ユーザーから取り続ける営業は正義なのか、これからの「甘デジ」運用を考える

2023.05.25 / その他情報

甘デジは今、射幸性の向上とともにアウトも上昇を続けている。果たしてこのまま利益を取り続ける運用は正解なのか。ユーザーとホールの視点を集め、改めて運用方法を考える。
※本稿はPiDEA Vol.201の転載記事です


放置された激辛コーナー
「甘デジ」に訪れた変化

「Re:ゼロ鬼がかり」の大ヒットを機に、通常転落でも初当り1500個タイプのハイミドル機が増えていき、さらには初当り4500個+RUSH機の登場など射幸性は高まりつつある。
その射幸性の高まりは「甘デジ」にも波及しつつある。初当り後RUSHに突入できれば、ハイミドルに匹敵する性能を持った機種が登場し始めた。しかし、現実はそう甘くない。甘デジの運用といえば1万円使って100回転ちょっと。低投資でも長く遊べるはずが、多くのホールでの運用があまりにも辛い。

直近の甘デジの動向をみていると1月から4月にかけて、アウトは徐々に高まり、粗利貢献を始めている。甘デジは導入台数も他のスペックと比較すれば圧倒的に少ない。しかし、稼働貢献や粗利貢献、中古機価格の安定性など、他のスペックよりも秀でている点も多々ある。

しかし、このままユーザーから利益を取り続ける運用で放置を続ければ、再度、甘デジの稼働が落ち込むことは明白だ。甘デジが好調というターニングポイントが訪れた今、ユーザーとホールの意見から、改めて甘デジの運用について考える。

「負けると分かっていても……」
ユーザー・ホールのねじれ現象

まずは、実際ホールで実機を打つことが多く、その魅力を外部に発信することを生業としているパチンコライターは、現状甘デジをどう思っているのだろうか。ここでは現役で活躍するライターに現在の甘デジの印象と適正運用についてどう思うか聞いた。

今回話を聞いたのはゲンダイエージェンシーのパチ7チャンネルなどで演者としても活躍中の現役ライター「せせりくん」と、現役ライターのA氏。A氏は名前を出さないという約束での回答だった。

まず両者で共通した意見は、甘デジがあまり回らないという印象の部分。これについてはA氏はあくまで打ち手としての印象論ではあるが甘デジコーナー全体が「回らないというのは昔から変わらない」というが最近は特に顕著であり、それは「Pとある科学の超電磁砲 最強御坂Ver(以下略:レールガン甘)」や「P天才バカボン〜甘神SPEC〜(以下略バカボン甘)」のような「爆発力のある甘デジ」の登場も一因ではないかと分析した。ホールにとってリスクのある台はそれなりに辛い運用にせざるを得ないのは道理であるが、それとは真逆にスペック上の「当たりやすさ」は打ち手にとって着座への心理的なハードルを下げる効果がある。

つまり甘いと思って座った機種が実は辛く、すぐに当たると思って打ったにも関わらず、一度もまとまった出玉を得ることなく遊技を終えるという経験をしたユーザーが、甘デジ全体に対し「回らない」「辛い」といった印象を持っているという。

実際A氏は手持ちが少ない時ほど甘デジに着座するらしく、ミドルでの稼働をメインにするせせりくんもまた、投資がかさんだ際の「最後の砦」として甘デジを打つとのこと。

このようにライターを含めたユーザーにとっては甘デジは負け試合終盤の駆け込み寺のような存在である一方、ホールを運営する立場からすると「利益を上乗せするための最後の仕掛け」なため、本当に偶然が積み重ならない限り望みは薄い。

このねじれ現象は甘デジが登場して以来ずっと続いており「甘デジはぶっこ抜くことこそ正義」であるとするホールも多い。しかしその事実はすでに「回らないという印象」として根付いてしまっているようだ。また「最強御坂」のような機種についてはせせりくんとA氏の間で意見が分かれている。せせりくんが是、A氏は否の立ち位置であるが、これは両者のプレイスタイルによる部分が大きいと思われる。せせりくんは普段ミドルをメインに打っており、A氏はプライベートでは甘を頻繁に打つとのこと。店の看板機種であるミドルで負けてしまったあとに一発逆転を賭けて座る甘と、普段から遊びで座る甘では、求められる機種のバリエーションに方向性の違いがあるようだ。

せせりくんは「やれそうな感」のあるスペックの(大一の甘デジのような)機種に魅力を感じている一方、A氏は「老若男女が楽しめる」「1万円程度で勝負できる(交換できる)甘デジ」を求めており、見解が大きく違った。

●パチンコライター「せせりくん」

甘デジの使われ方の印象ですが、やはり初当りが軽く、投資額が少なくなりやすいのでお店の運用はかなり辛いと感じます。僕自身はミドルなどでの投資額が大きくなった時に打つことが多いです。運用に関してはやはり甘デジはユーザーにとって低投資で遊べる癒しの場であったり、投資が大きくなってしまった時の最後の砦だったりすると思うので、極端に回収するのではなく、ボーダーマイナス1ぐらいのギリギリ打てるぐらいは回ってほしいと願います。

また最近は「最強御坂」のような実質のスペックが高くてあまり甘くない甘デジが増えていますが、これも個人的には悪いことだとは思っておりません。むしろ機種のバリエーションとしてはいろいろほしいと思っており、一発入れればなんとかなるタイプの台は最後の砦としての甘デジの役割とも合致していると思っています。

最強御坂は35%突入が固定になっていますが、バカボン甘神は72%で入って53%で継続、その内33%で上位RUSHに突入し85%で継続、さらにALL1000発という出玉感。上位突入はかなり難しいですが、とりあえずRUSHには入りやすいっていうのがウケていると感じています。単に突入が低いというタイプはあまり好みではないですが、段階を踏んで出玉感のあるRUSHに入ってくれるタイプは今後増えても良いんじゃないかと思っています。CR機の頃から大一さんの甘デジ(1/129あたりも含め)はやれそう感のあるスペックを出すのが上手いと思っているので、そんな甘デジが今後はもっと増えてほしいです。

●パチンコライターのA氏

私は昔からプライベートではミドル機より甘デジを打つことが多いのですが、最近は自分が行くホールで甘デジの設置数が減りました。台の減少に加え回らないという印象も強くなっており、なかなか打ちづらくなったと感じています。なので最近は甘海を打つことが増えました。

一般的に甘デジは予算が少ない、または時間がない時に打たれるものだと思いますが、最強御坂のようなスペックはむしろ真逆にしっかりと軍資金を用意して長時間打つべき台であり、これを甘デジというのには違和感があります。一昔前のような1万円あれば楽しく打ててサッと流してチョイ勝ちできるような機種の復権に期待しています。メーカーさんにも射幸性や版権にこだわらず、老若男女が楽しめるような機種をたくさんつくってほしいです。

 

 

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