民事再生法の適用申請を行った株式会社ガイア。同社および金融支援に名乗りを上げたJトラスト株式会社についての記事は多く目にするが、ガイアのオーナーである良原家について語られることは非常に少ない。
マスコミからの取材はほぼNG。社員の前にすらあまり姿を現すことのない良原家だが、民事再生法適用申請翌日の10月31日、良原武夫氏と良原哲夫氏の連名で「株式会社ガイアの民事再生の申立てについて」とする文書が発出された。いわく、民事再生は良原家の意向ではなく困惑している、自分たちは私財をなげうって再生に尽力した、10月末の支払いは間に合うはずだったと、恨み節に近い内容である。業界内では〝怪文書〟として取り扱われた。
そこでPiDEA X編集部は、良原家と付き合いのあったメーカー元役員のA氏に取材を行った。
---良原家とは
A氏「創業者は長男の一行氏。次男の哲夫氏と三男の武夫氏が継いで、武夫氏は会長、哲夫氏は副会長。大山努氏も代表取締役だったが、彼は良くも悪くもサラリーマンですね」
---良原家は排除されたのか
A氏「仕方ないでしょう。武夫氏も哲夫氏も、パチンコ事業に関心を持っているとはとても思えなかった。グランドオープンで新台を見に行っても、お2人の姿なんて見たことありません。これは一行氏もそうだった」
---パチンコ自体に興味がないのか
A氏「おそらくないのでしょう。店長ですら『良原一族を見たことがない』と言っていましたから。機械の展示会に来ていた息子さんは、関心なさそうにボーッとしていましたよ」
---武夫氏と哲夫氏の経営能力は
A氏「表に出てこない時点でどうかと思いますよ。マルハンさんもダイナムさんも、経営者自ら『私たちはこうするんだ』とビジョンを示します。でも、ガイアはやらない。良原氏のビジョンを拝見したことがない。ホール経営ってそんなに簡単な商売じゃないでしょう」
---部下に任せきりだった
A氏「覚せい剤取締法違反で逮捕された渡辺さんに、ジャバの真田さん。MG建設の進藤さんに、ガイア本体の大山さん。みなさん良く言えば実直。悪く言えば『使いやすい人』です。企業のビジョンを語るのは良原さんにしかできません」
---今後どうなるか
A氏「再生は三井住友とJトラストが主導する。矢面に立つのは大山(努)さん。非常に辛い立場でしょうけど頑張っていただきたい。Jトラストにホールを運営するつもりはありませんから、不採算店舗をどんどん切り売りする。むしろガイアが持っている別事業を狙ってるんじゃないかな」
---残す店舗はどれくらいか
A氏「残す店舗は全体の3割くらいか。ガイアさんの約80店舗を見ると、あまり良い状況ではありません。これは他社が買うだろう!と思える店舗は、1000台クラスのうち良くて5店舗くらいじゃないでしょうか。400台クラスはほぼクローズでしょう」
---良原一族はどうなる
A氏「一行氏は悠々自適な生活。武夫氏と哲夫氏は謎の文書を出して色々と言ってるけど、金融機関に外堀も内堀も埋められて何もできません。ただ、債務整理をする過程でトンデモない爆弾が出てきたら、3兄弟とも責任を問われる可能性はある」
---メーカーは優先して支払いを受けられるのか
A氏「受けられますが、何カ月先になるか、何回分割になるかは分からない」
---ガイアはホール経営として成り立っているのか
A氏「普通ならスクラップ&ビルドで不採算店を整理していくのだけど、ガイアはビルド&セールスだった。作ったはいいけど高稼働なところから売ってしまう。あれでは絶対に持たない。東京商工リサーチや帝国データバンクはガイアの動向を注視していました」
---業界への影響は
A氏「パチンコ業はビジネスとして大きいから、いずれ融資環境も戻るでしょう。ただ、現時点でプラス要因はゼロ。悪い影響しかない」
---ガイアのような法人はあるのか
A氏「投資組合を組成したり、怪しげなファンドに手を出したり。そんな大手法人、ガイアくらいでしょう」
---連鎖倒産はあるか
A氏「遊技機メーカーはない。販社さんはキツいところが何社かある。東京の某社に全部背負わせたメーカーもありますからね」
---経営者の資質とは
A氏「良原さんからは責任のなさを感じちゃうんですよ。例えば以前、ダイナムの佐藤洋治さんへごあいさつに伺った際、『うちの社員に失礼な対応があったらいつでも言ってくれ』と仰っていた。現場の1つひとつ、社員の1人ひとりに気を配っていました。すべての責任は自分にあると強い信念を持っておられた。巨大チェーンとなった後も取引先に頭を下げ、パチンコと向かい合っていた。『本社なんか金を生まん。デカい社長室なんていらんのや』と、湯島の安いスナックで熱く語っていました。ガイアの良原さんからは、そういった謙虚な姿勢を感じない」
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数十年にわたりガイアを率い、業界3位にまで押し上げたのは長男の良原一行氏。PiDEA Xでは昨年、誌面の特別企画「ガイアの落日」内で同氏の写真を掲載したところ、驚いたことにガイアから内容証明の抗議文が届いたのだ。いわく、経営から退いた人間の写真を出すとは何事かと。このことから編集部は、良原家との関係はあまり良くない。
そんなガイアの民事再生が適用されるかどうかは、今月判明する。
※写真はメガガイア青森中央店