マルホンさん、思ったよりヤバかったwーP真シャカRUSHのぶっ飛んだ開発秘話(変な台)

2022.07.15

この企画でなぜ「OK」がでたのか?

パチンコ・パチスロの主流といえばアニメやゲームとのタイアップだ。しかし新台情報を見ると時折「変な台」がリリースされている。ここで気になるのはいったい誰が「変な台」を企画し、誰が承認しているのだろうか。普通のプレゼンでは通りえない変な台の企画がどのように会議を突破し、実現できたのか。開発の裏側を探る。


マルホン工業株式会社の開発ストラテジー室、高田さに聞いた

P真シャカRUSHのぶっ飛んだ開発秘話

PiDEA編集部(以下略編) :今回は「P真シャカRUSH(以下P真シャカ)」の開発から販売、販促のすべてを担当した高田さんにお話を伺っていきます。もう何から突っこんでいいか分からないんですけどマルホンさんのシャカシリーズって本当に「変な台」ですよね。


開発ストラテジー室・高田さん(以下略高):確かに変な台ですね。変というよりヤバい台の方が近いかもしれないです(笑)。


:大歓迎です。今年でシリーズのリリースから12年目ですけど久しぶりにスピンオフから原点に帰ってきたって感じですよね。


:そうですね。おっしゃる通り、P真シャカは、シリーズの正統後継機としてリリースしたかったんですよ。


:どういう意図があったんですか。


:マルホンって1度、民事再生したじゃないですか。その後1発目にリリースしたのが「CRシャカンナーF」だったんですよ。当時は僕も会社にいたんで、「え、民事再生後だよ!?本当にこれリリースするの?」って思ったんで意見を伝えたんです。いったん冷静に考えましょう。純粋なシャカシリーズを待っているファンがいますから。スピンオフばかりじゃダメじゃないですか?と。それで、しばらくシャカシリーズを出さなかったんですよね。そんな経緯があってP真シャカは正統後継機としてリリースしたんです。


:民事再生後の1発目ってシャカンナーだったんですか!?あれってシャカの要素まったくないですよね。


:そうです。シャカンナーですよ?マルホン、ヤバイでしょう。個人的には「あ、この会社相当イカれてんな」って思いましたもん(笑)。でもシャカシリーズには、私も会社にもそれだけ自信があるんシリーズなんです。だからこそ大切に扱いたくて、かなり強く意見を伝えました。シャカシリーズをお休みしてた間に天龍シリーズで羽物機の地位を獲得したので、P真シャカは、シリーズの原点回帰をしつつ、役物機で地位の獲得を目指しました。

 

民事再生後にリリースされた「CRシャカンナーF」。シャカシリーズのお決まりは、役物や3色ドット液晶だ。それらを生かしたコミカルな演出こそシャカシリーズだが、本機にはそれがなかった。

 
:そもそもシャカシリーズってどうやって生まれたんでしょうか。


:正直なところ、シャカシリーズの生みの親はもうすでに退職してしまっているんですよね。真意は分かりません。ですが、いい意味で他のメーカーにはないマルホンのいい所を全面的に出しているシリーズだと思ってます。今の開発環境から想像すれば、おそらく当時も「面白そう」だったからリリースに至ったんだと思います。それ以上でも以下でもないですね。


:まさかのノリですか!?マルホンさんってどうやって企画会議を進めていくんですか?


:本当にやりたいスペックや演出面は、喫煙所で話をして、こうしたい、ああしたいねって意見交換をして形が生まれていきます。


:めちゃくちゃラフですね。


:もちろんちゃんとした会議もします。ただ、偉い人たちの前で、なんだったらちょっと怒られてる時に「面白いもん作れ!」なんて言われて、いいアイデアなんて浮かばないじゃないですか(笑)。


:もしかして、マネホンっていう販促文言も喫煙所で生まれたんですか?


