岡野陽一のパチンコ人生訓 vol17 -いろんな人とつながると見えてくること

2023.01.06 / 連載

「借金芸人」岡野陽一が送るPiDEA新連載!
パチンコを打っていく中で岡野陽一がたどり着いた人生の境地を、月替わりの金言とともに語る。


今月の金言

いろんな人とつながると

見えてくること

 

:岡野陽一 ※PiDEA Vol.193掲載分

お笑いを始める前は、芸人は面白いことをやってお金をもらえる仕事だと思っていました。でも、ある時気付くんです。我々だけでは何も発信できないのだなと。今ではYouTubeなどもありますが、当時はそうでした。

そういう意味ではテレビはいろんな人が関わって作られています。その中でも、やっぱりディレクターさんの存在ってでかいんですよね。有名所でいうと佐久間宣行さん(※1)とか、加地 倫三さん(※2)とか、藤井健太郎さん(※3)とか、他にもたくさんいます。

※編注:●佐久間宣行さん(※1)…元テレビ東京ディレクター「ゴッドタン」「あちこちオードリー」など                        ●加地 倫三さん(※2)…テレビ朝日ディレクター「アメトーーク!」「ロンドンハーツ」など 
●藤井健太郎さん(※3)…TBSディレクター「水曜日のダウンタウン」「クイズ☆正解は一年後」など

僕は長い物のに巻かれるじゃないけど、皆さんとやらせてもらって本当にすげえなと思うんです。何ですごいかというと、現場とか人で思うんじゃなくて、やっぱり番組の出来上がりを見て思うんですね。

現場では「どうすんのこれ」レベルでめっちゃスベることもあるんです。でも、敏腕ディレクターさんは芸人がスベっていても編集で面白くしてくれるんですよ。偉そうですけど、有名なだけはあるし、何より編集に愛を感じますよね。コマとして思われていないんだみたいな。

スベるのは紛れもなくこちらの所為ですが、その点クソディレクターは、ハイあなた呼んだのに何もできませんでしたねとなります。この違いは愛です。

そういう人に呼んでもらったら頑張ろうと思いますね。でも、これはどの業種でも会社でも同じこと。上司でも、トラブルがあった時に一緒に謝ってくれる人と、お前やばいよって突き放しちゃう人いますよね。トラブルを起こした自分が完全に悪いとは思うのですが、信用できる人と仕事をするというのは大事ですね。

パチンコもそうです。SANKYOだと信用できるし、豊丸だったら変なことをやってもらえるんじゃないかと期待してしまうものです。

実際、僕も日頃からお付き合いさせてもらっているディレクターさんがいます。ある仕事で一回ご一緒させていただいたっきりで、それ以来その人は一切呼んでくれないんですが、それがビジネス関係なく気持ちいいから一緒に飲めるんですよね。

この連載の読者であるパチンコ屋さん同士の場合、商売的にはあまり仲良くなって得なことはないと思うんですけども、同じ立場の人とは絶対に飲んだ方がいいと思いますよ。店長さんには店長さんにしか分からないことってきっとあるじゃないですか。

僕もたまに嫌なディレクターにキツく当たられたりしたこともあるんですけど、それを芸人仲間の飲み会で「俺はこんなことされたんだぞ」って自慢し合うんですよ。そういう境遇に置かれているのが、自分1人だけと思うとマジで嫌になりませんか。変な話、芸人同士というのは本来は枠を奪い合うライバル関係なのですが、僕は全然そうは感じていません。

頑張る人を応援したくなる
「オリンピック理論」

ちょっと話は逸れるんですが、先日単独ライブをやって、収益的にはちょいマイナスくらいで終わりました。それまで5、6年くらいネタをサボっていたんですね。不思議なもので芸人の世界では、ネタづくりというのは本当に苦しくて、その割にお金には結びつきません。だからネタづくりをやめちゃったりする人もいるんですが、単独ライブやって思いました。やっぱり何もしてない時より、応援してくれる人が増えた感じはするなって。

この現象を僕は「オリンピック理論」と呼んでいます。なぜ応援したくなるかというと、頑張ったからなんですよ。オリンピック選手が生まれつき足が早い赤ちゃん選手権だったら流行りませんよね。4年間そこに捧げてきた人の姿が尊いから応援すると思うんですよ。そう考えると、元来人間っていうのは、頑張っている人を応援したくなるものなんだと。外国では分からないですけど、日本はどこまでいってもそうなんです。
だから、店長さんたちも〝頑張っている風〟をもっと出した方がいいと思いますよ。「店長は誰よりも頑張るべきだ」なんてプレッシャー嫌だなと思いますもん。それで思い詰めてしまうのは、自殺の元です。だから頑張っている風でいいと思うんです。ちなみに、そういうスタンドプレーが苦手な人、その気持ち分かります。僕もそうですから。汚い手ではありますが、頑張っていなくても、頑張っている風を恥ずかしがらずに出した方がいいと思いますよ。そっちの方が認められますからね。

僕もネタをやるようになってから、クズ仕事一本でやっている時より後輩たちの見る目も変わってきました。お笑いって100人が100人笑うなんてことはないですし、どんな大御所だって面白くないという人はいるんです。じゃあ、なんのためにやるかというと、自分が信頼する人の中で面白い人になっていくことなんじゃないかって思い始めています。知らない人からなんか言われたりするより、知り合いが言ってくれた方が楽しいし嬉しいじゃないですか。

知り合いを増やすメリットっていうのはそこだと思います。他店の店長同士で「うちの店員がさ」とか、「いやうちの方がひどいよ」とか、「出す日いつにするの」とか、そういうつながりは、きっとお金とかじゃなくて楽しい場所が増えることになりますよ。取り止めもない話になってしまいましたが、今回の原稿こんな感じで大丈夫ですかね?

スベるのは紛れもなくこちらの所為ですが、
クソディレクターは、「ハイあなた呼んだのに
何もできませんでしたね」となります。 

  

岡野陽一, 岡野陽一のパチンコ人生訓, パチンコ