半径200mに8000台超! 日本一のパチンコ密集地の歩き方 後編

2024.01.30 / ホール

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123難波店の渡辺健吾店長インタビュー


123難波店の渡辺健吾店長

 ―現在、市場の客数はどういう状況か。

遊技客数はコロナ前の数字から戻り切れていませんが、観光客の人数は戻りました。以前は韓国・中国のお客さまが多かったのですが、今は欧米や東南アジア系のお客さまを多くお見かけします。かつてはドラッグストアや家電量販店が行列をつくっていましたが、今は飲食店が人気で、初めてのカキフライ!などとTikTokに上げているようです(笑)。

コロナ前はパチンコ遊技を観光目的の1つとして来日される外国人の方が多く、賞品カウンターでは20個30個とキャリーケースをお預かりしていました。最近は観光して食事して、夜になって「パチンコも行ってみる?」と来店されることが多いようです。

―外国人の方は遊技方法を知っているのか?

遊技の始まりと終わりを質問されることが多いです。お金をどこへ入れるのか、どうなれば当たりなのかと。ですので、ジャグラーならGOGOランプが光れば当たりと分かりますが、そこから何をしたらいいか分からない。「あれ?当たったのに何も出ない?」と席を立ってしまいます。

もちろん冊子を用意して説明できる体制になっているのですが、フランクに質問されないとこちらからはお声がけしづらいのが現状です。インカムでも「外国の方へ説明をお願いします」と飛び交うことも少なくありません。

―外国のお客さまは5%くらい?

いえ、もっといらっしゃいます。古くからお住まいになられている韓国・中国の方も含め、多いときは2割、3割以上いらっしゃるのではないのでしょうか。韓国系のコミュニティーで「パチンコはここを狙って打ちなさい」と紹介されているのか、情報を各所から手に入れた観光客も来店されます。

―日本のお客さまは地元の方が中心?

広範囲から来られています。難波は電車のアクセスが非常に良いですし、店舗の密集したエリアです。新台を打つにしても郊外を転々とまわるより「一旦難波で打ちたい機種を探そう」となる若年層を中心に回遊性の高いエリアです。新台が満台なら次の店、と追いかけていくように動き、朝の入場抽選も複数のホールをまわり、入場順番が一番早い店で打つことが多いです。

―貴店で自信のあるポイントは?

4円パチンコの海です。平日でも常連のお客さまを中心に、大半の席が埋まっている状況です。また、千日前のホールさまはどこも多階層でお客さまの導線に苦慮しますが、123難波店は1階が4円パチンコの海とジャグラー、2階は1円パチンコ、地下はジャグラー以外のパチスロと、各層で特徴を持たせ対応しています。 

123難波店の店内

 

―ライバル店は?

これだけ密集していると、郊外からもお客さまにお越しいただかないと成り立ちません。そのため、ライバルというか、競合でありつつ共存する関係です。実は、地域ホールの店長会を以前は行っており、非常に有意義でしたが、コロナ以降は開催されなくなりました。商圏の課題をみんなで解決したい意識は常にあります。

―千日前の未来は?

千日前は、コロナの影響を大阪で一番長く受けたエリアです。しかし、スマスロや6.5号機、何か変化が起きたとき、非常に敏感な反応を見せるエリアでもあります。流行に極めて敏感なので、電車を使ってでも行きたいエリアにしていき、その中で自店の魅力を研ぎ澄ませたいですね。

ホールの目の前にホールがある、ファンの方にとって楽しいエリアです。我々にとっては厳しいエリアですが(苦笑)。

ぜひ一度お越しいただきたいですね。

マルハン新館の前田孝道店長インタビュー


マルハン新館の前田孝道店長

―10店舗が争う市場をどう見ているか。

確かに店舗は多いんですけど、マルハンもキョーイチさんも四海樓さんも2店舗ずつ。法人数は多くありません。ただ、巨大な商圏ですから、どの法人さんもパチンコなら4円、パチスロなら20円で勝負したい。1000台クラスの巨大店舗でも通常貸が中心です。

