株式会社エンターライズが、サミー株式会社が運営する「777EC」に参画することを発表。また、その第一弾機種として、「スマスロ バイオハザード™ ヴィレッジ」が同時お披露目となった。
これは歴史的な第一歩だ。
従来、パチンコ業界で行われていた新機種の販売方法は、メーカー営業マンによる直販。または、メーカーが遊技機販売商社などに新しく製造した新機種を卸し、販売商社がメーカーの代理となって遊技機を販売するものだった。
このホールと営業マンの関係性はおそらく十人十色のヒューマンドラマがあり、非常に深掘りしがいのあるテーマだが、個々人同士のやりとりによるものなので、大きく報道されることはないので、取材は非常に難しい世界だ。
さて、話がそれたが、その販売手法を現代ナイズドしたのがサミーだった。サミーは2021年6月に「777EC(スリーセブンEC)」という対ホール向けのサービスおよびサイトを立ち上げた。
極めて平易に表現すると新台の通販である。
1台40万円以上もして、さらに旧台の引き取りによる値引き、ホールが求める台数と全国に供給される台数とのバランス調整、プレゼン、試打日の調整、普段の取引状態など、さまざまな要素が絡み合って複雑に取引されていた部分をECサイトに任せ、究極に簡易化してしまったのだ。
そしてこの度、そこにエンターライズが参画することとなった。参画第一弾となる新機種は「スマスロバイオハザードヴィレッジ」だ。エンターライズの「バイオハザード系コンテンツ」と言えば、「パチスロバイオハザード7 resident evil」でその年を代表する機種にも選ばれるなどたしかな実績がある。満を持しての参画ということだろう。
10月13日にサミー本社で行われた発表会では、サミー株式会社取締役営業統括本部長の後藤正人氏は、「まずこの発表を迎えるにあたりまして、長い時間いろいろ意見があった中でお互い合意に結びつけることができた。今までの業界の商慣習を鑑みた時に、エンターライズさんは非常に勇気をのある決断をしてくださいました」とエンターライズ社の参画を喜んだ。
これで777EC参画企業数は2社目となった。エンターライズ社では、「フィールズ様、ユニバーサルエンターテインメント様という販路もありましたが、もう一段階高い販売意識をもってやっていきたい。これに取り組むことによって、ペーパーレス化やコストダウンも図れる」とし、中長期的なビジョンも語られた。
あくまでECはメーカーの販売方法の変革ではあり、ユーザーにはほとんど影響はない。実際問題両社はECによって、コストダウンを実現させることができるだろう。そのコストダウン分が販売価格が抑制されるのであれば、ホールの費用負担が減り、巡り巡って「設定が1つ変わるかも!?」といった見方もできなくはないが、昨今の物価上昇の波もある。機種によって多少の変動はあれど、新台の価格を下げるというのはなかなか難しいミッションだ。
ただ、またしても視点を変えて考えてみると、メーカーサイドに残る利益が大きくなるということは、それだけ開発や製造にかけられるコストやリソースを増やせる余地が生まれる。開発段階では少なからずさまざまな問題が浮上するだろうが、その中で発生する妥協も減らすこともできるかもしれない。つまり、リリースされる機種がちょっとずつブラッシュアップされていくということだ。
これはあくまで可能性の話。だが、その可能性を追いかける者には必ずチャンスが訪れるものだ。