10月29日、日本生産性本部余暇総研は都内で「レジャー白書2024」の概要説明会を開催した。白書は全国15〜79歳の男女3303人を対象に昨年1年間における余暇活動108種目の参加率、回数、費用、希望率を調査。参加人口や市場規模を推計している。
その中でパチンコの市場規模は15.7兆円となり前年比1.1兆円増えた。
その一方で参加人口は660万人で110万人も減少した。これは過去30年さかのぼっても最低の数だ。
7月に公表された同白書の速報版ではパチンコ参加率は6.8%(前年比1.3ポイント減)、参加希望率5.2%(同0.5ポイント減)、年間平均活動回数31.2回(同0.7回減)、年間平均費用10万9000円(同2万600円増)と参加率と参加希望率、年間平均活動回数が減った 一方で、年間平均活動費用が2万円超増えていたことである程度の予測はしていたものの、今回の推計によって、その全体像が明らかになった。
余暇の種目は多いが、参加人口が100万人以上減って、1兆円以上も市場規模が増えたのはパチンコ以外には見当たらない。というのも、パチンコの市場規模は余暇関連市場全体71兆2140億円の22%、うち娯楽部門(ゲーム、ギャンブル、飲食など)に限れば32.7%を占めている。いまだに巨大市場なのだ。
余暇関連市場全体71兆2140億円は前年比13.4%増、コロナ前の2019年比98.5%となったが、パチンコ・パチスロを除くと前年比15.1%増、2019年比106.1%と跳ね上がる。それほど大きな影響力を持っている。
レジャー白書の説明会では毎年、余暇関連産業・市場の動向の解説をしている桜美林大学ビジネス学群の山口有次教授にパチンコ市場規模の上昇と参加人口の減少について見解を聞いてみた。
「パチンコの市場規模が増えたのは、近年下がり続けてきていましたがここで〝底を打った〟のではないかと見ています。参加人口が減っても市場規模が増えたというのはやはり消費金額の上昇(物価高騰)というのが背景にあり、そうした余暇種目は少なくありません。例えばコンサートや音楽会。こちらはチケット代がどんどん高騰しており、参加人口は減少傾向にあるのですが、市場規模は急拡大しています。つまりどうしても参加したい、価格は二の次という熱心なファンに支えられているのです」
その上で、「それと同じようにパチンコもお金を使っても遊技したいという熱心なファン(マニア)」に支えられているといえると思います」とパチンコ人口のマニアック化を指摘した。もちろんそれは業界内でも以前から懸念されていることだが、市場規模が上向いたことでそれはより深刻な状況になったといえるだろう。
業界では今、さまざまなファン開拓・回復策が進行しているが、それらにより今回の白書のファン人口が底であり、以降は上昇に向かうことを期待したい。
■娯楽部門の参加人口の推移