[特別インタビュー]株式会社京楽 代表取締役社長・矢部伸一郎氏「ホールが地域に愛される存在に」を 支援する総合商社へ

2023.01.16

スマート遊技機時代を先取りする「エクスチェンジ」と「フレキシブル」

京楽産業.株式会社の関連会社として補給機器および周辺機器の開発、販売を手がける株式会社京楽。次世代のパチンコ・パチスロといわれるスマート遊技機の登場に合わせ、新しい設備を提案する。新時代に向けた島補給メーカーの意気込みと業界への思いを矢部伸一郎社長に聞いた。


スマート遊技機時代を見据えた革新的な2つの島

2022年11月にスマスロが登場した。そして、23年4月にはスマパチが登場する予定となっている。玉やメダルが不要な遊技機が今後普及していく過程で、島還元補給システムは徐々に姿を消していく。

時代とともに変化するホールのニーズを受けて、株式会社京楽は島還元補給システムが不要となるスマパチ・スマスロ時代に合わせた革新的な島設備を開発した。それが「EXCHANGE!!(エクスチェンジ)」と「FLEXIBLE!!(フレキシブル)」だ。

前者の「エクスチェンジ」は、パチンコ・パチスロ(以下略P・S)どちらでも自由に交換できる島。

ホールが既存の島をエクスチェンジに交換すれば、スマスロを取り付けていても、今後スマパチが登場すれば翌日には切り替えることができる。一方、スマパチの調子が悪ければ、またスマスロへ戻すなどユーザーの動向を見極めながら対応できる。

もう1つの新島設備が「フレキシブル」だ。この商材は、これまでは動かせるものではなかった島に動かす概念を取り入れることで、自由な設計が可能になり、デザイン性も向上する。

 

 

スマート遊技機の登場は島設備メーカーの転換期に

2022年11月21日に全国一斉に導入されたスマスロの初動について矢部社長はこう話す。

「弊社ではサンシャインKYORAKU栄店など5店舗の遊技場を経営しており、一部店舗でスマスロを導入しておりますが、非常にいいなと感じました。今後はゲーム性も広がると思っていますので、もっと良くなってくるのではないかと期待しています」

スマート遊技機時代が幕を開けた。初動もおおむね好調でこの先、大きな期待がかかる。その一方で島設備メーカーにとっては補給装置の需要が減っていく転換期でもある。

これに対して矢部社長は「これは1つのチャンスだと思っています。メインの商材である玉の研磨、還元、搬送がなくなるということは我々にとっては非常に厳しいことではありますが、それでホールの中の騒音やスペースの問題が解決したり、お客さまが玉やメダルに触れないで、清潔かつスピーディーに遊技できたりプラスの要素も多くあります。そこでホール様に新たな商品をご提案したいと思っております」と前向きだ。

また、同社ではスマート遊技機専用ユニットに関して、一般社団法人プリペイドシステム協会(略称:PSA)の一部メーカーの取り扱いの他に、一般社団法人電子認証システム協議会(略称:認証協)に加盟したことでこれまで以上に広く扱えるようになっている。

 

多様なレイアウト、デザイン 入替を簡単自由に実現

そうした中でスマート遊技機はホール作りの点においてどんなメリットがあるのか。

「スマート遊技機になると補給装置がいりませんので、配線等の工夫が必要ですが簡単に島を動かしたりすることも可能になっていくでしょう。弊社で言えば『フレキシブル』という商品を開発しており、基本的には島を自由に動かせるという発想です。新台入替を行った時にその島だけ通路を広めに取ろう、ということも簡単にできます。あるいは島を少し寄せて空いたスペースでさまざまなイベントを行う。災害時には島を全部移動させることで避難場所としても活用していただけます。また、これから順次出てくるスマート遊技機ですと、一番ホール様が悩むのがP・Sの比率をどうすればいいのかということです。今までは一度島をつくってしまうとPからSへ、またその反対もかなり大掛かりな工事になり負担がかかりました。これを弊社が開発した『エクスチェンジ』を利用していただきますと、通常は腰高が10cm前後PとSで違いますが、それを簡単に入れ替えられます」

