パチンコの売上を超える!? 冷凍自販機「ど冷えもん」の運用に重要なこと

2023.05.18 / ホール

昨年9月、当サイト記事で「パチンコの売上を超える!」というキャッチコピーで、大きな反響のあった冷凍自販機「ど冷えもん」。本製品を取り扱うパック・エックスイノベーションの元には、記事公開から300件ほどの問い合わせが寄せられ、すでに全国のホールで導入が進むようになった。今回はその導入店のうちの1店舗、タイヨーネオ富山店を取材した。

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駐車場を眺めるだけで店内の盛況ぶりが想像できる

富山県内でも有数の高稼働ホールに「ど冷えもん」は導入されていた!

PiDEA編集部がタイヨーネオ富山店を取材をしたのは4月30日のことだった。日曜日の昼下がりに同店を訪れると駐車場はほぼ満車状態。それもそのはず、店内の稼働率は77%でパチンコ熱が高いと言われる富山県内でも随一の高稼働ホールだからである。

同店の立地は、東新庄という最寄りの小さな駅から徒歩で20分以上かかる典型的な郊外型店舗。ロードサイドに飲食店があるにはあるが、数としては多くない。商業施設も少なめで、同店が近隣住民のレジャースポットの1つとして多くの人を集めている雰囲気である。


イートインコーナー化し、赤字にはしないが利益は求めない方針

さて、そんな同店がど冷えもんを導入した理由は何か。店内には付設のラーメン店があり、しかもこの日は月に数回あるキッチンカーが乗り付け入り口付近で軽食を販売している。

これまでど冷えもんを導入してきた店舗は、「店内に飲食店が作れないため、食事のタイミングでの顧客流出を防ぐ」といった課題と目的が存在していたが、タイヨーネオ富山店がそのような状況とは言い難い。

ではなぜ同店ではど冷えもんを導入したのだろうか。北山大介店長に話を聞いた。 

特徴的な赤パンで取材を受けてくれた北山店長

「当店はグループの中で旗艦店なので、当店で成功できたら会社に貢献できる自販機になるんじゃないかということで、4月18日、リニューアルのタイミングで導入しました。元々はテレビとソファを並べているだけの休憩スペースでした。そこを有効活用しようということでど冷えもんのイートインスペースにしたのです」(北山店長)

同店では景品カウンター横にイートインスペースを作り、そこでど冷えもんの冷凍食品を提供している。自販機のシールカッティング、イオンと同じゴミ箱、イートインコーナーであることが分かる防水タイルなど、それなりの費用をかけてのオープンとなった。スタッフが積極的に案内をかけているわけではないが、整ったイートインスペースと物珍しさから徐々に認知が進み売上は上々だという。 


ただ自販機を置くだけでは売れないからこそのアイデア

フードーコートのような佇まいで利用しやすい雰囲気がある

そうなのである。以前の記事で「パチンコの売上を超える」とやや扇動的なコピーを使用した。これ自体は事実であるが、多くのシチュエーションでそのようになるわけではない。

パック・エックスイノベーションでは「ご褒美Theぐるめ」という、冷凍食品ブランドを確立しており、ど冷えもんを導入した店舗が望めばこれを提供している。これにより、導入店舗はど冷えもんの中に入れる商品を独自に用意する必要がなく、注文した商品が届けばそれを自販機の中に補充していくだけとなる。冷凍食品であるため夏場でも保存期間が長く、食品ロスをする機会も少ない。 

電子レンジの上には温めの目安となるワット数と時間を表示。こうした配慮も重要だ

しかし、ど冷えもんにも売れるものと売れないものが存在する。

同店では2台のど冷えもんを導入。1号機は主にお弁当系のラインナップを。2号機には軽食系のラインナップを取り揃えている。

「正直なところ、売れるものと売れないものの差はあります。800円のサーモン弁当やグリルチキン弁当などは試食もしてとても美味しいですがあまり売れません。ただお弁当がすべてダメかというとそうではなくて、ロースカツ弁当などは1000円ですがよく売れます。そのほかにはやはり軽食ですね。たこ焼き、焼きそば、カレーうどんは売れています。カレーうどんは全然冷凍という感じではなく美味しいです」(北山店長)

ソース汚れなどが少なくパパッと食べられそうなお弁当類のウケがよくない一方で、汁物であるカレーうどんが売れているというのは意外な結果だった。おそらく、製品としてのクオリティーが高いこともあるだろうが、あまった汁を捨てられるゴミ箱があるなど、環境が整っていることも大きいのだろう。 

イオンと同じタイプのゴミ箱。こういう部分にもしっかりコストをかけて環境を整えている

 


副次的な効果や目的があれば利益率は10〜15%程度が妥当

また、これも重要な話であるが、タイヨーネオ富山店の場合、ど冷えもんのコーナーで「赤字にはしないが、利益を求めるつもりもない」という方針で運営している。基本的に遊技時間の利益率設定は運用を行う企業次第であるが、相場としては20%くらいが妥当と言われている。別の副次効果や目的(店外への流出が防げるなど)がある場合は10〜15%くらいでも効果を発揮するだろう。

別の店の事例では、値段設定が高かったり、電子レンジの性能が良くないため味のクオリティーが下がってしまうことろや、そもそも落ち着いて食べられる環境が整っていないことでど冷えもんの売り上げが芳しくないというケースも存在する。

こうした点において、タイヨーネオ富山店では、価格、環境などすべてが整っており、目的に沿った理想的な展開をすることができている。 

15時頃の合間の時間にもかかわらず利用客は複数人いた

ど冷えもんの導入に何を求めるべきかはホールによって異なる。シンプルに売上や利益を求めることも悪くはないだろうが、店内になかった飲食物の提供、店外への流出を防ぐことによる稼働上昇といった、大きなコストをかけなければ解決できない課題を比較的お手軽に克服できるというのも魅力の1つである。

仮に1日5人の顧客流出を防ぐことができたとしたら、それだけで数万円のゲインは得られるだろう。客単価の高いパチンコ店においては、それこそが最大のメリットとなる。


(取材協力)

タイヨーネオ富山店

設計デザイン:株式会社ネオプラ

問い合わせ:株式会社パック・エックス イノベーション

 

 

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