
 もうここで20年くらい営業を続けていることもあり、常連のお客さまが長く通ってくださっているからだと思います。常連様ファーストで長年積み重ねてきて、その結果が今の稼働です。「あそこにいけばなんでも打てるでしょ」というのがあるんですよね。新台もそうですし、古い台もそうですし。大きな店なので新台も多めには導入しているので、常連様に長く遊んでもらいたいと思っています。長く遊んでいただけるよう、誠実にやり続けてきたことが大きいのかなと。
 常連様を大切にすることは重要ですね。
 発信力のある大手媒体さんとかを頼れば、愛知県中からたくさん集まっていただけるとは思うんですが、それって一過性だなと思ってしまうんですよね。当然、どこかしらでやらないといけないタイミングが来ると思います。今それをやるべきなのかは吟味していて、毎日通っていて楽しんでいる常連様からしたら、いきなり2000人並んでいるみたいな日があると嫌な気分になるだろうなと。それよりも平日に大勝ちも大負けもしない感覚で遊べるお店の方が自分自身好みでもあるんですよね(笑)。
 誰に向けて出玉が必要なのかをしっかり見定められているんですね。
 広域からたくさん集める方法を一概に否定はできません。だけど、僕はほとんどが一過性だと思います。僕自身そういうお店が好きで通っていたお店が急にあおりが強くなって出すようになると、「次の日常連様から取るんでしょ」と思ってしまうんですよね。今はただでさえ高単価な機械が多くて、そこだけ出していたら常連様が来る回数が少なくなってしまいます。最近はパチンコが遊べない店が増えてきてしまっているので、「パチンコ屋さんなんだけどな〜」と。
 
 

「もし競合店の立場だったら何をされたら嫌かな」


 尾張旭店の任期が2年だと仮定して、2年後どうなっていたいでしょうか。
 圧倒的地域ナンバーワンになっていたいなと思います。守山店と2店舗でKEIZグループとして地域シェア50%は目指していきたいです。
 豪気な目標で、良い意味で主計さんらしくないかもしれません(笑)。
 ここはまだ着任して4カ月なので、そこまで大きな数字の変動はありません。でも、やれる感はあります。もちろん会社のやり方はあるし、地域の競合店の動きもあるので、運も必要ですが、しっかりと周りの競合店の動きも把握しながら、「もし自分が競合店の立場だったら何をされたら嫌かな」と想像して、競合店が嫌がることをどれだけやるかがこれからのやり方だと思っています。
 ミート戦略ですね。
 2番店3番店の強みをとにかく打ち消していくような感じです。
 大人しそうに見えて、したたかなプランを持っていますね。
 どのお店でもあると思うんですよ。嫌なことされてきた経験って。なので、それが基本戦略なんだろうなと感じています。周りの動向であったり、数字は逐一確認しつつ、自店のいいところは伸ばして、相手のいいところは押さえていく。これだけをしっかり続けていくことができれば、2年後には結構良い形になっているんじゃないかなと思います。その中で自店の稼働に慣れてしまうことなく、いちユーザー目線は持ち続けていきたいです。
 会社として大きな目標もありますもんね。
 そうです。今会社が掲げているのが、3年後に売上1400億円を目指すという大きな目標です。尾張旭店はそれを担っていく店舗ではあると思いますし、うちが一番伸びる可能性が高いとも思っています。ただ、個人的には1400億円はゴールじゃなくてあくまで経過で、東海ナンバーワンの企業にしたいなと思っています。まずは、1400億は3年後に達成するのは当たり前という感覚で取り組んでいます。
ピデアな男, KEIZ尾張旭店