―首位はマルハンなんば新館か。

何の数字を取るかで異なりますが、稼働率なら低貸専門の四海樓Airさん。客数や通常貸の稼働率では弊社の統計上、マルハンなんば新館が首位です。

ただし千日前は関西の大手法人さんはじめ、楽園さんなど強豪ひしめく商圏で一切の油断はできません。弊社としても8年前、楽園さんのオープンで本館への影響があったため、若い男性客の多い本館の特徴を生かした機種ラインナップや販促展開を行うなど、王道路線からややニッチ路線にシフトチェンジした期間もありました。一方、禁煙を特徴としてきた新館は楽園さんの出店以降もそれほど変わらず、今もずっと海とジャグラーを強みにしています。 

マルハン新館の店内

 

―外国人観光客は来るのか。

来られます。古くから住んでいる在日の方もいらっしゃいますけど、訪日の方、数日間滞在する旅行客の来店が最近また増え始めました。皆さん遊技方法は分からないので、英語・韓国語・中国語のパンフレットを用意したり、QRコードに対応したりしています。それでも毎日10件は質問を受けますね。一度覚えてしまえば普通にご遊技いただけるので、今まさにこの時間帯に遊技してる方は10人どころじゃないでしょう。

―やはりパチスロが人気なのか。

訪日の方にはパチンコの方が人気です。パチスロはジャグラー以外オススメしにくいんです。複雑すぎて。ジャグラーなら「ここが光ったらボーナスだよ」と言えますから。

―外国人はパチンコの方を好む?

パチンコも簡単ではなく、大当りしても右打ちせず、派手な画面をジーッと見てるとか、確変中に飽きて帰るとか、我々の常識では考えられないことも数多くあります。インバウンドはこれからまだまだ伸びると思うので、取り組みをもっと進化させたい。観光客は複数人一緒で来店しますから、帰国後、友人や家族へ「パチンコは楽しかったぞ」と伝えた時の影響は大きい。我々が海外のカジノを行った際と同じような感覚です。「大阪へ行ったら、あの店のあのスタッフへ聞けば大丈夫だ!」と、そういう流れを大切にしたいです。

―日本人は若い人が多いのか

ご年配の方と女性が多いです。これはもう新館の特徴なので、ご年配や女性のお客さまに合った集客策を常に考えています。若い男性と違い、刺激に対しビビッドな反応を示すわけじゃありません。難波では珍しいホールでしょう。本館はレッドオーシャン、新館はブルーオーシャンと言えるかもしれません。

―2024年の戦略は?

うちは海とジャグラー以外にも、北斗が地域で一番強いんです。北斗のコア年齢は40代で4号機世代。新館の個性とマッチしますので、そういった年代層のお客さまを大切にすることは2024年も変わりません。機械に関してはパチンコだとやはりシンエヴァ。スマパチは中々ヒット機が出てきませんでしたが、リゼロ2で「1/349のスマパチはダメ」との仮説が崩れましたので来年はe機にも期待します。ラッキートリガーに関しては入口が狭いのでユーザーを選ぶだろうなと思うものの、新しいゲーム性という意味では歓迎します。

来年は新館と本館、それぞれが違った個性で営業し、結果として幅広いお客さまに支持されるようにチャレンジしていくこと、そして西日本マルハンの顔として、合計2242台のスケールメリットを押し出して、なんばマルハンの存在感をさらに高めていきたいと思います。

 

日本一の密集地・千日前にパチンコ業の「あり方」が見える

マルハンなんば新館や123が海とジャグラーに注力し、四海楼Airが5スロで満席にする。大東洋のCLUB-Dは文字通り〝クラブ〟をイメージさせる店舗を作り、楽園がパワーゲームを仕掛ける。集客しているホールは新台に頼らぬ〝育成力〟を強く感じさせる。新台は最低限の必要条件であり、稼働を得る十分条件たりえない。

日本一のパチンコ密集地域で、目を皿のようにして自店の強みを見つけ、出玉を付与し、育てる。経営規模に関わらず、設置台数やレートにも関係ない。

パチンコ業の「あり方」を、千日前は見せてくれているように感じた。

 

大阪, 難波, 123難波店, マルハン新館