ステマって結局「違法」なの?ーいまさら聞けないパチンコの常識vol5

2023.04.13 / 連載

 

某パチンコホール法人人事総務部係長。社内教育研修担当。1993年生まれ、乙女座。お菓子やアイスが大好きで、ネットで紹介された新商品にはすぐに飛びつくが、本当に美味しいと思ったことはほとんど無く、結局ポテチはうすしおが一番だと思っている。チョコはたけのこの里派。実はInstagramの裏垢で映えるグルメを紹介しながら、案件来ないかなぁと夢想している。フォロワー数は205人。

 広告宣伝ルールの変更で注目されるステマ

おはよーございまーす。…もう一度、おはよーございまーす! どうしたんですか、皆さん全然元気がありませんが。なぜ皆さんは私を初めて見るような顔をしているんですか?
…あ、あー、私です、私。毎月恒例「いまさら聞けないパチンコの常識」の講義を受け持っている、人事総務部のチェリーこと紗倉千江里です。マスク外したからって別人ってことはないでしょ。こう毎月リアルに対面でお話しているわけですし、どっかのお店のTwitterのアイドル店員さんみたいに、白塗りみたいなフィルター掛けてるわけでもないんですから!
ちょっと傷付きましたが、まあ3月13日からウチの社内でもマスクの着用は個人の判断になったので、笑顔咲く29歳の美貌を晒してみました。…ウソ、冗談です。ごめんなさい。

ということで、何がということでなのかは分かりませんが、今月のテーマは「ステマ」です。
今年に入って、パチンコ業界の広告宣伝ルールが大きく変わる中、インターネット上の広告についても同様のルールが適用される旨のお話がありました。皆さんもご存じですよね。
でも、でもですよ、ネットには、具体的にはTwitterやLINEには、「ここは頭文字Dの赤城山か!?」と見まがうくらい無茶苦茶な広告が暴走しています。
あれもステマ、これもステマ。ウチの店長さんたちだけじゃなく、多くのホール関係者の方々が、このステマについて「やめろ!」「規制しろ!」と怒り心頭な状況です。

ではここで質問です。いま業界で話題のこの「ステマ」、果たしてこれは違法なのでしょうか?

今までステマは違法じゃなかった

まずそもそもステマとは何でしょうか?ステルスマーケティングとは、お客さんに、店側の宣伝だと気付かせないよう、一個人を装う形(主に口コミの形式)で、商品やサービスを宣伝することです。

日本でこのステマが大きな話題になったのが、2012年のペニーオークション詐欺事件ですね。実際には落札できないオークションサイトで、入札者から手数料だけをかすめ取る詐欺サイトだったのですが、何人かの芸能人が落札もしてない商品を落札したかのようにブログやSNSで紹介していました。もちろん運営企業からの依頼を受け、お金を受け取っていたにも関わらず、それが広告や宣伝であるとは言わずに。

まあ最近ではSNSの投稿によく「#PR」とか「プロモーション」って書いてあって、かなり改善されたかのように見えますが、それでもネット上には、パチンコ業界に限らず多くのステマがあると言われています。

でもこのステマは、日本では今日現在は違法ではありません。正確に言うと、ステマ自体を取り締まる法律がないんですね。しかし、このステマに関するルールが、今年の10月から大きく変わることになりました。
政府は、ステマを景品表示法の不当表示として禁止行為に指定しました。これによって日本でも今後、ステマが法律で禁止されます。

ペニーオークションを報じた当時の記事では「多くの芸能人が関わっていたオークション詐欺だが、慌てて自身のブログを削除しているタレントも出ているという。有名人の利用があることで信用してオークションに参加した人も多く、安易に嘘ブログを掲載した芸能人の罪は大きい」と指弾している。

 ※恋活ビューティーニュースより引用(2012年12月16日の記事)

ステマ規制はステマの問題じゃない

10月以降のステマ規制のルールを勉強しましょう。 このステマには、宣伝を依頼する企業と、実際にSNS等で宣伝するインフルエンサーがいるのですが、ポイントは3つです。

①企業からインフルエンサーに物品や金銭等の謝礼があるのかないのか。
②インフルエンサーの発信が第三者に明確に広告だと分かるのか。
そして最後に、③処罰の対象は企業側のみ。

もうこのままの内容なんですが、例えば②に関して、SNSで10個くらい「#」を並べて、その途中にさりげなく「#PR」と入れているような投稿をたまに見掛けますが、これは第三者に分かりにくいということで、今回のルール変更ではアウトになります。
あと③は、当面は企業側のみを罰するとなっていますが、今後は、欧米のようにインフルエンサー側も規制していくと言っていますね。

 さてさてさてさて、Twitter上ではこのステマ規制で「晒し屋オワタ」みたいな声が多く聞かれますが、実は私は、それよりもライターさんとか演者さんとかのほうがたいへんになると思っています。このライターさんや演者さん(本当に無償で取材場所を提供している場合を除く)は、明確にホールから謝礼をもらっているわけですし、その場合、お店や遊技機が映り込んだり、それを紹介する投稿にはすべて「#PR」が入らなくては、彼(彼女)らを手配した広告代理店が罰せられることになりますからね。

「エヴァ座れた~♡」とか、「今日はカバネリとかが良い感じ♡」とか、もう全部「#PR」案件になりますからね。そして何よりもこの投稿に「#PR」と書いた時点で、この発言は店側の発言とも捉えられ、風営法的な観点から機種示唆で射幸心を煽っている的な指摘を受ける可能性が高いですから。

実はこのステマ規制はステマの問題じゃなくて風営法の問題になる、ということを皆さんよ~く憶えておいてくださいね。

 

 

 

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