スロ専が業態変更を検討中!? ゲーセンに活路はあるのか?

2022.06.30 / その他

「6号機では集客できない」悲痛な声を上げる中小のスロ専

一部の機種を除き、今年の1月31日をもって、CR機や5号機が撤去となり、新規則機中心の営業がはじまった。パチンコはCR機の穴埋めをP機がこなしているが、パチスロの状況は悲観的で、期待されていた6.5号機の導入がはじまっても、まだ改善の兆しは見えてこない。

このような厳しい状況の中でとある業界関係者より話を聞いた。

「一部のパチスロ専門店の人たちが『本当に厳しい。もう、ゲーセンにしちゃおうかな』と言っているんですよ。5号機を戻してゲーセンにした方がマシなんじゃないかと考えているようです」

たしかに、ゲームセンターにすれば5号機や4号機、手に入れられればもっと前の機械を置いて営業することも可能だ。しかし、ゲームセンターならばやっていけると考えるのは果たして正しいのだろうか。

パチンコ店と同じようにコロナ禍を経験しながらも営業を続けている上野のパチスロゲームセンター「殿堂」に協力を仰ぎ、現在の営業状況とパチスロ専門店がゲーセンに鞍替えすることが正しい選択なのか、話を聞いてきた。

上野駅前にあるパチスロゲームセンターの「殿堂」。
総設置台数は120台で1.5号機から6号機のパチスロが遊技できる。

メダルレス遊技機に仕様変更したスロゲーセン「殿堂」

今回取材に協力してくれたのは「殿堂」を運営している株式会社大蔵プロパティーの小沼潤一氏。同店の店長を務める小沼氏に現状を聞いてみた。

  「おそらく、全国のパチンコホールさんと同様に、ゲームセンターである当店もコロナの影響でだいぶ苦しみました。業態はゲームセンターと同様となりますが、実際のホールとオペレーションなどもほとんど変わらずですし、熱心に通ってくれていた常連さまも減ってしまいました」

ホール同様に新型コロナウイルスの影響を受けて稼働が落ちたという同店だが、感染予防対策として、それまではメダルを使って遊べていたオペレーションを変更。設置機種全台をメダルレス機にしたのだ。 

同店はメダルレスで、遊技したい台を選び
スタッフに料金を支払うと全台遊び放題で遊技できる。

  「実際のパチスロと同じようにメダルを使って遊技できるのが醍醐味だと常連の方も感じていただいたようで、メダルレス変更でこなくなってしまったお客さまも何人かはいらっしゃいました。それでも、お客さま同士、従業員の感染を予防し、安全を確保するために全台をメダルレスにしたほうが良いと決断しました」

メダルの補給などの業務が減ったことは従業員の負担軽減にもなり、台のトラブルも減ったという。また、来店客にとっても手が汚れず、台を移動する際にメダルを持たずに済むというメリットもあった。徐々にメダルレス機も浸透して、客足も少しずつ戻ってきている。


5号機撤去の影響で客数アップも厳しい稼働が続く

コロナ禍が落ち着き、全国的に行楽地などにも人出が戻ってきたゴールデンウィーク直前。筆者が殿堂に訪れるとその活況ぶりに衝撃を受けた。1Fの5号機コーナー55台はフル稼働で、2Fの5号機、4号機、3号機コーナー、1.5号機の65台も半数以上が稼働していた。

旧規則機撤去の影響からか5号機の稼働が非常に良く、平日でも常連らしきユーザーが多くプレーしていた。
若者だけでなく中高年の姿も多く、メダルレスにも戸惑うことなく黙々と遊技する姿が印象的。

 メダルレス機に仕様変更しても十分に盛り返してきたように感じた。実際の稼働状況を聞いてみた。

「おそらく、ご覧になられた日は大型連休初日で、非常に稀な高稼働の日ですね(笑)。5号機が実際のホールからなくなり、当店の『まどマギ』や「バジ絆』『凱旋』など5号機のニーズが多くなり、特に若いお客さまが多くなってきました。コロナの影響で上野地区は外を歩く人が大分減り、当店も影響を受けました。感染者数が減少してきてからは、徐々に外歩く人も多くなってきて、店内に入って来られる方も多くみられるようになりました」

また、詳細な数字は言えないが、台粗利は「1円パチンコほども稼げていない」と、小沼店長は話してくれた。それでも、メダルレスにしたことで、従業員数も大分減らして回しており、ほぼ自社物件ということもあり営業を続けられているという。


スロゲーセンへの鞍替えは是か否か?

最後に全国の中小スロ専がゲーセンに鞍替えするという判断に関して、どのように感じるのかを聞いた。

「少しずつ稼働が戻ってきていますが、まだ以前のように戻っておりません。当店では保守契約をしているお取引先がありますが、遊技機のメンテナンスなどのコストもあります。また、お客さまの要望をお聞きして、台予約サービスも受けておりますので、入替はほぼ毎日発生します。設定は最高設定営業なので、管理はそこまで必要ありませんが、景品交換が無い分、どのように日々足を運んでもらうかを悩ませています。(業態変更は)簡単にはいかないと思います」と語る。

景品交換が無い同店では、来店客のニーズをいかに的確に捉えて機種をラインナップするかが生命線だ。ホールでは打てない5号機のみならず、4号機以前の台に加えて、通常ではありえない確率のアミューズメント仕様の台も用意して、営業を続けている。 

レア役やボーナス確率がアップしているアミューズメント仕様の実機。

 「当店に来られるお客さまはパチスロという遊技が純粋に好きな人たちです。古い機種も設置していますので、それら名機を見るだけに来られる方もおり、ラインナップに感動される方もいらっしゃいます。また、マイスロやユニメモのため、またホールで打てなくなった機種を楽しみたいと思う方もいらっしゃいます。(ゲームセンターへの業態変更は)簡単ではないと思いますが、店舗があるエリアに(ゲームセンターの)ニーズがあるのかどうか。また、景品交換が無くても足を運んでくれるパチスロユーザーをつかめるかどうかが重要です。設備機器は使いまわせる部分もあるかと思いますが、おそらく遊技機のラインナップを考えた準備や入替、メダルレスなどの改造などもコストが掛かってきますし、業態変更は想像以上に大きな決断となると思います。そして、何よりも業態が変わってもきてくれる固定客(ファン)をつかめているかどうかが一番重要だと思います」と語ってくれた。

ゲームセンターもホール同様にさまざな苦労があり、日々の努力が必要不可欠ということなのだろう。

現状を耐え忍び、6.5号機のヒット機種やスマートパチスロの登場を待つのか。思い切ってゲームセンターとして再出発するのか。それともまったく別の道を模索するのか。生き残りをかけたパチスロ専門店の難しい舵取りは今後も続きそうだ。

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