また、スマート遊技機ではマルチタイプの専用ユニットを設置すれば、ユニットや紙幣搬送もそのままで負担を抑えて変更できるという。
そして、同社の「エクスチェンジ」と「フレキシブル」を活用することでスマスロ登場前から言われていたコンビニパチンコのような新業態も具現化する。

「かつてたくさんあった駅前や商店街の小規模店舗が復活するんじゃないかと期待していますし、仮にそういった店舗が増えてくればニーズに応じた形で遊技機の性能も変わってくるでしょう。お手軽で簡単に、ちょっと空いた時間でもパチンコ・パチスロを楽しんでもらえるようなホールに変化していくことも考えられますね。それはローコストで店舗を作れるということでもあります」

 

 

今までにない価値を提供する総合商社

業界の歴史を振り返ると、パチンコが良い時はパチスロが悪く、パチスロが良い時はパチンコが良くない、それぞれ交互に反比例し盛り上がりの曲線を描いてきた。しかし、旧規則機が新規則機に入れ替わったことでP・Sともに性能も人気も落ちるという業界史上かつてない危機に陥った。

そして今、スマート遊技機として新しいPとSがほぼ同時に市場に出るという、これもまた業界史上初の可能性が生まれている。

矢部社長が言う。

「これを機にPとSともに良くなってもらえばいいのですが、その時々でPが良かったり、Sが良かったりと変化するでしょうし、地域性や客層の問題もありますから導入してみないと分からないこともあります。その意味で〝とりあえずP(またはS)でやってみよう〟ということが試しやすいシステムだと思います。『エクスチェンジ』を一部に導入していただければ、パチンコの設置比率を上げたいという時に、すぐに変えられますし、その反対もまた然りです」

玉・メダルがなくなっていくことで同じ島に1台おきにPとSを交互に並べるという工夫もできるし、さまざまなスペック帯の機種が不規則に設置されているパチンコホールも面白いのではと、その発想は無限に広がる。

最後に今後、株式会社京楽が設備機器メーカーとしてどのような価値を業界に提供していきたいかを聞くと、矢部社長は次のように答えた。

「ホール様が地域になくてはならない存在になっていくためのお手伝いがしたいです。そういう意味では弊社はありとあらゆるものを扱える総合商社のような位置付けで業務を推進していきたいと思います。これまでメイン商材だった補給装置がなくなっていくであろうと考えられますので、総合的な設備、例えば宅配の受け取りボックスを設置したり、駐車場でEVの充電ができたり、災害時には救援拠点となったりと、ホール様がその地域に愛される存在になっていただけるようなお手伝いがしたいです」

既存の島設備だけでなく、総合商社として多種多様なものを扱う方向へ進むという同社。「今までにない価値をホール様に提供していきたいと思っています。ホール様からもこんなものはないのか、こんなことはできないか、ということがあれば何でも結構ですので弊社営業マンへお声がけをお願いします」と呼びかける。

ホールのニーズから生まれた「エクスチェンジ」と「フレキシブル」。それはさらなるニーズによって進化をしていく。そして、それがホールの新しい価値を生み出していくはずだ。

 

株式会社京楽 代表取締役社長 矢部伸一郎氏
(略歴)
1989年4月 株式会社ユニオン(現:株式会社京楽)入社
2008年10月 京楽産業.株式会社 執行役員 営業本部 副本部長
2012年9月 京楽産業.株式会社 執行役員 営業本部 本部長
2013年7月 株式会社オッケー. 取締役
2013年9月 京楽産業.株式会社 取締役 営業本部 本部長(現任)
2020年12月 株式会社オッケー. 代表取締役社長(現任)
2021年2月 株式会社京楽代表取締役社長 サーキット事業部担当(現任)

 

株式会社京楽HP:http://circuit.kyoraku.co.jp/

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