:あれ仕掛けたの僕ですよ。僕は開発から営業まで務める、なんでも屋さんなんですが、特に営業販売を重点的に行っています。マルホンの台のコンセプトって他社がやらないような、おバカな台なんです。なので台をホールさんに販売する時もやっぱり面白さとか、バカバカしさを伝えるのって大切なんですよね。営業資料をただ読み上げるだけじゃ伝わらないんですよ。だからこそホール関係者にもユーザーにも伝わるような、過度な悪ノリをしたりしてます。


:ハッキリ言わせてもらえば戦略的なパクリだったんですね。


:そういうことですね。まあ、各メーカーさんには怒られるんですけどね(笑)。

 

:もう新台の予定は進んでるんですか?

 

:そうですね。お盆過ぎを目処に進めています。またマルホン の変な台にぜひ期待してください。


あと語り

 実はシャカラッシュ、リリースされていない幻の企画があるんだとか。その名も「トイレのシャカ子さん」この案はちょうど民事再生後に企画されていた案で、いいとこまで行ってたんだけど最後の詰めでシャカンナーに先を越されてしまったそうです。高田さんは「シャカンナーやるんだったら絶対こっちやった方が面白かったな」と悔やんでいました(笑)。
 ちなみにドラム機でトイレ用のスッポンをチャンスボタンにして、うんちを流し切ったら大当りみたいな台をイメージしていたようです。ほんと、振り切った面白さがありますよね。


WEB限定あと語り

本誌191号で紹介させていただいた通り、他にも開発の裏話を聞けちゃったので、WEB限定で公開しちゃいます!

■クルーン10段、イカれた天龍の初案

マルホンさんといえば、天龍をイメージする人も多いのではないでしょうか。筆者もパチスロでボロボロにやられた時は少しでも取り返そうとお世話になったことがあります(結果は言わずもがなorz・・・)。

その天龍、当初の案は、羽根物機で地位を獲得しようという試みから企画が始まったそうです。まずは、いかにインパクトを与えるかという点にこだわった結果、クールンは10段で企画されていたんだとか。10段って多すぎでしょ……w。ちなみに1皿突破するごとに1000発獲得できるようなイメージだったんだとか。実際に会議を進めていると他の社員の方が「いや、クルーン10段って縦幅の問題で筐体の中に収まらなくないですか?」という至極まっとうな意見を出されて仕様を変更していったそうです。

そこからまた高田さんが仕掛けて「カイジの沼、パクればいいんじゃないですか?あれ3段クルーンですよ。収まりますよね」ってことで改案が進んでいったそうです。マネホンはここでも発揮されてたんですね。

そんな天龍ですがぶっ飛んだアイデアの他に、意外にも理にかなった分析を込めて作られているんです。それが「3」という数字です。ご存知の通り天龍って3つ穴の3段クルーンですよね。これが本機の3にまつわる話です。

では、3にどういう意味があるのか。それは、「人が我慢できる限界の数字」なんだとか。高田さんは「3にまつわる機種っておおよそヒットしてるんですよね。例えば大都さんの6号機『S Re:ゼロ』も白鯨の3戦突破でAT獲得という意味で3絡みです。さすが大都さん、やられたな悔しいと思いました。3が我慢できる限界の数字なら減らして2にすればいいんじゃないかと言われると、そうではないんですよね。2になるとこんどは演出を引っ張ってストレスになるんです。だから3なんです」と語っていました。

また「3という数字は業界内だけでなく、世の中の法則や、遊びにも関係深い数字なんですよね。例えば、てこの働きは支点・力点・作用点によって成り立つものです。遊びで言うとじゃんけんが該当します。3種類だから年齢を問わず普及した身近な遊びになってるわけですよね。だから3にまつわる数字って我慢できる以外にも、人間に影響する数字なんですよね」(高田さん)

おバカをやってる裏では、意外なことに一理あると思えますよね。分析立てた仕掛けをしてるんだなと、しみじみ思ってしまいました。

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