パチスロ専門店なのにパチンコ導入!?スロ専に窮状続く

2022.08.23 / ホール

パチスロ専門店なのにパチンコを導入!?

業界全体の中で今、もっとも厳しいのはパチスロ専門店だ。6号機時代に突入し、遊技性が著しく低下しユーザー離れが進んでしまったことは、いうまでもないだろう。そんな中で6.5号機が登場して少しずつ期待感が生まれ始めた。今までと比較すれば希望すら感じるほどだ。しかし、まだまだメイン機種として運用するには機種数も生産台数も足りていない。さらには1度離れてしまったお客を自店に取り戻すことを考えれば問題は根深い。そのためスロ専に窮状が続いている。

そんな状況の中、Twitter上でこんなツイートを見つけた。

 

ツイートに添付された動画内容。パチスロ専門店にパチンコ導入という訴求が強く打ち出されている。

ツイートに添付された動画をみると、どうやらスロ専がパチンコ導入を行ったようだ。これだけみれば経営が厳しくなったスロ専が致し方なくパチンコ導入を行った、ということは想像がつく。

しかしパチンコを導入したにもかかわらず、併設店ではなく、専門店の肩書きを変えずに営業を続けているようだ。その真意はなんなのか「DD武豊店」にPiDEA編集部が取材を申し入れた。

窮状に陥るパチスロ専門店の現状

DD武豊店の決断

 

同店は愛知県知多郡のスロ専で、設置台数はパチスロ310台、パチンコ28台の店舗。平日の稼動は2割程度、土日でも4割強といった稼動率で、最盛期と比較すると半分くらいの集客状況だと取材を受けた担当のAさんは語った。

3km圏内商圏には、1000台クラスの「半田コロナ」といった大型店や「キング武豊」「MARUMAN青山店」などの中規模のホールに囲まれている。スロ専はDD武豊店のみで、近隣との差別化や集客ができていないと経営状況が厳しいことは想像にたやすい。

今回のパチンコ導入について伺ってみると、Aさんは次のように語った。

「実はパチンココーナー自体は8月11日からではなく、7月の末からパチンコ導入を初めています。もともと2年前あたりから、パチンコ導入構想はありました。お店は過去に併設店だったため、島設備の大幅な工事を必要なしにパチンコ導入できる見込みがあったんです。そして去年、Pエヴァ15の販売の話が降りてきて、台を導入できる見込みもたったので、本格的に導入の話は進んでいきました。しかし、いざパチンコを導入するか否かとなると、決断できずに、ズルズルと先延ばしになりました。そこから想定以上にお店の売上状況が悪化し、今回苦渋の決断で導入に至りました」

パチンコ導入に踏み切る際は、別商圏にあるスロ専の動きを参考にしていたという。そのホールでは、4月頃に全面リニューアルオープンを行い、併設店になった。Aさんがそのお店のリサーチを続けたところ、稼動状況もよく「これならウチでパチンコ導入しても近しい結果になるのでは」と考え、導入に踏み切った運びだ。

本来、設置機種については尖ったパチンコ1機種の身を設置する専門コーナーを予定していたそうだ。しかし結局、人気の新台がそろえられず断念。現在導入しているのは、PFガンダムUCをメインコーナーに構え、Pエヴァ15、新台のP GANTZ3と人気機種28台をバラエティ導入している。

運用面では、パチンココーナー自体がガッツリ動くとは考えていないとのこと。しばらくの間は利益を取らず甘い運用を続けるという。20円パチスロの売上や粗利を考慮して、アウト6千から7千での想定利益を見込んでいる。Aさんは「まだ設置して日数が浅いのではっきりと断言はできないですけど、パチンコ導入してよかったと感じています」と述べた。また「パチスロ専門店」のスタンスは崩したくないため、これからも専門店として看板を掲げ続けるとAさんは語った。 


限られた予算、ギリギリの設備投資、離れていくだけの顧客。そんな中で同店は、今の時代を生き残るための手段としてパチンコ導入に踏み切った。苦しい状況下でも営業を続ける意地と情熱を強く感じさせる。

もちろん全てのスロ専が同じようにパチンコ導入をできるわけではない。もともと島設備があったおかげで、DD武豊店は費用を抑えながらも利益になりそうなパチンコが導入できたわけだ。6.5号機に今、注目が集まっているものの、スロ専の窮状を解決する機種になったと断言はできない。お店を維持するための施策や手段は、引き続き悩ましい問題が続きそうだ。

 

取材協力:DD武豊店(Twitterアカウントに遷移します)

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