【二物二価ではない】一物一価のバリエーション増えました!パチ・スロで別景品が可能になった件を解説

2024.05.21 / 組合・行政

この記事を読むと以下の内容が分かります
✅一物一価のバリエが増えた
✅パチ、スロで別景品が可能に
✅特殊景品の差別化が問題点
✅大幅変更を明言している大手法人は今の所無し
✅二物ニ価ではない


「パチンコ専用賞品」と「パチスロ専用賞品」がついに認められました。これにより、全国のホールでは、パチンコとパチスロの損益分岐割数をそれぞれ分けることができるようになり、営業方法が大きく変わることになるかもしれませんので情報をまとめていきます。

5月17日、ホール関係4団体が作成し、警察庁が確認した「パチンコ・パチスロ店営業における賞品の提供方法に関するガイドライン(以下.賞品提供ガイドライン)」が制定されました。

「賞品取りそろえの充実・多様化に資する」という理由から、それぞれパチンコ専用の一般賞品、パチスロ専用の一般賞品提供を警察庁が認めた……。

……というのが今回の賞品提供ガイドラインの建て付け部分であり、重要なのはここから。認められたのが一般賞品だけでなく、いわゆる特殊景品にも適用されるということが、打ち手にも大きく関わってくる部分になります。

例えば、パチスロを50枚貸しの56枚返し、損益分岐割数を11.2割に設定して営業をしているホールがあるとします。この場合、パチンコも損益分岐割数をそろえなければならなかったので、250玉貸しの280個交換にしなくてはならないというのがこれまででした。

ところが、今回PSそれぞれの専用商品ができることで、パチンコは250玉貸しの330個返しなど、13.2割分岐の営業をすることができるようになったというわけです。

交換ギャップが大きくなるということは、パチンコファンにとって、よく回る、長く(あまりお金を使わずに)遊べる、大当りを多く体験できるなどの変化が起こるかもしれません。パチスロに押され気味のパチンコの復権やファン人口の回復にも関わってきます。

ただし、「やったーじゃあ明日から変えちゃおう」と気軽に変更できない問題もあります。まず、特殊景品をパチンコ用とパチスロ用に差別化しなければいけません。地方によってはそれに相当する賞品の在庫などを抱えている場合もあり問題ないエリアもあるようですが、金で統一している東京は頭を抱えているようです。シールを貼って賞品を差別化という話もありますが、それは難しいとのことで、今後のアイデアが待たれるところです。

全日遊連の阿部恭久理事長はこの件について、「行政にも申しあげてきたが射幸性を下げるには玉の価値を下げればいい、と。そして、その分、ファンに多くの玉を還元してあげればいい。それこそ健全な遊びだ」と5月17日の記者会見で考えを表明しました。

ガイドライン制定で長年の思いが成就した形になります。今後はホールの上手な運用と活性化に期待したいところです。

それからもう一点重要なことを。この件について、先週末よりSNSでは「二物二価」というワードが飛び交っているようですが、特に業界人の皆様に気をつけていただきたいのは、全日遊連では二物二価を明確に否定しているということです。「あくまで既存の共通賞品とパチンコ専用賞品、パチスロ専用賞品の大きく3通りに多様化したということであり、それぞれが一物一価である」ということを強調しています。

一物一価とはそもそも経済学用語で「同じ商品は同じ価格で取引される」という原則のこと。これがホールにも適用されており、2011年に警察庁がその徹底を求めています。一方、二物二価というのは業界特有の用語であり、その用語に対して行政は特に認めておらず、賞品提供のガイドラインにも一切書かれていません。

そんな言葉が流布するとせっかくの賞品提供のガイドラインが水の泡ということにもなりかねませんので、業界(ホール)側も報道する側も十分な注意が必要です。あくまでもパチンコ専用景品、パチスロ専用景品の一物一価なのです。

 

ホールは「現状維持」「様子見」が多数。一方ユーザーはどちらを求めているのか?

PiDEAでは、この件について先回りしてホール現場の反応を調査してみました。

地方のある中小ホールは「できればパチンコは12割分岐くらいにして、パチスロとの1時間あたりの遊技時間格差を是正したい」と期待する声がある一方で、西日本の某大手ホールでは競合店対策として、「パチンコはそのまま。パチスロを等価寄りにするかもしれない」という真逆の意見も。

また、都内の中小店では、「ウチは玉積みなので、パチンコの損益分岐割数を上げると今まで以上に見せ玉を出すことができるメリットはあります。ただ、28個交換か、33個か35個か。交換個数とお客さんが飛ぶラインを見極めるのが難しい」という声もあります。

この他にもいくつかのホールに聞いてみましたが、ホールの対応を俯瞰して見ていくと、都心や大型店、特に地域一番店などでは営業内容を変更することによるデメリットの方が大きく、現状維持か様子見を選択するホールが多いようです。反対に大手や強豪店に押されている地方の中小店舗ほど差別化や稼働アップの手法として期待しているようです。

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